03 日本の教育には、リーダーシップの理論を学び、実践できる環境が必要。 パフォーマンスができるのかを理解して いる方は少ないのです。自分自身を理解 し、調整する練習をすれば、さまざまな シーンでもっとよい成果を得ることがで きるはずです。 栗山:荒木さんは著書のなかで多くの 原則や実践を提言されています。例え ば、「がんばりマス」目標が一番いけな いという提言がありました。これは誰も が理解できるような表現に工夫されて いますよね。 荒木:そうですね。なるべくわかりや すい表現を心がけています。ちなみに スポーツ心理学では目標設定について 40年以上研究がされています。「目標」 を問われたとき、日本の学生は「精いっ ぱい頑張ります」と気合とともに答え がちです。しかし、目標を、自分のどの パフォーマンスをどのように向上させて いくのか考える機会ととらえたとき、「が んばりマス」ではなく具体的な目標を設 定することが非常に大切です。そうした 世界中で行われている最先端の研究結 果を集約し、かみ砕いて多くの方が理 解できる日本語や関西弁(笑)として伝 わりやすい形で発信することが、私の仕 事の一つ、使命だと思っています。 栗山:リーダーシップについても、鍛え 方の理論が確立されています。しかし日 本では、それを誰かに教えてもらうもの という考えが定着していないですよね。 荒木:私たちは幼いころから、思いや りの心を育むように、まわりの人と協力 するようにというような教育を受けます が、リーダーシップの教育を受けること はほぼありません。それなのにある日突 然、職場や学校のクラブ活動でリーダー を任されるのです。上司や監督は「責任 を持って」チームを引っ張るようにと言 いますが、一方でリーダーを任された側 の本音は、「リーダーシップを発揮しな ければいけないとは思うが、何を心がけ ればいいかわからない」と思っているは ずです。 さらに言えば、日本でのリーダーに対 するイメージは、カリスマとして人々を 引っ張る人というスタイルです。今求め られているリーダーシップは、「人に寄 り添って一緒に物事を目標に向かって進 めることができる人」。だから私は、ど うすれば部下やチームメートの心に訴 えかけることができるか、影響力を発揮 することができるかを要にコンサルテー ションしています。 栗山:荒木さんのリーダーシップ論に、 大いに共感します。経営学部では、「人 間主義経営」というモットーをもとに、 リーダーシップを持った人材の育成を目 指しています。 「人間主義経営」についてはこの10年、 スイス・ジュネーブに拠点を置く世界的 研究者のネットワークである『人間主義 経営センター』との交流を行いながら、 そこが提唱する3ステップアプローチの 研究と教育に力を入れてきました。 第1ステップは「人間の尊厳性の尊重」。
RkJQdWJsaXNoZXIy NDU4ODgz