本学大学院修了の渕脇雄介さん(国立研究開発法人産業技術総合研究所 上級主任研究員)

2024年03月04日 13時00分

【卒業生の活躍】本学大学院修了生が、電気化学会化学センサ研究会にて、令和6年度「清山賞」を受賞

 本学工学研究科生物工学専攻博士後期課程2007年修了(現:理工学研究科生命理学専攻)の渕脇 雄介さん(国立研究開発法人 産業技術総合研究所 上級主任研究員)が、公益社団法人 電気化学会化学センサ研究会にておいて、令和6年度(第27回)「清山賞」をご受賞されました。この度、渕脇さんに受賞の喜びと近況について、お話しを伺いました。

現在のお仕事について教えてください

 国立研究開発法人産業技術総合研究所では、健康医工学の分野で、新しい診断薬の開発に取り組んでいます。具体的には、たった1滴の血液や尿、唾液などから、体全体の健康状態をチェックしたり、疾病や疾患を早期に見つける検査キットの開発を進めています。

この度の化学センサ研究会、並びに発表された研究内容の概要について教えてください

研究活動中の渕脇さん

 受賞した研究は、『マイクロ流路を駆使した迅速センサ技術と社会実装に向けた展開』というテーマでした。この研究では、「マイクロ流路」という髪の毛ほどの細い微細な管を使い、通常数時間かかる抗体や遺伝子の検査を数分で済ませるキットを開発しました。これは世界でも最速レベルの速さで、しかも操作は試料を滴下するだけという手軽さです。例えば、新型コロナ禍で使われた簡易検査よりも1,000倍以上感度が高いんです。そのため、医療が整っていない途上国や、高齢者や子どもの病気の深刻化を防ぐのに役立ちます。
 既に大手企業や大学病院でのテストに成功し、製品化に向けて着実に進んでいます。近い将来、皆さんの手に届けられることを願っています。

「清山賞」のご受賞誠におめでとうございます。受賞されたご感想と今後の抱負をお聞かせください

渕脇さんに贈られた令和6年度(第27回)「清山賞」

 「清山賞」の受賞は私にとって大きな喜びです。この賞は次世代の化学センサ研究を切り開く研究者に与えられるもので大変光栄に思います。創価大学での学びや恩師である久保いづみ先生(現創価大学名誉教授)、お世話になった先生方、そして研究所の仲間たちの支えに心から感謝します。
 この賞は私のキャリアにおける重要な節目となります。感謝の気持ちを胸に、これからも多くの人々に希望を与えられるよう努めます

学生時代の思い出、現役の創大生、理工学部生へのメッセージをお願いします

産業技術総合研究所 四国センター前にて
 学生時代、久保いづみ先生からの化学センサ研究の話は深く印象に残りました。その驚きと哲学は私の心に深い印象を残しました。理工学部生の皆さんにも、自らの研究のルーツを探ることの意義を感じてほしいです。
 また開学時の指針である「英知を磨くは何のため 君よ それを忘るるな」は、知識を還元する重要性を教えています。無名の功労者が築いた礎を思うと、この指針が自己戒めとともに皆さんにもメッセージとなれば幸いです。
ページ公開日:2024年03月04日 13時00分