04 新しい技術に出会ったら、まず遊ぶ。 論文が書けるぐらい徹底して。 その先に、新しい技術を生かす アイデアが生まれる。by 落合 陽一さん 篠宮 紀彦/Norihiko Shinomiya 落合 陽一/Yoichi Ochiai デジタルネイチャー、HCI、生成AIなどの研究に従事。計算機以後の新しい自然像である「デジタルネイ チャー」を提唱し、世界観を示す。またメディアアーティストとしてはEXPO 2025大阪・関西万博のテー マパビリオンの一つをプロデュースしており、デジタルネイチャーをコンセプトに人間と自然、テクノロジー が調和する彫刻的なパビリオンを制作している。代表的な著書には『デジタルネイチャー 生態系を為す 汎神化した計算機による侘と寂』や『魔法の世紀』(どちらもPLANETS/第二次惑星開発委員会)など。 大学での専攻は、情報学基礎、計算機システム・ネットワーク。 創価大学で博士課程を修了後、大手情報システム企業の研究 所で活躍。その後、本学に戻り、現在に至る。現在、SNSでの 情報拡散の仕組みを数学的に分析し、フェイクニュースの拡 散を防ぐための研究を推進している。 落合:僕の恩師が、「博士号を取得する ということは、明日ラーメン屋を始めた としても、それを成功させられるだけの 知見とスキルを身につけているというこ とだ」とよく言っていました。つまり、 専門分野にとらわれない応用力、課題 解決力を培うことが本当の意味での学び だということなのです。 それは、研究者としてのベースを持つ ことの重要性を説いた言葉でした。研究 者をしていると、何か新しいことを始め る際の方法論を学び、訓練する機会が あります。リサーチの方法やデータの収 集・分析、それをどのように応用するか といったスキルは、どの分野でも応用可 能です。これにより、単にアイデアを持 つだけでなく、それを具体的に形にする 能力が養われます。 僕がいつも学生に強調しているのは、 新しいことをやろうと思ったときに、そ の周辺にある知識や体系だったものを しっかりと「採取」することが必要だと いうことです。 篠宮:専門分野を深く追究するのと同時 に、幅広い知見を吸収し、それらを融 合させる発想が重要なのですね。異分 野の知をつなぎ合わせることで、新たな 可能性を切り拓くことができる。その意 味で、大学が学際的な学びの場として果 たす役割は、ますます大きくなっていき ます。 落合:僕自身、メディアアートや工学な ど多岐にわたる分野に興味を持ち、そ れらを融合させることで新しい価値を生 み出してきました。大学は、このような 学際的な学びを奨励し、さまざまな視 点から物事を考える力を養う場です。 僕は学生に対して、学び続けることの重 要性を伝えています。学生が自分の興 味を追求し、それを応援するのが僕の 役割です。さらに大学は、挑戦ができ る安全な場でもあります。失敗しても大 丈夫な環境があることで、学生はリスク を恐れずに新しいことに挑戦できます。 そして自分の限界を超え、成長すること ができるのです。このような環境が、将 来的に新しい価値を生み出す力を育む のです。 篠宮:落合さんの言葉は、まさに本学 の教育理念とも通じるものがあります。 学問の面白さ、知的探求の喜びを存分 に味わいながら、社会に貢献できる人 材を育てること。それが、大学に課され た使命だと私は考えています。変化の時 代を担う若者たちが、学びのなかで無限 の可能性を切り拓いていけるよう、私た ち教育者も全力で支えていきたいです。 専門領域を超え、知を採取する重要性。 分野を超えた知識の出会いで学びの可能性が広がる。 SUN122 2024 Summer
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