第3章 私からはじまる「人権」

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人権教育自分を知ること。相手を知ること。

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人はみんなそれぞれ( こと )なります。その( ちが )いを( そん )( ちょう )できる心を( はぐく )むには、どのようにすればよいのでしょうか。

私たちの世界では、差別や( ぼう )( りょく )など、自由や( びょう )( どう )( そこ )なわれるような( )( )( ごと )が起きています。そのようなときにはまず( うしな )われた権利を回復( かいふく )するための取り組みが大切です。同時に、そうした( )( たい )( )り返されないためにはどうしたらよいのかを考える必要があります。そこに「教育」や「学習」が( )たす役割があります。

こうした教育や学習は、学校だけで( おこな )われるものではありません。社会人や一般( いっぱん )の人々が参加する( しょう )( がい )学習や各種の訓練や研修も、こうした( たい )( )や価値観を( はぐく )む場となります。

国連の人権教育の取り組み

人権に関するグローバルな認識を高め、( )( へん )的な人権の文化を育成するために、国連を中心に国際的な取り組み継続( けいぞく )的に( おこな )われています。

人権教育の10 UN Decade for Human Rights Education(1995-2004)や国連「人権教育のための世界計画(2005-)は、そうした具体的な取り組みのひとつです。

2011年12月には、「人権教育・研修」国連宣言が採択( さいたく )され、人権教育のための国際基準が( はじ )めて設定されました。

人権の確立に向けて一番大事な役割を( にな )っているのは、ほかならぬ私たち一人ひとりです。

私たち自身が、人権問題を( つね )自身の問題としてとらえ、「人権のエキスパート」になっていく必要があります。

人権問題を、それが起きる場所が( )( ぢか )であれ、遠いところであれ、 鋭敏( えいびん )に感じとる感性 が必要です。
また、人権侵害( しんがい )抵抗( ていこう )する勇気( はぐく )まなければなりません。

私たち一人ひとりが自分自身を「人権教育」するための( )( りょく )が、いま、( もと )められています。

HUMAN STORIES

「私は一人じゃない。
助けてくれる人がいる。」

©SGI/HREA,/OHCHR

人権教育(トルコ)

家族が決めた見合い結婚( けっこん )。夫は15( さい )年上で、エヴリム・ギュルさんは息子を2人生みました。

「忘れもしない、妊娠( にんしん )8ヵ月の時。夫に思い切り( )られました。お( なか )を蹴ってきたので、両手で守りました……( りょう )( しん )に伝えると、「お前が悪い』と。『お前の( おこな )いが悪いからだ』と( )められました。」

( )( こん )を決意しましたが、家族は( じゅう )を手に追ってきました。彼女( かのじょ )はヴァン女性協会に( )( なん )し、「女性による女性の人権ニュー・ウェイズ」が開発した、女性のための人権教育プログラムを受けました。このプログラムでは、毎週セミナーを開き、女性の人権、人権関連の法律、コミュニケーション( )( じゅつ )を教えています。エヴリム・ギュルさんは語っています。

「『私は何もしらなかった』そう思いました。自分の価値、自分の可能性を教わりました。私は強くなりました。『私は一人じゃない。助けてくれる人がいる』とわかりました。」

「研修に参加する多くの女性は、自分は一人ではないと気づきます……『ここではほとんどの女性が自分と同じ経験をしている。だから私だけの問題じゃない。問題は別のところにある。社会のあり方、社会の構造にあるんだ』と。このように自信を( )るのです。」(女性による女性の人権ニュー・ウェイズコーディネーター、ザラル・アイマン)

参考資料
人権教育アソシエイツ(HREA)、創価学会インタナショナル(SGI)、国連人権高等弁務官事務所(OHCHR) 共同制作映画「尊厳への道―人権教育の力」

1人の子ども、1人の教師、1冊の本、
そして1本のペンが
世界を変えうるのです
教育こそがただ一つの解決策。
教育第一です。

マララ・ユスフザイ (1997-)

パキスタン出身の人権運動家。武装勢力パキスタン・ターリバーン運動による女子校の( )( かい )活動を( )( はん )し、( じゅう )( だん )を受け( )( しょう )。女性への教育の必要性や平和を( うった )える活動を続けている。
2014年、史上最年少でノーベル平和賞を受賞。

『マララ・ユスフザイ国連演説&インタビュー集』
朝日出版社
©UN Photo/Mark Garten