【「価値創造×SDGs」Week開催レポート】
<質疑応答>人道的競争の時代へ:平和構築のために我々ができること

2020年12月11日(金)~17日(木)にわたって、「価値創造×SDGs」Week(後援:国連広報センター)を開催しました。14日のシンポジウム「人道的競争の時代へ―平和構築のために我々ができること」での、参加者との質疑応答のレポートです

講演者:赤十字国際委員会(ICRC)駐日代表のレジス・サビオ氏、グリフィス大学宗教・文化間対話センター長のブライアン・アダムス氏、創価大学国際平和学研究科のニコラス・エマニュエル准教授

赤十字国際委員会(ICRC)は社会環境や時代背景などに適切に対応し、取り組みを進めてこられたことと思います。特にどのような点を意識してきましたか。

「人に近づき、ニーズを感知することです。今はデジタル化の進展ががさまざまなチャンスを与えてくれると思います。バーチャルな環境で人に近づくことができるからです。個人情報保護の問題などもありますが、新たな支援を提供できると考えています。パートナーシップを広げることも可能です。さまざまなセクターから解決策を引き出すことができます。創価大学とのパートナーシップもとても大切だと考えています」(サビオ氏)

縦割りの多国化体制の課題がある中で、どこかの国がイニシアティブのリーダーシップを取ると考えますか。G20の中でファシリテーションできるような国はあるでしょうか。

「その役割は、ぜひ日本が担っていただきたいと思います。また、次のG20はイタリアが主催国です。非常に重要な時期になると思いますので、私はイタリアがリーダーシップを取ると期待しています」(アダムス氏)

学生一人一人には、何ができますか。コラボレーションするにはどうすればいいですか。

「私には何ができますか、とは素晴らしい質問です。それだけで一歩先を行っていると思います。まずしっかり大学で学んでください。コラボレーションする際は、他の人の観点が理解しにくくなるものです。きちんと講義を受け、理解を深める準備をしておくことです。特定のスキルの教育を受けてください。周りの人にも学んでください。たくさんの外国人学生との関係を築いてください。世界中で学んでみてください。今は内向きになる時代ではありません」(アダムス氏)

戦争や紛争をしたいと考える人たちもいると思います。どうやってこういう考え方をなくすことができるでしょうか。

「(戦略策定で著名な)チャールズ・W・ホファーが言ったように、こういった指導者たちを脇に追いやり、考え方、国の見方を変えさせることが大切です。もちろん簡単なことではありません。ご指摘のように、指導者たちの中には、紛争、戦争によってお金を儲ける人たちがいる。そういった人は、国際法廷の前に引き出すべきです」(エマニュエル准教授)

シンク・グローバリー、アクト・ローカリー(地球規模で考え、足もとから行動せよ)という考え方についてお聞かせください。

「2020年、豪州クイーンズランドで州議会総選挙が、また米国で連邦議会選挙が行われましたが、選挙はローカルでも世界的な見方をしなくてはいけません。今、世界はつながっています。ローカルな選挙でも国際的な影響があります。個人的なあるいは国だけの利益を考えずに、どのような影響が世界的に及ぶかを考えて投票すべきです」(アダムス氏)

「3つの観点があると思います。まず教育です。自分で勉強をして、そして世界で何が起きているか、あるいは地元で何が起きているかを理解してください。次にボランティアです。例えば市民組織で、あるいは国際組織でボランティアをする。一体何が起きているかを知ることができます。そして、意識を高めることです」(エマニュエル准教授)

平和構築において、外部からの介入が上手く機能した具体的な例がありますか。

「例えば、南アフリカでは、アパルトヘイトが終わった1993~95年頃、国際コミュニティと国内コミュニティがマンデラ氏やデクラーク氏などと協力をし、援助の枠組みをつくりました。アメリカでも、その他の国でもありません。南アフリカ自らの手においてです。そしてドナーは、この枠組みを支援しました。これはとても良い進め方だと思います。条件としては、国際・国内コミュニティが近い関係にあることです。このような国々は紛争や危機の後にサポートを必要とします。一番の方法は一緒に手を携えて協力することです」(エマニュエル准教授)

「具体例では、イエメンで拘留されている人たちを移送させたことです。ステークホルダーたちが実際に両者の不満に対応しました。当事者同士をスウェーデンで協議させました。そして『わかった。拘留されている人たちを移送させよう』との結論に至りました。ICRCがこれを調整しました。行動の第一歩は、人道的な道を開くことなのです。ICRCは信頼できるパートナーとして、それを実現したわけです。非常に良い例だと思います」(サビオ氏)

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