学問 探訪 鈴木 拓也 教授 【 経営学部 】 時代の変化に対応しながら進化を遂げる「マーケティング」。 複眼的に学ぶことで自分の世界が広がり、新たな未来へとつながる。 学問という言葉の響きから古典的なイ メージを抱く人もいるかもしれません。しか し実際には、時代とともに学問は変化し、常 に新たな可能性を生み出しています。今回お 話をうかがった鈴木拓也教授の専門分野で ある「マーケティング」は、現代社会の姿を映 し、進化し続けている学びです。 「今も昔もマーケティングといえば、“商品 やブランドの価値を消費者に認めてもらい、 適切な価格でビジネスを展開して企業の利 益を確保すること”という基本的な考え方は 変わりません。しかし具体的な手法は新し い技術とともに進化しています。かつてはマ スメディア全盛の時代でしたが、インター ネット技術やAIの発展により、マーケティン グのあり方は一変しています。ECサイトで は、AIがリアルタイムで需要予測を行い、価 格を細かく変動させるといった手法も生ま れています。これからも新たな技術が登場す るたび、マーケティングの手法も変わってい くでしょう」 時代とともに移り変わる社会と消費者。そ の関係性を読み解き、ビジネスを通じて社会 の可能性を広げていく。それがこの学問の醍 醐味なのです。 「現在の日本は、歴史的な物価高であり、あ らゆるものの価格が上昇しています。わかり やすい例を挙げると、ファストフード店の支 払いでは軽く1000円を超えることも当た り前になってきました。このような状況で、 企業は価格に見合った価値を製品やサービ スに付加できているのか、これまで以上に 厳しい消費者の目にさらされる状況となっ ています。ある企業は、環境問題や社会課 題を解決に導く製品やサービスを生み出す ことで、消費者の支持を得ようとするアク ションをとりました。その一番わかりやすい 例が、カフェのストローがプラスチックから 紙素材に変わったことです。これは『、環境 マーケティング『』グリーンマーケティング』 と呼ばれる領域の研究対象です。つまり、 現代のマーケティングにおいて企業と消費 者という二者間の関係だけでなく、社会全 体への影響も考慮に入れる必要も生まれて いるのです。『グリーンマーケティング』は、 まさにその現れの一つだといえます」 ちなみに鈴木教授がマーケティングの面 白さに目覚めたのは、学生時代のこと。 「きっかけは、とてもシンプルなんです。〇〇 学というように漢字で書かれた学問が多い なかで『マーケティング』だけはカタカナで、 それが新鮮だったんです。しかし中身を学 んでいくうちに、商売の仕組みを解き明か す面白さにのめり込んでいきました。それ File 38 創大の から大学の後半2年間は、マーケティング一 色の日々を過ごしましたね。社会の動きを敏 感に察知し、経営学だけでなく、統計学、経 済学、社会学、心理学など、複眼的な視点 から物事を考察する必要があり、学びの領 域がどんどん広がり、視野も広がりました」 鈴木教授が自らの経験で語ってくれたよう に、学問は特定の分野だけでなく、自らの興 味関心を道しるべにし、さまざまな領域に触 れ、学びを広げ続けることができる。特に、 私たちを取り巻く社会は刻一刻と変化するよ うな時代だからこそ、学生の皆さんには柔軟 な思考力と、それを支える幅広い知識が求め られると鈴木教授は言います。 「学生の皆さんには、興味のおもむくまま に、いろいろな学問分野に触れてほしい。今 この瞬間も、社会課題は新たに生まれ、技 術は進歩し続けています。その変化のスピー ドについていけるのは、常に学び続ける姿勢 を持った人たちです。創価大学という恵まれ た環境で、人生の糧となる学びを存分に吸 収してください」 鈴木教授の言葉からは、学生に豊かな未 来を託す期待が感じられます。大学で培う 広い視野と、変化を恐れず好奇心を羽ばた かせる勇気。それこそが、新たな時代を切り 拓く原動力となるのではないでしょうか。 [ テーマ ] 社会とともに進化する 「マーケティング」 Takuya Suzuki 15
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