04 便利なツールを有効活用しながらも、 自分なりの視座を持ち、選択する習慣を。 山﨑:本学では学生が自身の力を発揮 できる大学生活を送るために、課外の学 習支援サービスを用意しています。レポー ト作成のサポートを担う日本語ライティ ングセンターと、学生生活全般の何でも 相談できるヘルプデスクです。ヘルプデ スクでは、自己管理・アカデミックスキ ルを含む個別相談や学習セミナー、数学 の個別チュータリングを行っています。 自己管理に関する相談では、学生の将来 の目的から逆算した履修科目の選択もサ ポートしています。 原田:大切な取り組みですね。実際に、 今若い人たち向けのサービスでも、理想 の自分に導いてくれる診断系のサービス が急激に増えています。例えばコスメで は、肌色から「イエローベース」か「ブ ルーベース」に分類し、「じゃあ、あな たには、このコスメが合う」と教えてく れる。骨格診断で「この洋服が似合う」 と提案してくれるサービスもあります。 これらは私たちのまわりにある情報が 膨大になっていることを意味しています。 感度の高い人は自力で自分に必要な情 報を抽出できますが、情報に溺れてし まっている人も少なくありません。そう いった人に対して、情報をカスタマイズ して示す。学習面でも個別ニーズに応え るサポートがあるなら、学生は安心して 勉強に取り組めるでしょうね。 一方で、情報過多な状況だからこそ、 自分の視座を持って情報を選択できるよ うに支援することも、学校教育において非 常に大切なポイントではないでしょうか。 山﨑:おっしゃる通りですね。答えを教 えるのではなく、基本はアドバイスベー スでありつつ、学生が自発的にできる部 分を伸ばすようにサポートすることが必 要だと考えています。 ヘルプデスクでは、先輩学生がピア サポートとして学生の悩みを聞くことも ありますが、ときには授業への取り組み 方や将来のビジョンに対して現実を問い かけることで、学生自身の自発性を支援 しています。 原田:先輩学生が本音で向き合ってい るのはいいことですね。今は「この企業、 就活セミナーでこんなことを言っている けど、実はこうだった」とSNSで実態 がすぐに明らかになってしまう時代で す。企業広報でも、これまではあり得な かった、本音を発信する手法が話題に なっています。美容院があえて「歓迎で きないお客さんの例」をSNSで発信 し、顧客に媚びない正直な姿勢が評価 されているという事例もあります。 山﨑 めぐみ/Megumi Yamasaki 原田 曜平/Youhei Harada 若者・メディア論の研究をしており、専門は日本や世界の若者の消費・メディア行動研究および マーケティング。2013年「さとり世代」、2014年「マイルドヤンキー」、2021年「Z世代」がユー キャン新語・流行語大賞にノミネート。「伊達マスク」という言葉の生みの親でもあり、さまざま な流行語をつくり出している。主な著書に『Z世代 若者はなぜインスタ・TikTokにハマるの か? 』(光文社新書)など。 玉川大学文学部初等教育学科卒業後、アメリカのミネソタ大学教育行政・ア ドミニストレーション学部比較国際・開発教育(博士号)を修了。高等教育、 学生能力育成を研究してきた知見を活かし、創価大学の総合学習支援セン ターの副センター長を務めた。現在は、障害学生支援室の室長として学生を 支援している。 SUN117 2023 Spring 私も調査において、相手とうわべで付 き合うのではなく、遠慮なく、聞きたい ことを質問します。性格上率直な物言い をするので、ひょっとしたら相手は最初 「えっ?」と戸惑うこともあるかもしれま せんが、本音でぶつかることで心を開い てくれ、本心を聞くことができると確信 しています。 山﨑:創価大学にはさまざまなピアサ ポートがあるのですが、サポートを受け た学生の多くが、自分の成長を実感で きたと口にします。厳しいけれど本音で アドバイスをくれた先輩に対し、人生の 恩師と言えるぐらいの感謝をしている人 もいます。 原田:厳しさの意味をしっかりと感じて もらえるのはいいですね。就活が早期化 したことから、リクルーティング重視で 近視眼的に自分に必要な学びを決める のでは、人間としての器も大きくなりま せん。大学時代は年齢的にもいろいろ な可能性があるのだという意味では、副 専攻はもちろん、日々の情報行動もなる べく視野を広く持って、自分の頭で考え て、そのなかで選択していってもらいた いですね。 山﨑:本当にそうですね。私たち大学も 学生たちの考えをしっかりと受け止め、 人間としての器を大きく育む学びへと導 いていけるよう、努力していきます。
RkJQdWJsaXNoZXIy Mjc4NTQzNg==