【「価値創造×SDGs」Week開催レポート】
岡部エミリー直美さん(法学部4年)

2020年12月11日(金)~17日(木)にわたって、「価値創造×SDGs」Week(後援:国連広報センター)を開催しました。17日クロージングイベントでの岡部エミリー直美さん(法学部4年)のプレゼンテーションのレポートです

テーマ:不正義と人権について――機会に恵まれていない人たちのために

岡部さんは、カリフォルニア州南部で生まれ育った日系アメリカ人1世。高校卒業後、18歳でアメリカを離れ、本学法学部に入学。国際平和と外交を学んでいる。学生たちとの対話、ゼミで知った「当たり前を問え」を考えるうちに日常の中に疑問が生じ、真理を求める気持ちが強くなっていった。「例えば、なぜ自分はきれいな飲み物が手に入るのにそうではない人がいるのか。なぜ地球上にはすべての人が食べられるだけの食糧があるのに、多くの人が餓死しているのか」。2018年、日本国連学生連盟に参加し、チームリーダーとなり、市場経済の利益追求と基本的人権についての課題を調査する。仲間とともに東南アジア4か国を訪問。それは、岡部さんにとって初めての不正義との直接的な出会いだった。

「フィリピンのマニラに到着すると現地の友だちが、ちょうど労働ストをやっている街外れの工場へと案内してくれました。塀には標語がいっぱい書かれていて、道路わきにある掘立小屋には労働者たちが座っていました。私たちはドキドキしながら彼らに近づき、話を聞かせて欲しいと。追い返されると思っていました。ところが怒りでいっぱいながらも彼らは小屋では一番きれいなベンチに座らせてくれ、丁寧に、何年も続く非人道的な労働状況を終わらせたいと語ってくれました。彼らは極めて低い賃金や職場でのケガに苦しんでいました。打ちのめされるような経験でした。苦しんでいる人たちを前に全くなすすべがない、耳を傾けることしかできなかったのです」

「フィリピンのマニラに到着すると現地の友だちが、ちょうど労働ストをやっている街外れの工場へと案内してくれました。塀には標語がいっぱい書かれていて、道路わきにある掘立小屋には労働者たちが座っていました。私たちはドキドキしながら彼らに近づき、話を聞かせて欲しいと。追い返されると思っていました。ところが怒りでいっぱいながらも彼らは小屋では一番きれいなベンチに座らせてくれ、丁寧に、何年も続く非人道的な労働状況を終わらせたいと語ってくれました。彼らは極めて低い賃金や職場でのケガに苦しんでいました。打ちのめされるような経験でした。苦しんでいる人たちを前に全くなすすべがない、耳を傾けることしかできなかったのです」

岡部さんの関心は、より広い人権へと移っていった。テーマは、人々の苦しみに目に見える変化をもたらす手段としての法律と政策の必要だった。

「人権のために戦うさまざまなアプローチを経験しました。まず、東京にあるNGOヒューマン・ライツ・ウォッチでインターンとして働きました。ここで日本国内の人権問題調査の手伝いができました。女性受刑者の権利、トランスジェンダーの権利、そして子どものいじめ、職員たちが人権被害者たちと面談する場にいられたことは貴重な経験でした。NGOの重要性がよく理解できました」

岡部さんは、2018年にアルゼンチンで開催された“Girls20サミット”で日本代表に選ばれ、政策提言づくりを経験した。“Girls20サミット”はG20の指導者たちにコミュニケを届け、若い女性たちの声を拡大しようというもの。フランス、南アフリカ、アフガニスタン、イタリアの代表たちと金融リテラシーに関するワーキンググループに参加。文化や、国内の法的バックグラウンドの違いからくる壁に突き当たりながらも、 “若い女性と子供たちの生活を改善するための提言づくり”という究極の目標が互いを理解、近づけていったという。また、2019年9月から2020年9月までギャップイヤーをとり、南アフリカ人権委員会で司法インターンとしてケープタウンへ。その後、国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)でインターンも経験した。

「南アフリカ人権委員会は独立した国の機関です。南アフリカの保護、開発、人権獲得の推進を担い、国内に人権の文化を定着させていく組織。委員会のメンバーたちは法的支援を行う弁護士という資格で行動し、人権意識を広げるための政策提言をしていました。その活動に接して、これこそ私が探していた仕事だと思いました。
また、国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)は、人権を担当する国連組織です。私は人権理事会の苦情手続きをする部署で働きました。ここで各国の首脳陣、大使、NGOの代表、そして市民社会が世界の人権の強化に取り組む様子、加盟国における人権侵害を決定する可否判断のプロセスを見ることができました。素晴らしい経験になりました」

こうした経験を通して、岡部さんは現在、人権担当弁護士となり、政策専門家として最も弱い人々を助けることを仕事にしたいという。

「創価大学に来るまでは、私も地球の反対側で餓死している子供たちや、寝ている間に外で爆発音が聞こえている人たちのことを考えたこともありませんでした。しかし、本学の創設者が『大学は、大学に行けない人のためにある』とおっしゃったように、今日ここにいるすべての皆さまには、制度に拒否されなかった者として、人生で大きな機会を享受でき得る恵まれた者として、ぜひ行動をとって欲しい。どんな小さいことであっても、機会に恵まれていない人たちの生活をより良く変えていっていただきたいです」

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