勤務先の病院は新型コロナウイルス感染症の患者さまをいち早く受け入れ、私の所属する救急外来には感染が疑われる患者さまがたびたび搬送されます。受け入れ当初は情報が錯綜しており、治療に携わる際は常に恐怖と隣り合わせでした。今では経験の蓄積とともに感染対策や治療のルールも定まり、患者さまに安心していただける体制が整っています。

コロナ禍で改めて実感したのが、医療体制は社会全体がつくっていくものだということです。感染拡大を防ぐには、手洗いやマスクの着用を徹底し、自分自身を守る一人ひとりの行動が不可欠です。また、患者さまのなかには新型コロナウイルスに感染したことを知られたら周囲に冷たい目で見られるから診察に来づらかったと話す方もいました。医療従事者としては、一人ひとりの行動や社会の差別の目が、医療に影響を与えていると感じます。国際医療研究センター病院には、外国の方、ホームレスの方、セクシャルマイノリティーの方など、さまざまな背景を持った方が来院します。新型コロナウイルス感染症に限らず、そういった方々が差別による重圧から受診が遅れ、病気が悪化してしまったというケースが本当にたくさんあります。SDGsのゴール3「すべての人に健康と福祉を」を実現するためにも、先入観ではなく、正しい知識を持って一人ひとりの差異を認め合い、みんなで温かい声をかけられる社会を目指していきたいと思います。

※ SUN107号のインタビュー記事より転載

Profile
高橋 友里奈さん
看護学部看護学科 2017年卒業

看護師
国立国際医療研究センター病院 勤務

トップへ戻る
寄付事業の
ご案内
2030年への
Vision