現在、私はアフリカのガンビアにあるユニセフ事務所で、現地政府やさまざまな国際機関と協力して、健康・教育・福祉を向上させ、若者や子どもたちの可能性を広げる活動をしています。社会に貢献する仕事への憧れは、祖母の存在があったからです。祖母は自分の年金を使って、当時まだ地元・埼玉県に少なかった障がい者の支援施設を運営していました。小さいころから、そんな祖母の姿を身近で見ていた私は、自然と「いつか自分も社会に役に立てる仕事をしたい」と思うようになりました。そして創立者が「21世紀はアフリカの世紀」と語ったジブチ共和国大統領との対談記事に感動し、アフリカに興味を持ちました。

創価大学入学後はパン・アフリカン友好会に入り、自分の視点でアフリカについてさまざまなことを学びました。大学2年生のときには海外ボランティアとして現地へ1カ月行き、「もっと深くアフリカについて学びたい」と感じ、ケニア・ナイロビ大学への1年間の留学を決めました。留学中は現地の方のたくましさや明るさを感じるとともに、生活環境の過酷さを体感しました。私は、現地の平均的な学生と同じ環境で暮らそうと、海外の留学生向けの施設ではなく、現地の学生向けの相部屋の女子寮に入寮しました。当時はまだ水道もなく、水の供給車にバケツを持って並んで水を手に入れ、シャワーや食器洗いに使いました。本当に厳しい生活環境で、インフラの大切さを痛感したものです。さらに、富裕層の多くの若者がエイズで亡くなっていることも知りました。貧富の差に関係なくインフラやエイズなどの感染症、衛生、教育など、さまざまな社会問題があることがわかったのです。

一方で、留学中に青年海外協力隊として活躍されている方や、大学の教壇に立っている方など、アフリカに根を張って社会貢献に取り組む創大の卒業生にお会いし、現地との関わり方の大切さを教えていただきました。そして解決すべき問題は多種多様で一つのアプローチでは解決できないので、「どんな分野でも役に立てる「」いろいろな生き方がある「」たとえ遠回りをしても自分にできることを見つければいい」と気づけました。この留学中の経験や出会いによって、国際協力の道に進む勇気が持てたと思います。

今、自分に何ができるのかと悩んでいる方も多いと思います。でも、世界が抱える課題を解決するためには、多様な力が必要です。遠回りするなかに多くの学びはあり、そこから人間の幅が広がると考え、さまざまな可能性に挑戦してほしいです。

※ SUN110号のインタビュー記事より転載

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高橋 とし子さん
文学部/23期卒業生
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