
笑いの心
(1999年度卒業/経済学部)、
⼟屋 伸之さん
(2000年度卒業/経済学部)
芸術選奨文部科学大臣新人賞を受賞するなど、寄席向けの漫才も高く評価される実力派お笑いコンビ、ナイツ。創価大学への思いを語ってもらいました。
大学時代の「糧になった経験、エピソード」を教えてください。
塙一人暮らしをしていた大学4年間は、貧乏生活そのものでした。卒業してからの生活と比べれば、食べ物とかあんまりいいもん食ってなかったなと思いますね。体も壊しがちでした。今はその時の経験から、健康には気を使っています。コンビニのおにぎりとコーラとカップラーメンは、たぶん人生で摂取する量をオーバーしちゃったんで、今はもう全く口にしたくないです(笑)
土屋僕は実家から通ってたので、そんなことはなかったですね。ただ、高校から大学1年ぐらいまでは、特定の友人以外とは全然しゃべれない性格だったので、2年生の後半に落研に入ってから、やっといろいろな人と会話やコミュニケーションができるようになりましたね。
落語研究会に入ろうと思ったきっかけは何ですか。
塙僕は学内で行われていたライブです。1年生の途中から2年生の終わりまで、ずっとお客さんで見ていました。
土屋やはりライブですね。お笑いを生で見るのは初めてだったので、めちゃくちゃ面白くて、もうここに入ろうとすぐに決めました。落研 に入ってからは、それまでの引きこもりがなおった感じですね。また、 落研は厳しいこともなく、先輩から後輩への面倒見もすごく良かったと思います。
漫才とフリートークは違う
在学中ゼミの先生に言われて理解できなかった僕が
大人になって気づく
印象の強かった思い出があれば教えてください。

塙僕は当時住んでいた佐賀県から上京して公募推薦入試を受けたのですが、佐賀県出身の先輩たちが「この人の家に泊まれるようにしといたから」とか、次の日には手作りの弁当まで持たされたり。合格したら、入学者の垂れ幕みたいなものまで作って出迎えてもらったり。すごい良い思い出ですね。大学4年の時には「何か思い出を残そう」ということで企画した 「100キロマラソン」が印象深いです。実家のある千葉県の我孫子から八王子まで24時間で完走するという。でもこれが全然計算通りにいかなくて、48時間かかるわ、モモからは出血しまくるわと、とんでもなかったですね。
土屋僕は「100人コント」です。創立者に映像で見ていただけるということで頑張りました。でも部員100人勢ぞろいし、一人一ボケの呼吸合わせが大変で何度も何度も練習を繰り返したのを覚えてます。
塙それから、ゼミの神立孝一教授に「ネタになってないからダメなんだ」と指摘されたこともあります。「面白ければいいんじゃないですか」と切り返したところ、「全然わかってないよ。お笑いを」と。「なんでこんなイチ経済学部の先生にそんなことを言われなきゃいけないんだ」と思いましたね。でも今になってその意味が理解できるようになりました。「要は漫才はフリートークとはちょっと違うんだよ」と。 自分も今は同じようなことを考えたりするので「神立先生ってすげえ、ちゃんとそういうの見てたんだな」と思いましたね。
土屋僕は特に何か言われた記憶はないのですが、「人は社会に出たらやっぱり信頼を勝ちとらなきゃいけない」ということはゼミの時に教えてもらえたかなと思っています。
一人でも多くの人に生でお笑いを見てもらいたい
楽しさをもっと広めて後世に伝えていけたら
印象の強かった思い出があれば教えてください。

塙協会の理事職は「責任感」からでしょうか。みんなはやりたがらな いですが、僕は大学の頃から人がやりたくないことを率先してやろうと決めていて、この場合も同じです。
土屋そうですね、漫才協会の理事でもありますし、一人でも多くの人に生でお笑いを見てもらいたい、楽しさをもっと広めていきたい、後世に伝えていけたらと思います。そういう役割かなと思っています。
塙僕は野球がめちゃくちゃ好きなんですよ。本当にできれば160キロとか投げてみたい。でも実際には80キロでしか投げられない現実。だから、ものすごくうまいもん食いたいけど、自分で作るより人に代わりに作ってもらう方がいいのと同じです。自分の場合は、嫌なことを笑いに変えたくても変えられない人がいっぱいいる世の中で、それを代わりに作ってあげてるようなもの。自分たちが代わりにやって、人に喜んでもらえる、そんな職業人だったらいいなと思っています。
※ SUN100号のインタビュー記事より転載


2007 年、落語芸術協会に入会。2010年11月に漫才協会の真打に昇進。2015年、漫才協会理事に就任。マセキ芸能社所属。
- 創価大学 落語研究会
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1971年に創部。現在の部員は120人を超える。年に6回大きなラ イブがあり、夏と冬の2回は一般にも披露。「大学芸会」という大学 のお笑いサークルが芸を競う大会では、2016年には団体優勝を果 たす。また、「大学生M-1グランプリ2018」では落語研究会から出 場した「ダイソンウェイパー」が218組の頂点に輝いた。出身者には ナイツの他、エレキコミックなど、第一線で活躍する芸人もいる。