研究科長からのメッセージ

(2021年4月就任)
本研究科は現代社会の重要なキーワード: 情報, 生命, 環境の3つに対応する3専攻に, 博士前期(修士)・後期(博士)課程の大学院生が在籍をし, 日々の教育活動, 研究活動に取り組んでおります.
学生たち一人一人の奮闘はもちろんですが, それを常日頃より様々な形でご支援をいただいている全てのみなさまに, まずは心よりの御礼を申し上げます. 本当にいつもありがとうございます.
さて, 本学は2021年4月2日で開学50周年を迎えました. 現在の理工学部の前身である工学部はその開学から遅れること20年, 1991年4月に本学初の理系学部として開設されました. そして, 理工学研究科の前身である工学研究科はその4年後1995年4月に開設され今年度で26年となります. さらに,理工学研究科は2020年4月に工学研究科から専攻組織の改組を踏まえ名称変更をし今年度で2年目となりました.
国内に限っても100年を超える歴史を持つ大学は少なくありません.
海外に目をやれば何百年もの歴史を有する名門大学は数多くあります. 本学, 特に理工学部と理工学研究科は, まだまだ歴史も短く規模も決して大きいわけではありません. しかしながら, 本学ならでは, 本研究科ならでは, といえる研究課題に取り組んでおり, いくつかの分野においては世界に成果を発信し, 光を照らすような研究に大学院生が取り組んでいます.
地球温暖化, 気候変動, またコロナウイルス感染症の拡大など全人類的な諸問題に直面しているからこそ, もう一度これまで当たり前だと思っていたこと, 特に, スピード, 効率などが最優先されてきた視点, 観点を見直すときに来ております. 人類の抱える緊急の課題はたくさんあります. しかし, 一方で教育や長期的な視点に立った基礎的な研究においては, その成果が見えるようになるまでには時間と継続的な支援が必要です. 組織に名前をつけ箱を用意し予算を付けただけでは, 物事はうまく機能はしません. それは組織を動かすのは人であり, 人を動かすのはその構成員が共有する情熱や志だからです. 志には心が向かう方向という意味があります.
大きな視点に立ち目線をあげ, まさに眼前にそびえる山に向かっていく, そういうエネルギーが研究には必要です. と同時に, 目の前の小さなことの積み重ねをがむしゃらになって続けていく, そこには学問や先人たちの取り組みに対する真摯な気持ちが現れると思います. 単にキーワードを覚える, 難しい理屈を言えるようになる, 小手先だけの技術を使えるようになる, そういうことが学問ではありません. 日々の地味な作業の中に, そこまでやるのか, そこまでしなくても, ということをやるのかどうか, そこに志は現れると言われます. 理工学研究科に在籍する大学院生, そして教職員, みなで単に掛け声として, 世界で勝負することを叫ぶのではなく, 本気で学問に向き合い, 研究, 教育に取り組んでいきたいと思います.
勉強と研究は違う, そのことを私は学部4年生の時に研究室の先生から教わりました. そして, 研究者というものは, どのように日々学問に向かい合うのか, それを大学院生時代に自分の先生の後ろ姿から教わりました. それから30年以上の月日が流れました. 今一度自分の初心を思い出し, 学問に真摯に向かい, 社会の要望に応えうる, さらなる成果を研究科全体で生み出していきたいと思っています.
最後に, これからも創価大学理工学研究科に, より一層のご支援を賜りますよう, 関係するすべてのみなさまに心からお願いをし, 私の挨拶とさせていただきます.