卒業生紹介

留学経験を活かして司法アクセス障害改善に貢献
 木暮 光恵さん | 日本司法支援センター(法テラス)延岡法律事務所・常勤弁護士

1、大学時代の学び

入学当初は、法曹に魅力を感じつつも、国際関係にも興味があり、英語の勉強に励んでいました。そうしたところ、香港大学でのPHR(Peace & Human Rights)海外研修プログラムが開設され、これに参加しました。この研修を通じて、海外で学ぶからこそ、日本の現状について、視野を広げて考えられることを実感し、本格的に長期留学に挑戦しようと決意しました。
3年次には、マカオ大学へ交換留学。留学中は、学生寮の部屋がダブルブッキングされるというトラブルに見舞われ、適切な窓口がわからないことで不安な日々を過ごしたこともありました。しかし、これをきっかけに、適切な法的相談窓口にたどり着くことが困難な方への支援(司法アクセスの改善)をしたい、そのためにワンストップで仕事をすることできる弁護士を目指そうと考えるようになりました。
帰国後は、法科大学院への進学のために、少人数制のゼミ形式の授業を積極的に受講するなどして、基本六法を徹して学びました。

2、現在の仕事

留学中の経験もあり、はじめは、外国人の方を対象とした司法アクセス改善に携わることを考えていました。しかし、司法アクセス改善について調べていくと、次第に、日本人であっても、国内における司法アクセスが困難な場合があるという実情がわかってきました。
法テラスの常勤弁護士は、弁護士が少ない地域(司法過疎地)の法律事務所に赴任したり、金銭的に弁護士に依頼することが困難な方や、高齢であったり障がいを持っていたりするが故に司法アクセスが困難な方を対象に、司法サービスを提供することを主な業務としています。
私が現在赴任している宮崎県延岡市は、県内第三位の人口を有する都市ですが、人口に対する弁護士数はまだ足りていないのが現状です。日々の主な業務としては、法律事務所に赴くことができない高齢者や障がい者の方への出張相談や、国選弁護活動、高齢者や障がい者に携わる関係機関からの電話相談などを行っています。

3、法学部の学びと仕事の関係

法律を研鑽することはもちろんですが、福祉や医療機関につなげることで、依頼者がよりよく生活できるようになることも多く、周辺分野への理解も欠かせません。一つの問題に対するアプローチのために視野を広くもつことは、留学時代に培った経験が活きており、無駄なことは一つもなかったと実感しています。

木暮 光恵 Mitsue Kogure

  • 法学部法律学科 2013年卒業
    日本司法支援センター(法テラス)延岡法律事務所・常勤弁護士