第3章 私からはじまる「人権」

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戦争・武力紛争なぜ人類は殺し合うのか?

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戦争は人間の尊厳( そんげん )に対する直接的な攻撃( こうげき )であり、人間の個人的・集団的生命の権利の否定です。戦争は人間から人間性を( うば )います。( いか )りと( きょう )( )に追い立てられ、( )( つう )の人々までが、平和なときであれば考えられないような( ざん )( ぎゃく )( こう )( )( おか )します。

人権侵害( しんがい )をあたかも当たり前であるかのようにしてしまうのが戦争です。市民的・政治的・経済的・社会的・文化的権利が根本( こんぽん )から( そこ )なわれてしまいます。だからこそ戦争は、人権の問題そのものだというべきなのです。

こうした戦争は、第2次世界大戦以後、国際的に( )( ほう )( )されたはずでした。それにもかかわらず、武力紛争という形で( ぼう )( りょく )は続いています。

近年の武力紛争は、膨大( ぼうだい )な難民を生み出しています。そして、( にく )しみの( れん )( )は、こうした( )( さん )な暴力により増幅( ぞうふく )されています。

数字でみる紛争( ふんそう )

現在、地球上には9ヵ国に16,000( かく )( へい )( )があるといわれています。 また、数分間内に発射( はっしゃ )できる核兵器をアメリカとロシアはそれぞれ1,800保持( ほじ )しています。
テロ( )( せい )( しゃ )( おも )に、「( ばく )( )」「武力攻撃( こうげき )」「( )( ばく )テロ」などによって 命を落としていますが、( もっと )も多いのが民間人、 次いで警察官、兵士などとなっています。

テロリズムによる犠牲者数の推移

これまでに、4,800以上の対人( )( らい )( じょ )( きょ )されてきました。(うち100万以上は2013年に除去)。
対人地雷による事故のほとんどは記録・報告されていませんが、2013年には、対人地雷による( )( せい )( しゃ )3,308に上ります。

これは、1日に9地雷による事故が 世界のどこかで起こっていることになります。 ( つみ )のない一般( いっぱん )市民、子どもが( )( がい )者の大半です。

参考資料
International Campaign to Abolish Nuclear Weapons (ICAN) HP
US Department of State, Country Reports on Terrorism 各年版、Landmine & Cluster Munition Monitor HP

HUMAN STORIES

©ナック映像センター

原爆( げんばく )

( こう )( )愛子さん(当時17( さい ))は、学徒動員として長崎( ながさき )市内の兵器工場で( )( ばく )しました。( ばく )( しん )( )からわずか1.2キロの地点でした。

結婚( けっこん )後も、被爆者であるが( ゆえ )に、( しゅう )( )からの偏見( へんけん )と差別に( )い、さらに原爆による白血病等の( こう )( )( しょう )、子どもや孫にまで現れた健康被害に苦しみました。幸里さんは、逝去( せいきょ )される2010年まで、平和の( かた )( )として、講演などを( かさ )ねてこられました。

「この一つの爆弾( ばくだん )で、( )( そん )( まつ )( だい )まで苦しまなければならない。私も苦しくて、子どもも苦しくて、孫までそんな目に( )ったので、ほんとに( かく )( おそ )ろしさが身に( )みています。だから、( みな )さんたちにはこんな目に遭わせたくない。」

映像作家で被爆者でもある( )( なべ )( まさ )( あき )さん(当時7歳)の生家は、原爆ドームの( ひがし )( どな )りにありました。原爆で両親と弟を( うしな )い、自身も原爆投下の2日後に、爆心地で( ざん )( りゅう )( ほう )( しゃ )( のう )( )びて( )( ばく )。差別や( こう )( )( しょう )( がい )の苦しみを( )( )ってきた一人として、原爆により町や人間がどう( )( かい )されたかを伝えるために、爆心地から半径1キロ以内のCG(コンピューターグラフィックス)による復元( ふくげん )映像を製作してきました。

「原子爆弾が投下された下には、人間がいました。命がありました。一人一人の息吹( いぶき )がありました。一人一人の顔がありました。被爆前には( )( つう )の人々が普通の( )らしをしていたことを伝えなければ、原爆の( じっ )( そう )は伝わりません。」

「原子爆弾が投下された下には、人間がいました。
命がありました。一人一人の息吹( いぶき )がありました。」

©Japan Campaign to Ban Landmines

( たい )( じん )( )( らい )

1990年代( はじ )め、世界では70を( )える国々に1億個以上の対人地雷が( )められており、( たん )( じゅん )に計算すると、20分に1人が地雷の( )( せい )になっているといわれていました。

カンボジアのソン・コサルさんは、田んぼでお母さんの手伝いをしていたときに、そこにあった地雷に気付かず( )んでしまいました。直後に地雷が( ばく )( はつ )し、右足を太ももから( )( )ばされました。この爆発は6歳の彼女の生活を一変させました。

「ときどき( りょう )( あし )があって友だちと自由に( )け回る夢を見るの……」

対人地雷が本当に( おそ )ろしいのは、戦争が終わった後もそのまま( )( )りにされていることです。被害者の多くは、身体に障がいを( )うだけでなく、爆発の( きょう )( )( ぜつ )( ぼう )で精神的にも長く苦しめられます。

参考資料
創価学会インタナショナル(SGI)制作映像「平和への願いをこめて―広島・長崎 女性たちの被爆体験」
ヒューマンライツ・ナウ『人権で世界を変える30の方法』(合同出版)

現在の( もっと )も大きな悪は無関心です。
知っていながら活動しないことは、
そういう不正に同意するのと同じです。
地球は( )( じょう )に小さな場所になりました。
他の国々で起こることが、
わたしたちにすぐはね返ってくるのです

エリー・ヴィーゼル (1928-2016)

ルーマニア出身のアメリカのユダヤ人作家。アウシュヴィッツ強制収容所に送られる。( みずか )らのホロコースト体験を自伝的に( しる )し、1986年ノーベル平和賞を受賞。ボストン大学( めい )( )教授。

『人権教育のためのコンパス [羅針盤]
明石書店
©UN Photo/Paulo Filgueiras