2015年02月22日

開設記念講演

開設記念講演

2014年5月14日、日本学術会議科学者委員会男女共同参画分科会副委員長の小舘香椎子( こだて・かしこ 日本女子大学名誉教授 )氏をお招きして「 大学における男女共同参画のこれまでとこれから ―明るい未来に向けて― 」とのテーマで講演をしていただきました。
講演会の様子
まず、ジェンダー・イコーリティ( 両性の平等 )については、欧米・東アジアの例を取り上げ、欧米の国際会議では出席者の約3割が女性研究者で占められていることも多く見られるが、日本では女性が1名以下という会議も珍しくないこと、また中国では女性進出が著しく進んでいる一方で、いまだ女性がトップになれる機会が極めて少ないことが課題となっているなどの紹介がありました。

さらに、わが国が「 科学技術立国・日本 」として将来的に飛躍していくためには、日本における女性の参画に関するデータ、ジェンダー・ギャップ指数、働き盛り世代の女性労働力の課題( М字カーブ )などを詳細に検討するとともに、そうした目的を実現するために大学がどのように貢献し得るのかを考える喫緊の必要があると主張されました。

男女共同参画の現状については、研究者に占める女性割合の国際比較、女性研究者の所属機関の比率、大学教員の分野別・職階別女性比率、博士課程の女子学生比率、日本学術会議会員における女性研究者数、男女共同参画学協会における女性研究者率に関するデータを紐解きつつ、解説していただきました。

そのうえで、大学における男女共同参画に関しては、男女共同参画分科会が行った男女共同参画に関するアンケート結果などを通じて、今後の対策として必要と考えられる以下の3点が示されました。
 
  1.  国および地方公共団体における科学技術・学術に係る政策・方策決定過程への女性の参画を拡大すること
  2.  多様な価値観や働き方を重視し、働きやすい環境を醸成し、女性研究者がその能力を一層発揮できるようにすること
  3.  次世代を担う女性研究者を育成すること

さらに、男女共同参画の推進に向けて、これまでの文部科学省、日本学術会議、国立大学協会等の取組を説明し、女性研究者支援モデル育成事業採択機関の全国分布と主な成果( 環境整備・意識改革 )、実施機関における分野別女性教員比率の推移、女性研究者離職者数のデータが紹介されました。これらの取組を終了させた後に最も大切となることは、成果をいかに継続させていくかであり、それと同時に大学における女性リーダーをいかに効果的に育成していくかであるとの見解が示されました。

そして、そうした視点を推進させるためには、女性研究者の割合の向上、女性研究者のネットワーク作り、指導的ポストへの女性の積極的登用、メンター制度の充実、ワーク・ライフ・バランスに理解ある先達者の存在が重要であると付言されました。そして「 女性研究者が活躍できる社会になると、個人がその能力を十分に発揮し、社会に対して貢献し得る世の中が実現できる 」「 理工系女性の数を増やすという目標は、単なる数値目標ではなく、多様性のある豊かな日本社会を築くための探究の一つの試みである 」と結ばれました。

なお最後に、創価大学の施設や設備の状況について「 中央教育棟のSPACeを見学したが、放課後にも関わらず男女の学生や留学生が個々にグループでコミュニケーションを取り、真剣に学び合っている姿を見て、創価大学における次世代の人材育成の取組の水準の高さに驚くと同時に理解を深めた 」とのコメントをいただきました。
ページ公開日:2015年02月22日