創価大学ニュース「SUN」99号 2018 Autumn
09 海洋汚染と資源の乱獲 海洋汚染の影響も深刻である。「海の憲法」とも呼ばれる 「海洋法に関する国際連合条約(United Nations Convention on the Law of the Sea)」において、「海洋環境の汚染」とは、 生物資源および海洋生物に対する害、人の健康に対する危 険、海洋活動に対する障害、等と定義されている。工場排水や 家庭排水などに含まれる有害物質が海洋に流れ込むことに よる汚染が原因の一つとしてあげられ、海洋汚染を防止する ために「マルポール条約」、「ロンドン条約」などの国際条約が 締結されている。また、大気中のCO 2 (二酸化炭素)濃度の増 加に伴い海洋に溶け込む CO 2 量が増加するため、海洋 が酸性化してきており、海洋 生物への影響も懸念されてい る。さらに、海洋資源である魚 介類の乱獲によって、海洋 の生態系のバランスが 崩れつつある。 グリーンランド・南極の 氷が解け海面上昇 本年夏、日本各地で連日の猛暑となり、観測史 上最高の気温を記録した地域もあったことは記憶 に新しい。地球温暖化の影響は、「暑さ」という直接 的な影響だけでなく、海面の上昇にも影響を及ぼし ている。温暖化によって海洋上に浮かんでいる海氷が 解けたとしても、海面上昇に大きな影響はないが、南極 大陸やグリーンランドなどの氷床が解け、海洋に流れ込む と海面が上昇する。気候変動に関する政府間パネル(IPCC) 第5次評価報告書によれば、「過去20年にわたり、グリーンラ ンドおよび南極の氷床の質量は減少しており、氷河はほぼ世 界中で縮小し続けている」ことが報告されている。その他、温 暖化によって海水の温度が上昇すると、海水の熱膨張が起こる。 これによって海面の上昇が発生することも指摘されている。 深刻なバングラデシュの水質汚染 バングラデシュでは、飲料水に含まれるヒ素による水質汚染 が問題となっている。1970年代頃から、清潔な水を供給する ため、バングラデシュでは国内の多くの地域において井戸を 掘る事業に着手した。その結果、大勢の国民が清潔な水を享 受することができるようになった。しかし、1990年代に入っ て、土中に含まれるヒ素が、地中をつたって井戸の地下水に 混入されていることが判明した。世界保健機構(WHO)では、 安全な水質基準値として、1リットル当たりに含まれるヒ素が 0.01mg未満であると定めているが、バングラデシュの多くの 地域では、この基準値を上回るヒ素が検出されている。この飲 料水に含まれるヒ素が体内に蓄積されることにより、数々の 健康被害をもたらしている。 地球の生命力を 科学技術からのアプローチ ここで紹介した事象だけでなく、地球では現在、様々な変化が 起きており、それらは相互に密接に関連している。「プラネタ リー・バウンダリー(地球の限界)」は、以下の9つの変化を人 間が引き起こすことによってもたらされているとされている。 すなわち、 ※ ①生物圏の一体化(生態系と生物多様性の破 壊)、②気候変動、③海洋酸性化、④土地利用変化、⑤持続可 能でない淡水利用、⑥生物地球化学的循環の妨げ(窒素とリ ンの生物圏への流入)、⑦大気エアロゾルの変化、⑧新規化 学物質による汚染、⑨成層圏オゾンの破壊の9つである。こ の9つの変化が、境界(限界)を越えることがなければ、人間 の生活が脅かされることはなくなると考えられ、その境界を越 えないようにするための取り組み、ロードマップがすなわち SDGsである。 https://www.env.go.jp/policy/hakusyo/h29/html/hj17010101.html ※一部引用「環境省平成29年版環境・循環型社会・生物多様性白書」より 次ページでは、 創価大学各研究室の具体的な取り組みを 紹介していきます SDGs What’s
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