109 創価大学ニュース 2021 Spring Encouragement for 2030 【 Focus 創大 】 創立50周年を迎えた今、卒業生から未来に前進する創価大学と在学生へのエール 創価大学 創立50周年
INDEX [ スペシャル対談 ] [ Focus創大 ] 創立50周年を迎えた今、 卒業生から未来に前進する 創価大学と在学生へのエール Encouragement for 2030 P.01 P.05 創価大学 学長ヴィジョン P.10 創価女子短期大学 学長ヴィジョン P.12 野口 みずきさん ×榎木 和貴監督 一つひとつ目標を達成する力が、 いつか大きな希望の光になる 創価大学ニュース 2 0 2 1 S p r i n g No.109 ありがとう 関西編 P.14 子から親へ、親から子へ 経営学部 藤井 世名さん 経済学部 肥田 玲那さん 卒業生の進路紹介 P.15 キャンパスニュース P.17 学問探訪 テーマ 【大学教育のDX】 浅井 学教授 P.13 【表紙写真】 開学の日から半世 紀、常に学生の成長 と発展するキャンパス を見守り続けてきた ブロンズ像。 今号の取材・撮影は、感染防止対策 を徹底したうえで行っています。 Special Interview [ スペシャル対談 ] 一つひとつ目標を いつか大きな希望
50周年の幕開け最初のスペシャル対 談は、2004年アテネオリンピック女子 マラソンで金メダルを勝ちとった野口み ずきさんと、創価大学駅伝部を箱根駅 伝総合2位に導いた榎木和貴監督。 2021年の正月、箱根路を意気揚々と駆 ける創価大学駅伝部の姿は、コロナ禍 で元気を失いかけていた社会を“励ます” ものでした。その走りを振り返りながら 語り合った2人のお話は、“厳しい状況 下でも諦めず、目標を達成する” ヒント が満載です。 榎木和貴監督:お久しぶりです。コー チとして海外遠征に帯同したときにお会 いして以来なので、15年ぶりでしょうか。 野口みずきさん:こういった形で再会で きるとは、嬉しい限りです。年始の箱根 駅伝は興奮して見ていました。最近の箱 根駅伝は「青山学院大学をどの大学が 崩すのだろう」と注目していたところで、 創価大学のあの快走!駅伝の魅力は、 チームで戦うことで一人ひとりが持って いる力以上のものを発揮できるところだ と、私はいつも感じています。箱根での 躍進は、創価大学駅伝部のみんなの気 持ちが一つになった証しだと思います。 榎木:オリンピックの金メダリストに評 価をいただけて、大変ありがたい(笑) まさにマラソンと駅伝の違いというの は、そこですよね。ランナー 1人ですべ てを達成するのではなく、走る10人の 力に、それを支えるチーム全員の力がプ ラスアルファの要素として加わり、結果 に反映される。そうした駅伝の魅力を野 口さんはじめたくさんの方々にお伝えで きたのであれば、とても嬉しいです。 野口:そんな、とんでもない。私は過去 の金メダリストなので(笑) 榎木:いやいや、何をおっしゃるんです か。でも、野口さんがご自身を「過去の 金メダリスト」とおっしゃる意味はよくわ かります。私たちも同じです。箱根駅伝 総合2位の記憶は過去のものとして、も うチームは次の目標に向かっています。 野口:すでに気持ちは切り替わってい るのですか? 榎木:はい。箱根駅伝でいい結果が残 せたのも、“目標設定” を大切にしてきた からだと思っています。「箱根駅伝で走 る」という漠然とした目標ではなく、選 手個人の成長を見据えて設定した具体的 な目標を一つひとつ達成することで、選 手は着実にレベルアップしてくれました。 選手たちは毎年1枚の紙に今年の目 標タイムや試合を書き、誰もが見えると ころに貼って、チームでそれを共有して います。私の役割は、その目標に対して、 2~ 3カ月に1度選手と個別面談し、達 成に向けた微調整をしていくことです。 ▲池田記念グラウンドで駅伝部の練習を見学 02 創価大学駅伝部の躍進は、 “考えて走る力”を育てた指導にある。 SUN109 2021 Spring 達成する力が、 の光になる アテネオリンピック 女子マラソン 金メダリスト 【 創価大学 駅伝部 】 榎木 和貴監督 野口 みずきさん 【 【
03 ▲駅伝部のメンバーにもお話をくださった野口さん 苦しい状況だからこそ見つけられる、成長への気づきがある。 野口:選手の自主性を生かしながら、 必要なサポートをされてきたんですね。 榎木:監督就任時に感じたのは、創価 大学駅伝部の気持ちの強さでした。まず 選手たちに「どこを目指しているのか」 と聞いたら、全員が口を揃えて「箱根駅 伝で走りたい」と力強く回答しました。 その思いを力に変えるために、選手一 人ひとりに目標を与え、ただ走るのでは なく“考えて走る力”を育てていきました。 野口:意識が変わったことでランナーと してレベルアップした経験が、私にもあ ります。 私は高校卒業後に入った実業団の チームが入社3年目で解散してしまい、 4カ月間ほど無所属状態になったので す。そのときのことを仲間と「チームハ ローワーク」と呼んでいるのですが、そ れまで競技をするうえで受けていたサ ポートが一切なくなり、例えば食事面で は同期の選手と一緒に交代で料理をつ くり、栄養価も自分たちで考えながら やっていきました。 榎木:それは、大変な時期でしたね。 野口:でも、そうした日々のなかで走る ことへの意識が前向きに変わったので す。実業団に入った最初のころは、高校 の延長のような形で、どこか他人任せ な感じで練習に取り組んでいたのだと思 います。しかし「チームハローワーク」 時代に自分の好きな競技をしながらお 金をいただけ、しかもサポートをしても らえる状況を、改めて本当にありがたく 感じたのです。社会人としてしっかり結 果を出そうという気持ちが強くなったこ とで、自分で考えて走るようになりまし た。それから自己ベストをどんどん更新 できて、オリンピックにつながりました。 あの4カ月で、私は考える力を養えたの かなって思います。 榎木:そういった苦労した時期を過ご したからこそ、自分の原点を見つめ直す ことができるんですね。野口さんの体 験を、コロナ禍で目標達成が難しくなっ て行きづまっている学生たちに知っても らいたいですね。苦しい状況だからこそ 見つけられる、成長への気づきがある。 野口:今コロナ禍で苦しい状況だから こそ、その状況でできること、学べるこ とをするという強さを持ってほしいと思 います。 私は競技者を引退してから、岩谷産 業の陸上競技部をはじめ、さまざまな 場所でアドバイザーという形で長距離の 一線で戦うランナーたちのサポートをし ています。アスリートにとっても、この1 年は苦しいものでした。しかし強い選手 ほど、この期間をむしろ大切にしている という印象があります。今までの課題 を見つめ直し、ゆっくり克服していく時 間として活用していました。その根底に は、競技が再開されたときには以前よ りもいい結果を出すというポジティブな 思いがあります。 榎木:コロナ禍に立ち向かう選手の姿 は、「チームハローワーク」時代の野口 さんと同じですね。 野口:もちろん、誰もがそうした強さを 持っているわけではありません。私がサ ポートする選手にも、メンタルの弱さか ら本番のレースで力を発揮しきれない 選手もいます。私自身、100%満足する
「苦しい状況だからこそ、その状況でできること、 学べることをするという強さを持ってほしい」 榎木 和貴 / Kazutaka Enoki 野口 みずき / Mizuki Noguchi 1978年三重県生まれ。宇治山田商業高校を経て、実業団チームのワコールに入社。その後、グロー バリー、シスメックスに所属。2003年パリ世界選手権マラソン銀メダル、2004年アテネ五輪で金メ ダル。2016年3月の名古屋ウィメンズマラソンで現役引退。現在は、メディアやイベントなどで活躍。 実業団チームの岩谷産業でアドバイザーとして選手を指導している。 1974年宮崎県生まれ。中央大学で箱根駅伝を4年間走り、4年連続区間賞 の快挙を成し遂げ、キャプテンも務めた。卒業後は旭化成、沖電気を経てトヨ タ紡織所属。同社陸上競技部コーチを経て、監督を務める。2019年2月1日 から現職。 by 野口みずき 試合は、ほぼありませんでした。アテネオ リンピックもそうです。だから「弱点を克 服するために、こんな練習をしてみよう」 と試行錯誤を繰り返していました。 榎木:箱根駅伝でアンカーを走った小野 寺は、本番で練習してきた成果を自信に 変えられない部分があって、それが優勝 を目の前にしながら崩れた一因かもしれ ません。その辺のメンタルの強化も、これ からチームの課題になると思っています。 野口:箱根駅伝のあと、小野寺選手の メンタルは大丈夫でしたか? 榎木:はい、もうしっかりと乗り越えて くれています。箱根前より厳しいぐらい の練習ができていますよ。 野口:とても気になっていました、最後 で抜かれてしまったので……。でも榎木 監督のお話からチームの雰囲気のよさを 感じたので、小野寺選手のつらい部分も チームでフォローできたのでしょうね。 今回経験したことを糧にして、「次はやっ てやるぞ!」という負けん気をどんどん 見せてほしいなと思います。 榎木:ありがとうございます。あとは、 野口さんに気合を注入してもらえたら万 全です(笑) でも、本当に大舞台での経験が不足 していたと感じます。オリンピックという 大舞台で成果を出すために、野口さんは どんな対処をされていたんですか? 04 SUN109 2021 Spring 野口:私は、イメージトレーニングを大 事にしていました。金メダルをとる前は、 トレーニング中に「気持ちよく1位でゴー ルしている自分」をイメージしながら走っ ていました。逆に「レース中に足が急に 痛くなったらどうしよう」といった、ダメ なときのイメージトレーニングもしてい ました。 常日頃、いいときと悪いとき両方のイ メージを持っておくと、実際にそうなっ たときに冷静に対処できるものです。冷 静に物事を考えて行動する大切さも、走 りで学べたような気がします。 榎木:私もレースの前に、選手たちには 最高な状態で走れたときのタイムと最低 な場合のタイムの2パターンを出させて います。どんな状況になっても冷静に対 応するためです。 選手たちにはしっかりとネガティブな ことも意識して準備をしていってもらい、 指導者としては背中を押すことを中心に 考え、選手がネガティブになったときは いかにポジティブに引き戻すかを心がけ ています。 野口:そうしたポジティブとネガティブ、 両方の意識を持つことは、日常生活でも 大切ですよね。創大生の皆さんは、もし かしたらコロナ禍でネガティブなイメー ジを多く抱いているかもしれません。だ からこそ、希望を持って一つひとつ確実 に自分の目標をクリアしていってほしい なと思っています。それが必ずいつか大 きな希望の光になると思いますし、大き な花を咲かせてくれるはずです。 榎木:そうですね。私たち創価大学駅 伝部も、来年も多くの方に再び希望を与 えられるように頑張っていきます。 野口:来年も快走、期待しています!
05 創価大学の50年は、 八王子の緑豊かなキャンパスで創造的人間を目指し、 切磋琢磨した学生たちの歴史でもあります。 大学での時間を「原点」として 今、さまざまなフィールドで活躍する卒業生の皆さんから、 『Grand Design 2021- 2030』という 新たな指針のもと、未来に前進する創価大学、 そして、コロナ禍でも自らの道を勝ち取ろうと努力を続ける 在学生へのエールをいただきました。 Encouragement for 2030
06 SUN109 2021 Spring 秋岡 安さん 我が母校の偉大さは卒業してからますますわかります。実は私 は、在学中は何も感じていませんでした。しかし、卒業後、年数が たつほど、「すごい大学に行っていたんだな」と思います。恋しくな りますよ。 そんな母校への愛を、卒業後に社会人となったとき、寄付とい う形で返せる人が続出してほしいと願います。海外の有名大学の 卒業生は寄付がステータスであると聞いたことがありますが、多 くの創大生にも将来そのようになっていただきたい。在校生の皆 さんは今、大変な状況でめげそうになると思いますが、とにかく 前進!前進!がんばれ!! 経営学部 秋岡安税理士事務所 1982年卒業 亀山 智世さん 現役の看護師として働く今、創価大学看護学部の教員によ る医療や福祉に関する情報発信の取り組みを、とても心強く 感じています。常に変化していく社会・医療の現状があり、その 現状にそれぞれが支え合い、対応していくために、これからも リアルタイムに正しい情報を多くの人に発信していただきたい と思います。 新たな感染症は、世界にとってもはじめて直面する大きな問 題ではありますが、すべてがはじめての状況だからこそ、今自分 にできることは何か考え、智慧と勇気のもと、創大生の皆さんに 新たな社会を切り拓いていっていただきたいです。 看護学部 中国労災病院 看護師 ICU所属 2019年卒業 谷口 勤さん 在米27年になります。「多様性」を理解するためには、自身が多 様性のなかに身を置き、原体験を持つことが必要です。私は在学 中、自身の留学や留学生との交流を通してさまざまな体験をする ことができました。その意味で、多様性あるキャンパスの構築へ 取り組んでいることに大いに賛同します。世界中の学生から選ば れる大学を目指してください。また、学生の皆さんは、大学が提供 する素晴らしい環境やプログラムをもっと知り、大いに利用して ください。そして、「多様性」を理解した創大生からのフィードバッ クをさらなる発展につなげていくシステムが機能すれば、創価大 学は持続的に発展していけると思います。 経済学部 デイリーフーズ(Day-Lee Foods, Inc.) 1992年卒業 高野 徹さん 創立者が折々に語られた「教育は生涯の事業」や、海外の来賓 に対しても、学生に対しても、まったく変わらない、徹して一人の 人を大切にされるお姿に直接触れる機会を得ることができたこ とが私の原点です。昨年度から校長として地元の小学校に勤務し ています。学校のある地域は少子化、過疎化が進行。だからこそ 「グローバルにしてローカルな人材の育成」を目指しています。創 価大学が掲げる世界市民教育の必要性を強く感じています。創 大生には世界市民の自覚を高め、世界の課題を解決する先駆 者、主体者としての誇りを胸に、勉学や生活に一生懸命に取り組 んでほしいと願っています。 教育学部 小学校勤務 1987年卒業 阿部 宏子さん 学部1期生として同期や教授陣、スタッフの皆さんと一緒に国 際教養学部をつくり上げる一端を担えたのが、今につながる大き な原点となっています。自らの経験をもとに、当時のプログラムを 改善しようと教授や現地のスタッフと話し合いながら試行錯誤し たのは、とてもいい思い出です。 コロナ禍で海外留学が中止になり苦しいこともあると思いま すが、今できることはないかと地域の活動に参加したり、勉学に より一層邁進したりと頑張っている創大生の話を聞きます。前向 きに志高く奮闘するその姿に励まされ、私自身もこの状況を皆で 乗り越えなければ、と強く感じる毎日です。 国際教養学部 大手アパレル副資材メーカー 2019年卒業 菅原 將さん GCP(グローバル・シティズンシップ・プログラム)の1期生とし て道を拓いた4年間でした。 私も大学1年の春休み、東日本大震災によって5月上旬まで授 業が開始されませんでした。当時は専門知識もなく、ただただ事 態が好転することを待つだけでした。しかし、GCPでの学びを糧 に海外大学院に進学し、免疫学で博士号を取得。今、コロナウイ ルス免疫の解明プロジェクトに一部関わっています。 10年後に振り返ったときに、「あのコロナ禍で、自分はこういっ た誓いを立てたからこそ、今の自分がある」と言えるように、創価 大学でたくさん学び、力をつけてほしいと思います。 工学部(現:理工学部) Beth Israel Deaconess Medical Center 2014年卒業 Graduate Message Focus創大 すがわら しょう あべ ひろこ かめやま ともよ あきおか やすし たかの とおる たにぐち つとむ
創立5 0周年を迎えた今、卒業生から 未来に前進する創価大学と在学生へのエール 07 黒川 真希さん 国際的に仕事ができる弁護士を目指し、GCPに所属していま した。海外研修などで世界の問題に目を向けながら、今の自分に できることを考え、実践した経験は大きな原点になっています。現 在も弁護士として、社会の、そして目の前の一人の役に立てる力 をつけようと研鑽の日々を送っています。 グランドデザインでは「誰も置き去りにしない」という地球社会 の実現への取り組みが掲げられています。私も卒業生として、そう した社会の実現に貢献できる人材でありたいと思うとともに、創 価大学が世界市民教育の国際的な拠点としてさらなる発展をさ れていくことを心から期待しています。 法学部 東京みらい法律事務所 2015年卒業 伊藤 広宣さん 日本語教育に長年従事しており、中央アジアの言語を研究し ています。その原点は、創価大学時代のモスクワ留学でした。 近年では、海外留学がさらに活発になっていると聞き及びま す。異郷の地では、言葉や文化の壁にぶつかるでしょう。しかし、 創価大学の学友と励まし合い、向学のロマンを燃やし続けて、学 業を修めてほしいです。 ますます先の読めない時代に挑む“今”の創価大生へ、かつて 創立者から私たちがいただいた3つの指針を改めてお伝えした いと思います。「青春の探求心を持続せよ」「自身の満足の花園を 築け」「堂々たる信念の歩みを貫け」。 法学部 日本語教育者、チュルク語学者 1991年卒業 西川 弘美さん 人が幸せに生きていくための個別支援や社会づくりに取り組 む専門職が、ソーシャルワーカーです。まさに仕事の内容そのも のが、グランドデザインにある「誰も置き去りにしない」という地 球社会の実現に当てはまります。 実際の地域社会では病気や障がいに対する障壁が存在してお り、支援する側の意識改革も問われています。多様化する社会の なかで、人々がさらなる共存、共生する社会の実現を目指す必要 があります。建学の精神を根本としてグランドデザインのもと学 ぶ創大生の皆さんこそ、これからの社会において地域貢献できる 人材になると期待しています。 文学部 病院勤務 ソーシャルワーカー 1990年卒業 橋本 優人さん 国連職員として創大グランドデザインを見たとき、「SDGs」の 分野にある「国連等の諸機関との連携」に特に関心を持ちまし た。創大生には、現役時代からできるだけ外に出て、自身の“世界“を 広げる経験を積んでほしいと思っています。それは、今いる身近 な地域も大切にしつつ、自分が感じる“地域”を世界規模に拡大し ていってほしいということです。その点で、国連との連携で行う取 り組みに創大生が参画することは、世界の諸問題を身近に感じ るよいきっかけになると思います。 母校創価大学から国連を含め世界を舞台に活躍する後輩が 今後さらに増えることを期待しております。 法学部 国連機関 ジンバブエ国事務所 2012年卒業 伊東 沙恵さん 国として外国人観光客の誘客に力を入れていますが、そのた めにはグローバルな視点とともに、地域の視点、地域自身の力が 必要です。ローカルの魅力を磨き上げ、観光コンテンツとして世 界に発信することが、観光立国を目指すうえで欠かせないからで す。そう考えたとき、創価大学にはグローバルとローカル、両方の 視点を育てるプログラムがあります。観光に限らず様々な分野で 地域の力が求められる今、学生主体で地域課題の解決に取り組 む「サービス・ラーニング」での学びは、海外留学同様貴重な経 験になると思います。学生のころから両方の視点を学べるという 強みを活かし、多くの創大生に地域社会に貢献してほしいです。 法学部 国土交通省 観光庁 2012年卒業 竹田 清志さん 旅館における物販業務に従事しています。お客様のニーズは 多種多様です。現在はフェーズごとの変化も著しくなっており、 今までにない変化の先読みと、売り場・売り方における柔軟な対 応が必要です。そうした時代だからこそ、「『データサイエンス入 門』の全学必修化」など、未来を見据えた新たな人材育成の取り 組みに期待をします。 コロナ禍での現役生の皆さんのご苦労は、いかばかりかと思い ます。学生歌に繰り返し謳われる「誰がために」との一節を心に、理 想を大きく掲げながら、無事故で前進される日々をと願っておりま す。その日々こそが、創立50周年を荘厳することと確信しています。 経済学部 株式会社 加賀屋 1998年卒業 たけだ きよし いとう さえ いとう ひろのり くろかわ まき はしもと ゆうと さいがわ ひろみ
08 SUN109 2021 Spring 王 偉さん 創価大学の創立50周年に際し、心からの喜びとお祝いを申し 上げます。これからも「国際共同研究の展開」に素晴らしい成果を 期待しています。 中日両国で、さまざまな分野で共同研究が進んでいますが、なかで も共通の社会課題は少子高齢化です。中国は人口高齢化が深刻に なりつつあり、現在50近くの都市で介護保険を試験的に運営してい ます。この分野について、先に高齢社会に入り、介護保険を実施して いる日本と幅広く交流し、協力できることは言うまでもありません。 両国がもっと協力を推進し、学び合う機会が増えれば、両国の 関係もさらに緊密になることでしょう。こうした共同研究で、創価 大学、そして創大生に活躍してほしいと思います。 文学部 中国社会科学院 1983年卒業 Jeoung Jiyunさん 創価教育は、私たちを共生の社会へと導く教育だと確信しています。 牧口常三郎先生の教育思想の根底にある「対話のなかに本物 の教育がある」という考えに基づき、創価大学では画一化された 答えを与えて、学生を決まった枠組みにあてはめません。異なる バックグラウンドの学生同士が対話を通して、国籍を超えたネッ トワークを結ぶことによって、閉鎖的で不安定な社会を変革して いく能力を身につけられる環境だと思います。 現在の勝者と敗者が分かれる構造にある社会にあっても、創 大生の皆さんには、人々が差異を超えて共生していけることを証 明していただきたいと思います。 国際平和学研究科 淑明女子大学 大学院 気候・環境・エネルギー専攻 2019年卒業 淤見 明子さん 私は補聴器をつけても、相手の声や自分の声も聞き取れない ほど、重度の聴覚障がいを抱えています。しかし、創価女子短大 での青春二歳はコミュニケーションの取り方や講義時のノート テイクなど、教職員をはじめ多くの方々のサポートをいただきな がら、障壁を乗り越えることができました。「これまでの人生で1 番輝いているね!」と姉に言われるぐらい、最高の就学環境での 学びに感謝で一杯です。 創価大学には世界中から多様な価値観を持った学生が集まっ ています。性別、障がい、人種、国籍などを超えた交流を通して、自 分の世界を広げていってほしいと思います。 現代ビジネス学科(現:国際ビジネス学科) 京セラ株式会社 2011年卒業 樋口 幸子さん 近年頻繁にダイバーシティやSDGsの教育が行われています が、実際の現場を見ると活かされているか疑問に思うことがあり ます。行動がなかなか伴わないこともあるように感じます。そのよ うな社会に創価大学の価値創造教育を基盤として世界市民教 育をしっかりと学んだ創大生、短大生がさまざまな分野で行動を 起こしていくことに大きな期待をしています。自分が耳にしたこ と、眼にしたものについて、その本質を考えてほしいなと思いま す。創立者も「本質を見抜く力を!」と語られています。1人で悩ま ずに、どんどんまわりの人に話をしてたくさんの考えを知ってほし いです。 経営科(現:国際ビジネス学科) 大手銀行 1987年卒業 村原 圭子さん 「世界市民」として俯瞰的な視点を持ちながら、自分が当事者 として主観的に行動を起こせることが、今、さらに重要になってい ると感じます。創価大学にはさまざまな地域や国の方が集まって いて、すべての人がそれぞれに違った考えを持っています。普通 なら対立したり、区別してしまったりするところが、創価大学では すべての違いを大きく包み込む風土があります。私も副寮長とし ての経験から、大きく成長しました。創価大学という環境を活か し、一つでも多く行動を起こしてほしいと思います。私自身も創大 卒業生の1人として、「世界市民」としての自覚を持って行動して いきます! 文学部 株式会社 肉のヤマキ商店 2014年卒業 諌山 幸治さん 私が働く建築業界では、職人不足という大きな課題がありま す。外国人労働者の雇用が年々増えているのですが、文化や生活 習慣の違いによるトラブルなど、多くの問題も抱えています。その うえで1人を大切にする「誰も置き去りにしない」といった「誰も が貢献できる社会」を構築することが、重要なことであると感じて います。 この課題を乗り越えるために必要な人材こそ、「価値創造を実 践する世界市民」たる創大生であり、創価大学が今後ますます大 きな使命を担っていくと感じています。創価大学が世界の教育界 をリードする時代が到来する、ワクワク感で一杯です。 文学部 株式会社キュープロ 2004年卒業 Graduate Message Focus創大 創価女子短期大学 創価女子短期大学 いさやま こうじ むらはら けいこ ジョン ジユン オウ イ ひぐち さちこ おみ あきこ
09 創価大学で過ごした時間は人生の“バックボーン”に なっています。私は大学卒業後に毎日新聞社に就職し、 社会部記者として「世の中をよりよく変えるために」と記 事を書いてきました。信念を持って、首相経験者をはじめ とした政治家や省庁の不正も調査報道で追及しました。 1980年代に血友病の治療薬が原因で多数のHIV感 染者を生み出した『薬害エイズ事件』と呼ばれる事件が ありました。被害者を救う力になればと書いた厚生労働 省などの責任を問う記事が、救済のきっかけとなったこ ともあります。自分の取材や記事で、世の中を少しでもい い方向に動かしたいという強い思いを持ち続けられたの は、創価大学で学んだからだと思うのです。 創立時から50年間、大学でもっとも古い校舎である文 系校舎A棟の前に建ち、学生たちを見守り続ける一対の ブロンズ像。その銘板には「英知を磨くは何のため 君よ それを忘るるな」、「労苦と使命の中にのみ 人生の価値 (たから)は生まれる」と日本語、英語、独語、仏語で刻まれ ていますが、私も記者時代、「何のために記者になったの か。誰のために記事を書くのか」と自問自答してきました。 大学では自分のためより世のためを考える純粋な仲 間に恵まれました。人生を振り返ったとき、そうした素 晴らしい友人と若いときに出会えたのは実に幸運だっ たと感じます。 私は毎日新聞社では専務取締役東京本社代表など を務め、今は東日印刷(株)の社長をしています。東京都 江東区にある本社工場は、新聞などを印刷する大型の 輪転機の数では世界最大級で、毎日新聞や聖教新聞な ど日刊紙9紙を含む約40紙を連日約250万部印刷して います。当社は近年デジタル事業にも進出し、インド工科 大学やモスクワ大学といった世界有数の大学から人材 を集めています。ロシアからの2人の女性は、創価大学へ の留学がきっかけとなり、入社してくれました。 創立者の先見の明により、創価大学は多くの留学生 を受け入れてきました。「人類の平和を守るフォートレ スたれ」という建学の精神を体現し、世界平和のため に、非常に大きな役割を果たしてきたと感じています。 『Grand Design 2021-2030』にも、創価大学が目 指すこれからの姿が記されていますが、「オックスフォー ドやケンブリッジには歴史があるが、創大には未来があ る」と感じています。そうした進化した教育・カリキュラ ムのもとで育った後輩たちは、非常に優秀だと思いま す。創価大生は純粋なので、社会に出て傷つく経験をす ることもあるでしょうが、「英知を磨くは何のため」とい う言葉を胸に、困難に怯まず自己の理想を実現する人 生を歩んでほしいと願っています。 武田 芳明さん 東日印刷株式会社 代表取締役社長 【 創価大学 1期生 】 「英知を磨くは何のため 君よ それを忘るるな」 大学で培った信念が、 社会で理想を求める力に。 First Grade Interview 1期生から、今と未来の創大生へのエール ▲社長を務める印刷会社で、新しい可能性に挑戦する
2020年度は、新型コロナウイルス感染症という未曽有の 状況のなかで、学生と教職員が協力することで、学習と研究 を継続することができた。皆様の努力に改めて感謝の意を表 したい。本年度もウィズコロナという環境であるが、創立50 周年という意義ある年を学生、教職員の健康と安全を最優 先にして、教育・研究及び諸活動を展開したい。 昨年度は教育・研究に多くの成果を残すことができた。 教育の分野においては、オンラインでの授業と各種サービス の提供が通信教育課程のみならず通学課程においても一挙 に進展した。研究分野では、JST-JICAの「地球規模課題対 応国際科学技術協力プログラム(SATREPS)」で、「ナイル の源流エチオピア・タナ湖で過剰繁茂する水草バイオマス の管理手法と有効利用プロセスの確立」と題するプロジェク トが採択された。そして、本学糖鎖生命システム融合研究所 が参画するヒューマングライコームプロジェクト日本グループ (代表者 東海国立大学機構名古屋大学・iGCORE 門松 健治)は、「学術研究の大型プロジェクトの推進に関する基 本構想ロードマップの策定―ロードマップ2020―」に掲載 された。関係者の皆様に心から御礼を申し上げたい。 コロナ禍においても学生が忍耐強く、知恵を発揮して、さ まざまな分野で活躍をしてくれた。急遽リモートでの開催と なったが、大学祭をはじめ諸活動においては世界中からのア クセスがあり、未来への可能性を示してくれた。各種ビジネス コンテスト、国際会議や大会、資格試験や進路、地域貢献等々 の多くの分野で、学生たちは日頃の活動成果を発揮してくれ た。なかでも2021年1月2日、3日の東京箱根間往復大学駅 伝競走において、往路優勝・総合2位という快挙を達成し、 日本全国に感動を与えた。また、本年1月に公表された令和 2年司法試験に16名が合格し、合格率は私大4位であった。 本学創立50周年である2021年の素晴らしい幕開けを飾って くれた。 昨年度は、2010年に公表した「創価大学グランドデザイン」 の最終年度でもあった。それは、「建学の精神に基づき『創造 的人間』を育成する大学」を目指し、「自分力の発見」をテー マに学生一人ひとりが有する可能性を開花させる取り組みで あった。5つの戦略と4つの計画という9つの分野で具体的な 目標を掲げて、その実施に努力した結果、多くの成果を挙げる ことができた。2014年には、「スーパーグローバル大学創成 支援(SGU)事業」と「大学教育再生加速プログラム(AP) 事業」の2つの大規模補助事業に採択をされた。SGU事業で は、2018年2月に公表された中間評価では最高の「S」とい う評価、本年3月に公表された中間評価でも、「S」という高 い評価を得ることができた。AP事業でも、「計画どおりの取 り組みが行われ、成果が得られていることから、本事業の目 的を達成できる」ということで、事後評価「A」という結果であっ た。また、「世界大学ランキング日本版」、「QS アジア大学ラ ンキング」や「THE University Impact Rankings」などの世 界大学ランキングにランクインすることができた。今後もSGU 事業とAP事業での取り組みを両輪として、多様性豊かなキャ ンパス環境を築き、世界市民教育に取り組んでいく。なお、「創 価大学グランドデザイン」の取り組み結果については、ホーム ページでその詳細を公表している。 創価大学は本年4月2日に創立満50年の佳節を迎え、こ の50年間で開学のときには想像もできなかった発展を遂げ ることができた。この間、本学の発展に貢献をしていただい たお一人おひとりに心からの感謝を申し上げたい。 本年は、今後10カ年の中長期計画である『SokaUniversity Grand Design 2021-2030』のスタートの年となる。その テーマは「価値創造を実践する『世界市民』を育む大学」で、 教育、研究、SDGsとダイバーシティという4つの分野で目 10 SUN109 2021 Spring 創価大学 学長ヴィジョン Soka University President's Vision 2021 馬場 善久 1953年富山県生まれ。創価大学 経済学部卒。カリフォルニア大学 サンディエゴ校経済学研究科博 士課程修了。Ph.D.取得。専門は計 量経済学。創価大学経済学部講 師、助教授を経て教授。教務部長、 副学長を経て、2013年学長に就 任。主な著書に、本多佑三編『日本 の景気―バブルそして平成不況 の動学実証分析』(有斐閣、第5 章、1995年)など多数。 Yoshihisa Baba 創価大学 学長
11 標を掲げている。本年の学長ヴィジョンの各論は、その4つの 分野で構成される。それ以外に次のような学生支援に取り組 んでいく。 昨年度より、国の「高等教育の修学支援新制度」に加え、 本学独自の奨学金制度を整備した。本年は、コロナ禍で経済 支援を必要とする学生にきめ細かな支援を進める。また障害 のある学生への支援を充実させることを目的に、本年3月に 新たに「障害学生支援室」を設置した。キャリアサポートにつ いてはDXを推進し、サポート情報の発信の強化、卒業生情 報のデジタル化、キャリアセンターホームページの充実、学生 の得られる企業情報の充実に取り組む。 また本年は昨年4月に発表した「創立50周年記念事業」 の一環として、以下の行事の準備を進めている。 (1)4月2日創立記念日の入学式に併せて創立50周年記念 行事を開催 (2)10月の創大祭に創立50周年記念式典を開催 (3)10月には世界の各国から研究者が集まり、創立者の思 想・哲学・教育などについて研究発表する「第11回池 田大作思想国際学術シンポジウム」を開催 (4)11月に創立50周年記念行事となるシンポジウムを開催 (5)6月に連続イベント「価値創造×SDGs」と「世界市民 教育」をテーマ開催 さらに『創価大学 50年の歴史』の出版、本部棟での50 周年記念展示(10月)を予定している。 大変に喜ばしいことに創立者池田大作先生より、このたび 刊行された『創価大学 50年の歴史』に寄稿文を賜った。そ のなかで、創立者は50年で築き上げた、継承すべき本学の 宝として次の3点を挙げられている。1.「『人間教育』の尽き ることなき慈愛の水脈」、2「.いかなる苦難も勝ち越えゆく『創 造的生命』の太陽」、3「.人類を結ぶ『地球民族主義』のネッ トワーク」。これら3つの宝を継承し、「学生のための大学」 として、本学発展の新たな歴史を一人ひとりが主体者となっ て綴ってまいりたい。 60周年へのスタートにあたって、「学生のための大学」と の本学の基本方針を確認したい。創立者は設立構想段階か ら一貫して「大学は学生のためにあるべきだ」と訴えられ、 50年間数限りない激励を学生に贈っていただいた。学生た ちは「若き創立者」として、大学建設に汗を流すとともに人 生の基盤を形成した。今卒業生は日本、世界の各地で、さま ざまな分野で価値創造の人生を歩んでいる。教職員の私た ちが、この基本方針のもと一人ひとりの学生の成長のために、 各々の分野で教育力・研究力・業務力のさらなる向上に努 めてまいりたい。 本年度もコロナ禍での教育・研究活動となるが、感染症 対策を万全に実施したうえで、一人ひとりが最大限の注意を することで、その継続を図ってまいりたい。感染症の状況に 応じて、対面とオンラインによる活動を適切に組み合わせる 必要があるかもしれない。「価値創造を実践する『世界市民』 を育む大学」を目指して、創立60周年へスタートしていくた めにも、教職員・学生の皆様のこれまで以上のご協力とご 理解を念願したい。 教育 1: 2: 3: 4: 5: 6: 7: 創造的世界市民を育成する新しいカリキュラムの準備 SDGs副専攻の設置 データサイエンス教育の全学必修化 新しい授業形態への取り組み 学生の文章力向上と適切なレポート作成に向けた取り組み ポートフォリオの活用 教育改善サイクルの推進 1 1: 2: 3: 4: 5: 6: 重点研究の推進 国際競争力の強化 外部資金獲得の強化 研究基盤の強化 適正な研究活動の推進 創立者及び創価教育に関する研究を推進 SDGs 1: 2: 3: 4: 全学SDGsプロジェクトの推進 “SDGs目標達成に貢献する人材”の育成と、 “SDGs学生・専門家・実務家ネットワーク”の構築と拡大 国連諸機関との連携強化 キャンパスのSDGs化・エネルギー計画の検討開始 ダイバーシティ 研究 1: 2: 3: グローバル化の推進 スーパーグローバル大学創成支援事業の継続・発展 男女共同参画の取り組み 3 4 2
12 SUN109 2021 Spring 学生支援 1: 2: 3: SLS(スチューデント・ライフ・サポート)セミナーの充実 寮生活支援 障害学生の支援体制の整備とサポート 入試・広報 本年度はいよいよ開学40周年へ向けたスタートの年とな る。2020年度は新型コロナウイルス感染症が猛威を振るい、 未曽有の社会状況のなかで、オンライン授業(リアルタイム) を展開し、学生一人ひとりが力をつける教育に全力で取り組 んできた。そして、「国際ビジネス学科」2期生を送り出し、い よいよ4期生を迎えることとなった。 英語特別プログラム(E-Swans)も一定の成果を収め、資 格取得においてもビジネス特設クラスを中心に、各種上級資 格にも数多く合格するなど、見事な成果を上げることができ た。とりわけ、コロナ禍で制約の多いなか、個人表彰としてビ ジネス文書検定1級で「文部科学大臣賞」「優秀賞」、2級で 「日本秘書クラブ会長賞」(2名)の受賞 は、これまでの最高 の結果ともいえる。これは短大教育に対する高い評価のあら われである。また、就職先もホテル、建設、金融、商社など多 くの分野に進んでいる。 学生の活躍についても、中止が相次ぐ各種大会のなかで、 オンラインで開催された「人生100年時代の社会人基礎力 育成グランプリ」では、地方予選大会で最優秀賞に輝き、全 国決勝大会への出場を果たし、見事大賞の栄冠を勝ち取り、 2年ぶり2度目となる日本一に輝くことができた。また、「アグ リカルチャーコンペティション2020」では2年連続となる審 査員特別賞を受賞し、そのほか、各種学生発表大会において も、特別賞をはじめ、優秀賞や審査員賞など6件の表彰をい ただくことができた。さらに、「大学コンソーシアム八王子」の 学生企画事業にも3年連続で採択された。 いよいよ「短大中期計画2021-2025」がスタートする。 本年度からの5年間の短大中期計画として、「女性(あなた) が輝く未来を拓く」とのテーマを掲げた。2年間の学びを通し て、一人ひとりが自分らしく輝く土台をつくり、自身の未来を 拓くことができる教育に取り組んでいく。そして、女性が輝く 社会を拓く人材を輩出していく。 このテーマのもと、「教育・研究」、「学生支援」、「入試・ 広報」、「進路・就職」の四つの柱と、それらを支える「経営 基盤」の構築に取り組む。開学40周年を目指して積極的な 改革にチャレンジし、さらなる教育の充実・発展に尽力して まいりたい。 また、本年度は大学・短期大学基準協会による第3期認 証評価を受ける。6月には自己点検・評価報告書を提出し、 訪問調査を受けることになっている。「教育の質保証」ととも に、主体的な「改革・改善」への適格な評価を期待したい。 2 1 3 進路・就職 4 教育・研究 1: 2: 3: 4: カリキュラム改革 海外語学研修と資格取得教育の充実 教育制度の改革 教員の研究力の向上 水元 昇 1956年熊本県生まれ。創価高校、 創価大学の4期生。経済学部を卒業 後、創価大学大学院・博士後期課程 を満期退学。経済学修士。専門は経 営学。短大開学より教鞭を執り、講 師、准教授を経て教授。入試部長、 学生部長などを歴任し、現代ビジネ ス学科長、副学長を経て、2019年よ り学長に就任。研究テーマは「人間 主義とマネジメント」。業績として 「多国籍企業と人間主義-社会貢献 と平和『」創価女子短期大学紀要』 (中国語、英語で翻訳)など多数。 Noboru Mizumoto 創価女子短期大学 学長 創価女子短期大学 学長ヴィジョン Soka Women’s College President's Vision 2021
学 問 探 訪 浅井 学教授 【 経済学部 】 「データサイエンス教育」で広がる、 “学生の将来”と“持続可能な世界”の可能性 コロナ禍によって日本社会のDX (Digital Transformation:デジタル革 命)が急速に進んでいます。もっとも象徴 的なのが「ウェブ会議」。そのソフトやアプ リケーションは企業活動の必須ツールと なり、学校教育の現場でもオンライン授 業を定着させました。こうしたDXの波は、 社会が求める人材像にも大きな影響を与 えています。そのキーワードとなる「デー タサイエンス」について、創価大学データ サイエンス教育ワーキンググループ座長 の浅井教授に教えていただきます。 『データサイエンティスト』という言葉を ご存じでしょうか? 社会にあふれる膨 大なデータから新しい価値を生み出す 『データサイエンス』の専門家のことです。 「そのアイデアから生まれたものとして、 例えば病院の問診票の電子タブレット化 があります。患者さんが選択した情報が 自動で電子カルテに反映され、“症状に合 わせて質問内容が変化する”という、紙で は不可能な方法で診察の可能性を広げま した。もちろんWebやSNSの発展、便利 なスマホアプリの開発の裏にもデータサ イエンティストの活躍があります」 SDGsの推進にもデータサイエンスは貢 献しています。社会課題を調査・考察する なかで得たデータから解決のベストウェイ を選択するための統計やデータ解析の能 力もデータサイエンスに該当するそうです。 「今後到来するSociety 5.0※では、昔の 『読み書きそろばん』のレベルで、データ サイエンスの基礎的な知識やスキルが求 められるようになると言われています」 そうした世界の潮流に合わせ、2019年 6月に日本政府は『統合イノベーション戦 略2019』として「、データサイエンス・AI の応用知識を持つ人材を、文系理系を問 わず、年間25万人育てる」という目標を掲 げています。創価大学では、そうした動き に先駆け2019年度より全学部対象の副 専攻として『データサイエンス』がスター ト。2021年度から日本IBMの協力のもと 開講する『データサイエンス演習』は、考 察力に富んだ文系学生と情報システムの File 26 創大の 知識の豊富な理系学生が切磋琢磨しなが ら、SDGsなどの社会課題の解決に取り 組む注目の演習科目となっています。 「さらに2022年度からは全学必修科目と して『データサイエンス入門』がスタートし ます。全学必修となると、気持ちがついて いかない学生も出てくることでしょう。そ うした学生に関心を持ってもらえるよう、 各学部・学科の学びとの相乗効果でどのよ うな価値を生み出すかを理解してもらい、 心のハードルを下げたうえで、データサイ エンスを学んでもらおうと考えています。 課題解決で一番大切なことは、悩んで いる人への心配りだと思います。それが自 然とできるのが創大生の強みです。そうし た強みがデータサイエンスによって強化さ れることで、次々と社会課題の解決策が 本学から生まれることに期待しています」 13 [ テーマ ] 大学教育のDX (デジタル革命) Manabu Asai 注)Society 5.0は、IoT(Internet of Things)、 ロボット、人工知能(AI)、ビッグデータ等の新た な技術をあらゆる産業や社会生活に取り入れてイ ノベーションを創出し、一人ひとりのニーズに合わ せる形で社会的課題を解決する新たな社会です。
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