第3章 私からはじまる「人権」

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子どもたちの今と未来

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子どもは、( みずか )らの育つ( かん )( きょう )を選ぶことができません。その声に大人が耳を( かたむ )けなければ、安心・安全な生活を送ることができません。ときに、大人の気まぐれの( たい )( しょう )にされやすく、しばしば社会的( )( じゅん )( ほこ )( さき )が向けられます。大人と( こと )なり、子どもには特有の権利があります。しかし、世界各地で子どもの権利が守られていません。

子どもに対する暴力が、世界のいたるところで起こっています。商業的な性的搾取( さくしゅ )の対象とされ、労働市場において売買され、紛争( ふんそう )によって( )( せい )になっている子どももいます。( )( けい )失踪( しっそう )( ざん )( ぎゃく )で非人道的な刑罰( けいばつ )を受けるなど、さまざまな暴力を( )るわれ、軍事組織に( ちょう )( へい )される子どももいます。

栄養不良や貧困が原因で命を( うば )われたり、安全な環境で( )らせなかったり、学校に( かよ )えず、教育を受ける機会を奪われ、あるいは親や近親者( きんしんしゃ )( はな )れて( )らさなければならない子どもがいます。

子どもは、こうした困難( こんなん )がなぜもたらされるのかを理解する知識もなく、選択( せんたく )の権利を持たないままなのです。子どもは、体もこころもまだまだこれから発達( はったつ )する存在です。生まれる前も生まれてからも、子どもに( てき )した法律や、その他の方法で、守られる必要があります。

参考資料:アムネスティ・インターナショナル日本HP

数字で見る子どもの人権

世界では年間630万人が5( さい )( むか )える前に死亡しており、その約半数が栄養不良にかかわる原因で命を落としています。

これは、1日に17,000
およそ5秒に1人が命を落としているという割合です。

5歳になる前の子どもが
命をうしなう理由 (2012年)

死亡の半数以上は栄養不良が関係

児童労働に( じゅう )( )する5歳から14歳の子どもの数は、 世界で12,000万人
これにより、経済的搾取( さくしゅ )から保護される権利、学習や遊びの権利が侵害( しんがい )されています。

現在、19カ国で25万人以上の少年や少女が、強制的に武器をもたされ、兵士として( ちょう )( よう )されているといわれています。
紛争( ふんそう )下において、 政府軍や武装勢力は、 まだ判断能力のない子どもたちを誘拐( ゆうかい )し、監禁( かんきん )し、洗脳( せんのう )します。 そして、 子ども兵士として、戦闘( せんとう )( さい )( ぜん )( せん )に立たせるのです。
子どもたちが、「殺人マシーン」として、 利用されています。

日本でも児童( ぎゃく )( たい )深刻( しんこく )な問題で、年々増加しています。
児童虐待に関する相談の対応件数も、 2012年度には
66,700( )えました。これは13年前(1999年度)の5.7倍に匹敵( ひってき )します。
しかし、児童虐待に関する警察や司法の( かい )( にゅう )( むずか )しく、虐待に( かん )( )した両親親族で検挙された人数は
719にしか( およ )びません。
(2014年度)

参考資料
国連児童基金(UNICEF)「Committing to Child Survival Promise Renewed 2014」、国連児童基金(UNICEF)「Committing to Child Survival:A Promise Renewed 2013」、国連児童基金(UNICEF)「The State of the World’s Children 2014」、アムネスティ・インターナショナル日本HP、警察庁生活安全局少年課「児童虐待及び福祉反犯の検挙状況平成26年1〜12月」

HUMAN STORIES

©UN Photo/Tobin Jones
※本文と写真は関係ありません。

子ども兵士

2011年( しょ )( とう )から続いているシリア紛争( ふんそう )では、子ども兵士が深刻( しんこく )な問題の一つとなっています。

ある戦闘( せんとう )部隊に( くわ )わった15( さい )の少年は、( きび )しい経済状況( じょうきょう )に加え、父親が亡くなり、( たよ )れる家族がいないため、子ども兵士になる以外に生きていく道がありませんでした。また、17歳の少年は、15歳のとき、両親に( かく )れて戦闘部隊に。部隊から支給されたカラシニコフ( じゅう )を使って訓練を受け、月に100米ドルを給料として受け取っていたといいます。

「部隊には、( )( ばく )テロの( )( がん )兵士(子どもも( ふく )む)の( めい )簿( )があった。( ぼく )も志願したよ。」

( かれ )は、周りからのプレッシャーを感じて、( )( かた )なく志願したのです。

( )( ばく )テロの( )( がん )兵士の( めい )簿( )があった。( ぼく )も志願したよ。」

©Graphs/PIXTA

いじめ

2013年度の調査によると、日本の小・中・高等学校における、暴力( こう )( )の発生件数は59,345件あり、小・中・高・特別支援学校における、いじめの認知件数は185,860件に上ります。

ある中学生は、1人の同級生から5ヵ月弱にわたり、いじめを受けました。( )ずかしいあだなを付けられたことから始まり、パンチをされたり、暴言を( )かれたり、「お土産( みやげ )を買ってこないとぶち殺す」と言われ、さらには( かた )( )( かん )太腿( ふともも )内側を( なぐ )られたり、( )られたりしました。

いじめに苦しんだこの中学生は、ついに転校することになりました。その後、この事件は裁判で( さば )かれることになり、裁判所はこれらの( こう )( )をいじめと判断( はんだん )。いじめた同級生に対して、( )( しゃ )( りょう )( )( はら )うよう命じました。

参考資料
ヒューマン・ライツ・ウォッチ「Maybe We Live and Maybe We Die」(2014)
文部科学省「平成25年度『児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査』について」、「 NPO法人ストップいじめ!ナビ」HP文書より抜粋

苦しんでいる子どもたちを
助けるにはぼくたち子どもが
立ち上がるべきだ

クレイグ・キルバーガー (1982-)

1995年、カナダに住む当時12( さい )だったクレイグは、ある朝、新聞で、世界には貧困( ひんこん )のため( )( れい )のように( はたら )かされる子どもがたくさんいることを知り、大きなショックを受けた。そこで、同じ子どもの問題なら自分たち子どもで取り組もうと「フリー・ザ・チルドレン(FTC)」を設立した。

『キッズパワーが世界を変える』大月書店
©特定非営利活動法人 フリー・ザ・チルドレン・ジャパン