05 創価大学には、卒業したあとも、キャンパスへ、恩師のもとへ、「ただいま」と帰ってくる先輩たち がいます。大学で学んだことが、社会に出た今も、仕事や研究の場面でちゃんと活きている― そう実感しているから。先輩たちが大学で身につけたのは、知識だけではありません。必要なこ とを見つけ、自ら調べ、考え、人と学び、学び直していく「学ぶ力」。本特集では、その力がどう育ち、 今をどう支えているのかを、先輩と後輩の姿から見つめます。 自分を知り、問いを立てる 調べ、議論し、形にする P7:経済経営学部1年生・百成 南愛星さん 社会で、価値に変える P8:卒業生・安藤 潔さん(経営学部卒業) 仮説を立て、試し、問い直す P9:卒業生・池田 勇輝さん(理工学研究科修了) 目標の先で、学び直す P10:卒業生・長﨑 彩音さん(文学部卒業) Focus 創大 1 2 3 4 5 〜あ の日の学び、今も活きています〜 創大で身につく「学ぶ力」 ただいま、創大
06 SUN131 2026 Autumn 仕事にも、人生にも、決まった正解はありません。だから、経済経営学部の1年春の授業 「Humanistic Leadership Workshop 1(以下、HL1と略)」は、「自分の好きなこと」から始まります。 最初の取り組み「自分の好き展」では、4人1組になって自分の好きを6分間語り、 仲間から質問と感想の“手紙” を受け取ります。教室は笑顔だらけ。好きを言葉にすると、 自分が何を大切にしているかが見えてくる。仲間の好きを聞くと、違う考え方が面白くなる。 答えのない問いに向き合う力は、自分を知ることから育ち始めます。 HLP(Humanistic Leadership Program)は、経済経営学部の学びの柱。合言葉は「自分の好きが未来(セカイ)を創る」です。 1年の春から2年の春まで、三つの学期をかけて、問いと出会い、深め、自分たちの提案力を磨き上げていきます。 「自分の好き展」と「未来デザインチャレンジ」は、最初の学期の授業「HL1」の2本柱。 好きなことを入口に、新しい価値を生み出せる人を育てるプログラムです。 ● GCP(グローバル・シティズンシップ・プログラム) 学びのプログラムは、ほかにも 問いを深め、次の一歩へ。 HLP 答えのない問いに向き合う時間を大学で。 自分の“好き”を 言葉にすることが、 問いと出会う第一歩です 好きなことで生きていく。 その問いを、1年生の うちから考えてほしかった 問われたことで、自分の “好き” を大切にして いいと思えました 学部の枠を越えた選抜制の世界市民育成プログラム。 アカデミック英語と課題探究を重ね、 世界で活躍する力を磨く。 ● GLC(グローバル・リーダー・カレッジ) キャリアセンター主催の課外講座。第一線で活躍する 卒業生を講師に、未来をきり拓くリーダーを育成する。 ● HOPE グローバル、地域社会に貢献できるリーダーを育成する 経済経営学部の選抜型のプログラム。 少人数制で早期から高度な経済理論や経営学を学ぶ。 ● ペガサスクラブ 教育学部生が英語を徹底的に鍛える学びの場。 先輩チューターとともに、グローバル時代の教育者を目指す。 自分を知り、 問いを立てる 学ぶ力 1 【 教 授 】 安田 賢憲 教授 学生に課題を 出した卒業生 安藤 潔さん 【 在学生 】 百成 南愛星さん ひゃくなり な あ ら あんどうきよし やす だ よしのり 【 【
07 「HL1」の後半で取り組むのが「未来デザインチャレンジ」。 時代を牽引する7人の経営者がメンターとして参加し、 それぞれが実際の仕事から生まれた本気の課題を、学生チームに投げかけます。 課題の一つは、「どうすれば“好きなことで、生きていけるか”」。 学生たちは受け取った問いを、調べ、議論し、どう提案の形に育てたのか。 優秀チームの1年生・百成南愛星さんの数カ月の歩みをたどりました。 学生の問いが、社会への提案に育つまで。 私たちがたどり着いた答えは「好き×行動×社会価値」。 ミッション提示(5月末) 好きだから、動ける。動き続けるから、誰かの役に立てる。今はまだ何にもつながっ ていない“好き” でも、自分次第で価値に育てていけると考えました。三つのなかで特 に大切なのは「行動」だと思います。どんなに好きでも、動かなければ何も身につか ないから。この授業で1番変わったのは、自分からチームを動かそうとするようになっ たこと。以前はまわりに合わせてばかりでしたが、自分から動けばチームがよくなると 実感しました。次は、最初からみんなが遠慮なく話せる雰囲気をつくりたいです。 課題は7人の経営者から一つずつ。百成さんのチームが挑んだのは、 卒業生・安藤さん(UUUM)の「どうすれば“好きなことで、生きていけるか”」。 一番白熱したのは、「人によって『好き』のとらえ方が違う」ということ。1人で突っ走らず、 全員の考えを聞き合ったことが前進のカギに。 調 査 「好き」を仕事にする方法を調査したものの、自分たちに何ができるのかわからず行き詰まった。 1人のメンバーの「好きなことでも、継続できなければ仕事として成り立たないのではないか」 という一言から「好き」と「趣味」の違いを調べ直した。 議 論 プレゼンは動画形式で。チームのために発表原稿を書いてくるメンバーも。 スライドとメンバーの映し方を工夫し、提出まで焦らずに仕上げた。 動画提出(6月末) 発表会(7月10日) 審査するのも7人の経営者。それぞれが自社の課 題への提案から優秀チームを選出。ステージで 直接講評を受けた。「信じられない気持ちでした。 いただいた指摘は、次に必ず活かします」 1 2 3 4 5 学生コメント 調べ、議論し、 形にする 学ぶ力 2 百成 南愛星さん(経済経営学部1年)
08 SUN131 2026 Autumn この授業で見ているのは、発表の出来ばえではなく、そこにたどり着くまでの道の りです。本気で働く大人の言葉に触れた学生たちは、「課題だからやる」から「本 気でいいものをつくりたい」へ、一気に顔つきが変わりました。ここで身につく、 自分を知る力、相手を知る力、肩書がなくても人を巻き込んでいく力は、正解のな い時代を生きるための“根っこ”。卒業のとき、自分のよさを信じて、自分の足で未 来へ歩き出せる人になっていてほしいと願っています。 学生にこの課題を出したのには、理由があります。1年生も、 3年たてば社会人。しかも、社会に出てからの人生のほうが、 ずっと長くなります。つまり、仕事をどう選ぶかが決定的に大 事だからです。全チームの発表動画を見て、驚きました。好 きなことで生きていく―つまり稼ぐには、誰かの役に立つ こと、新しい価値をつくることが欠かせない。その一番大事 なところを、全チームが誰に教わるでもなくわかっていたか らです。これが創価教育なんだと思いましたね。 私自身、この教育のありがたさに気づいたのは、卒業して からでした。今一緒に会社をやっている一番のパートナーも、 同い年の創大卒業生です。何を学ぶかと同じくらい、誰と生 きていくかが大事。後輩たちに伝えたいのは、誰でも絶対に、 好きなことで生きていけるということ。それを1年生の春から 考え始められるのは、大きなアドバンテージです。 本気の課題を出した経営者の1人は、19年前にこのキャンパスで学んだ先輩でした。 母校に戻ってきた卒業生と、この授業をつくった先生。2人の話から、 教室で育った力が、社会でどう価値に変わるのかが見えてきます。安藤さんが勤めるのは YouTubeをはじめとするクリエイターやインフルエンサーの活動支援、企業の マーケティング支援などを手がけるUUUM株式会社。だからこそ、学生に投げかけたのは 「どうすれば“好きなことで、生きていけるか”」という問いでした。 教室での試行錯誤は、社会へとつながる。 創大で得られる学ぶ力を 一言でいえば、 「価値創造の力」です。 卒業生インタビュー 安田 賢憲教授(経済経営学部 ビジネス学科) UUUM株式会社 取締役執行役員CFO/ 2007年 創価大学経営学部卒業。 三井住友銀行を経て2023年より現職 安藤 潔さん 教員コメント 社会で、 価値に変える 学ぶ力 3
09 高校までの私にとって、夢と目の前の勉強は別々のものでした。 それが創価大学では、学んだことがロボットという形になり、楽 しい毎日でした。「やりたいなら、1年生でも研究室へ」という崔 龍雲先生の言葉に惹かれて創大に進学した私は、1年から研究 室に通い、仲間とロボットを一からつくり、RoboCupで優勝しま した。JAXAの面接でアピールしたのも、自分たちでつくったロ ボットです。 今JAXAで取り組むテーマの一つが、宇宙を漂う衛星やロケット の破片をロボットで取り除く技術です。まだ正解がなく課題ばかり ですが、大学で身につけた「学ぶ力」で必要なことを自ら探し、学 び、試行錯誤をしています。今春からは母校の博士後期課程へ。 地上のロボットを知る自分だからこそ、宇宙に持ち込める問いが ある。恩師たちのいる研究室で、それを形にしたいと思っています。 理工学部の3研究室の学生でつくる知能ロボット開発 チーム。設計からプログラムまで自分たちの手でつくり上 げる。今年4月の国内最大規模の知能ロボット競技会で は、宇宙空間での支援をテーマにした新競技で優勝した。 AI、ロボット、情報セキュリティ、環境、生 命科学。多彩な研究室が揃う。国際学会で 受賞を重ねる研究者のもとで、学部生のう ちから研究に加われるのが特色。 机の上の数式が、 目の前で動くロボットになる。 JAXA研究開発部門 研究開発員。 2023年 理工学研究科 博士前期課程修了。 崔龍雲研究室で学び、現在は同じ研究室の 先輩でもある萩原良信准教授のもとで研究 池田 勇輝さん 卒業生インタビュー 「やりたい」と口に出せば、その学生の背中を、創価大学の先生は押してくれます。 夢に向かって一歩を踏み出すのに、学年や成績は関係ありません。 大学では知能ロボットの競技会「RoboCup」に仲間と挑み、 現在はJAXAで宇宙ロボットの研究に取り組む池田勇輝さん。 その挑戦もシンプルな「やりたい」という気持ちから始まりました。 研究室での問いから、未知への挑戦が始まった。 萩原 良信准教授(理工学部 情報システム工学科) 理系の学びは、 ほかにも 研究室では、答えをすぐには教えません。わからないから面白い。遠回りを楽しむ好奇心こそが、未来を 切り拓くからです。私が学生の成長を感じるのは、「先生、こうしてみたいのですが」と自分の言葉で提案 するようになった瞬間です。学部生時代にそういった経験から学ぶ力を身につけ、宇宙開発の最前線を知 る池田さんにしか立てられない問いが、今この研究室に新しい視点をもたらしていると感じています。 教員コメント いけ だ ゆう き Team SOBITS 仮説を立て、 試し、問い直す 学ぶ力 4
10 大学の授業で特に印象に残っているのが、面談を想定した演習 です。同じ相談者役に向き合っているのに、学生によって聞き方が まるで違う。同じ話から、まったく別のものを見ている。教室での 気づきに、世界が広がっていく感覚がありました。これはつまり、 正解は一つではないということ。だから相手の背景を想像して、考 え続ける。この学び方が、今の私の土台です。国家試験の勉強も同 じでした。正解を選ぶのではなく、間違いの理由を探るようにして いました。 今働く児童養護施設では、歯医者を怖がる男の子が、半年かけて 克服して通院できるようになりました。そんな小さな一歩に立ち会え ることが、何よりのやりがいです。卒業後には精神保健福祉士の資格 も取得しました。この夏には母校の教壇に立ち、後輩たちに福祉の仕 事や大学時代の経験を伝えました。私の学びは、まだ続いています。 SUN131 2026 Autumn 卒業生インタビュー 長﨑さんに授業でお話しいただいたのは、現場のリアルと福祉の魅力を、余すところなく後輩に 伝えてくれると思ったからです。学生たちにとって長﨑さんは「こんなふうになりたい」というロー ルモデルになったようです。創価大学で身につくのは、正解のない問いに向き合い、その答えを 探し続ける力。福祉とは、その人にとっての幸せを、ともに考え続ける営みなのです。 福祉では、正解は一つじゃない。 その発見が今、私を支えている。 教員コメント 岩川 幸治准教授(文学部 人間学科) 児童養護施設 児童指導員。 2024年 文学部卒業。 社会福祉士・精神保健福祉士 長﨑 彩音さん 資格は、ゴールではなく通過点―。 創価大学の資格・専門職の学びは、合格のテクニックではなく、 その先もずっと使える「学び方」を仲間と身につける時間です。 文学部の社会福祉専修で学び、在学中に社会福祉士国家試験に合格した長﨑彩音さん。 今の彼女を支えるのは、大学の演習で得た一つの気づきでした。 目標の先、社会に出てからも、学び続ける。 ながさき あや ね 社会福祉士国家試験の合格率は、私 立大学でもトップクラス。外部講師に よる対策講座、模擬試験、勉強合宿と、 専修をあげて試験に臨む。 仲間と 挑んだ 国家試験 資格や専門職を目指す学生を大学全体でサポート。会計税務教育 センター、行政教育センター、教職キャリアセンターなどの専門セン ターに加え、各学部でも社会福祉士や看護師などを目指す学生を支 援している。卒業生が講師を務める講座もある。 資格・専門職を 目指す学生にとっての 学びの場 目標の先で、 学び直す 学ぶ力 5
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