第3章 私からはじまる「人権」

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マイノリティ差別への挑戦

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マイノリティとは、一般( いっぱん )に一国内の少数者のことを意味しますが、さまざまな( とら )え方があります。

民族的、宗教的、言語的に分ける方法もありますが、( じゅう )( ふく )している場合もあります。また障がい者や性的少数者など、社会的に不利な立場におかれた人々を指す意味で( もち )いられることもあります。

厳密( げんみつ )な定義はともあれ、世界の数多くの国に、差別、拷問( ごうもん )拉致( らち )、殺害、言論封殺( ふうさつ )など、マイノリティへの差別と抑圧( よくあつ )が存在しています。しかし、時代や国、立場が( ちが )えば、だれもがマイノリティになる可能性があります。マイノリティへの差別をなくし、そのアイデンティティを( そん )( ちょう )することは、今日の世界の大きな課題です。

数字で見る差別問題

先住民族は、世界70カ国以上で5,000 グループ、37,000万人いるといわれています。
つまり世界の人口の17人に1人が先住民族です。

多くの先住民族は政策決定プロセスから( じょ )( がい )され、 ぎりぎりの生活を( )いられ、搾取( さくしゅ )され、 社会に強制的に同化させられ、ときには 自己のアイデンティティーを( )てなければなりません。

世界ではおよそ65,000万人が、何らかの形の身体的、精神的もしくは感覚的な障がいに苦しんでいます。
これは世界人口のおよそ10%( )め、そのうち80%開発( )( じょう )に住んでいます。
現在、少なくとも76カ国で、成人した同性間の性( こう )( )( )( ほう )(犯罪)とする法律が存在しており、うち少なくとも5カ国では、( )( けい )になります。

参考資料:国際連合広報センターHP、国際連合人権高等弁務官事務所(UNOHCR)HP

HUMAN STORIES

©時事通信フォト

同性婚( どうせいこん )

2015年5月、アイルランドで同性婚を( みと )める憲法改正の( さん )( )を問う国民投票があり、結果賛成が多数を( )めました。同性婚の法制化を国民投票で決めたのは世界( はつ )

2015年6月にはアメリカ合衆国で、最高裁が全50州に同性婚を( じっ )( )および( しょう )( にん )するよう( もと )める宣言を発表し、世界で21番目に同性婚を合法と認める国となりました。

ロリー・オニールさんは、( じょ )( そう )パフォーマーとして活躍( かつやく )しながら同性愛活動家として、アイルランドの同性婚合法化キャンペーンの先頭( せんとう )に立ってきました。オニールさんは2014年2月アイルランド国立劇場で同性愛者への差別について語りました。

( おう )( だん )( )( どう )を歩いている時に、通りかかった車の中から少年たちが身を乗り出して、『ゲイ( )( ろう )!」と( さけ )びながら牛乳パックを投げつけてくるなんて目に( )ったことはありませんか? 空の牛乳パックだから、すごく( いた )いわけではないし、( かれ )らが言うように、たしかに私は『ゲイ』。でも、( いき )( )まるような苦しさを味わいます。」 (The Nobel Call speechより引用)

※ゲイ(男の)同性愛者

「面と向かって( ぞう )( )( かん )( じょう )を投げかけてくることに対して( きょう )( )を感じた。」

©のりこえねっと

ヘイトスピーチ

近年、日本ではいわゆるヘイト・スピーチ、ヘイト・クライムが社会問題化しています。とくに、在日コリアンに対する民族的( てき )( )、差別、( ぞう )( )を表明する表現行動や街宣( がいせん )などが( あい )( )いでいます。

女子生徒の民族衣装の制服がカッターで切り( )かれるなど、( ちょう )( せん )学校やそこに通う生徒たちへの暴言( ぼうげん )、暴行、( いや )がらせは、とくに2002年9月の日朝首脳( しゅのう )会談から半年間で1,000件以上も起こりました。出版物、インターネット上にもヘイト・スピーチがあふれており、人種差別的な出版物がベストセラーになることもあります。

「勤務先の団体に対するヘイトスピーチ街宣が( おこな )われたことがあった。マイクを一人一人回して、『朝鮮人はうじ虫だ!』『朝鮮人はゴキブリ!』『朝鮮人は死ね!』などと各自が発言し、それに対して他の参加者が拍手( はくしゅ )をしたりして参加者全員が興奮( こうふん )していた……論理的な( こう )( )ではなく、面と向かって憎悪感情を投げかけてくることに対して恐怖を感じた。」

(50代、在日コリアン男性)

参考資料
反差別国際運動日本委員会(IMADR-JC)『レイシズム ヘイト・スピーチと闘う』(解放出版社)
ヒューマンライツ・ナウ「在日コリアンに対するヘイト・スピーチ被害実態調査報告書」

人生最大の栄光は、
一度も( ころ )ばないことではなく、
転ぶたびに立ち上がる
ことにある

ネルソン・マンデラ (1918-2013)

南アフリカの人種( かく )( )政策アパルトヘイトの反対を( うった )え、27年間投獄( とうごく )される。1994年、南アフリカ( はつ )の黒人大統領に( しゅう )( にん )。1993年、ノーベル平和賞を受賞。

『ネルソン・マンデラ 未来を変える言葉』明石書店
©UN Photo/Pernaca Sudhakaran