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2023年06月30日 10時59分

《卒業生の活躍》日用品メーカー

菅野 竣介さん 文学部2017年卒業

 花王株式会社 人財開発部門 智創部

初めての寮生活で信頼できる仲間ができ、ストリート・チルドレンに自問する

創価大学に進学したのは、高校1年のときにオープンキャンパスに参加したことがきっかけです。世界中から学生が集まっているキャンパスは多様性に満ちていて、さまざまな国・地域に海外研修や長期留学できるプログラムが多数あることを知りました。そして何より、創価大学の先輩たちから大学を想う気持ちがあふれていて、「この大学なら自分も成長できるかもしれない」と思えました。入学後は寮生活を開始。もともと私は人目を必要以上に気にしすぎて深い人間関係を築くことが苦手だったのですが、寮の先輩たちはいつも私に寄り添って励まし、可能性を信じてくれました。寮生活のおかげで胸襟を開いて話せるようになり、信頼し合える仲間をつくることができた、これは大学生活で見つけた私の宝物です。
 

1年次の夏休みには、フィリピンのスタディーツアーにも参加しました。当初は「今後途上国へ行く機会があるかどうかわからないから、学生のうちに一度行っておこう」という軽い気持ちでしたが、日本では想像できない貧富の格差、特に物乞いをするストリート・チルドレンの姿に大きな衝撃を受け、「自分は一体何のために勉強しているのだろう」と気付けば自問していました。わずか2週間の滞在でしたが、帰国後からは、長期留学のための英語の勉強に真剣に励むようになりました。なかなか英語力が上がらず伸び悩んでいるときも、「この努力がいつかあの子どもたちの役に立つかもしれない」と考えるようになり、その後の大学生活の努力の源をもらった気がします。また、途上国の課題解決に貢献できる人材になりたいという想いからグローバルリーダーカレッジ(GLC)に入りました。GLCでは学部横断で世界の現状や問題について考え議論する機会があり、「世界で通用する人材になる」という決意を確かなものにするとともに、共通の目的を持った多くの仲間と出会うことができました。

 

寮長を務め、休学して留学。あらゆる経験が糧となり、将来の方向性が定まる

2年次には副寮長となり、後輩のケアやイベントの企画を担当。3年次には国際学生寮に生まれ変わった友光寮で寮長を務め、留学生とともに生活するために寮のルールを留学生目線で見直し、多様な文化・価値観に対応した生活空間をつくろうと奮闘しました。寮長を務めたことで3年次後期に交換留学へ行くチャンスは逃してしまいましたが、自分を変えてくれた寮に何とか恩返しをしたいという気持ちで最後までやり抜きました。ただ、留学したいという願望も捨てきれず、4年次に休学し、まずガーナで1カ月のインターンシップに参加し、その後タイのタマサート大学へ私費留学しました。
 

ガーナではインターンの活動で農村部を訪れる機会が多くありました。男性が農業などの力仕事に勤しむ一方、女性たちも家族のために、売り物を頭に乗せて売り歩いたり、市場で小さなお店を切り盛りしていました。一方、タイではタイ語も学び、地方部に泊まり込みで1カ月間のボランティアに挑戦。小学生に英語を教えながら、現地への理解を深めていきました。子どもたちは制服で授業を受けますが、放課後は普段のボロボロの服に着替え、家族のために朝から晩まで働く両親の仕事を手伝う。一歩学校の外に出ると、そんな光景によく出くわしました。ガーナ・タイでのこのような経験を通して、国や宗教、言語などが異なっても親子が互いを想い合う気持ちはどこでも同じなのだと感じ、「世界中の人の日常に寄り添い、気持ちを前向きに変える、そんな瞬間を生み出す仕事をしたい」と強く思うようになりました。

 

ビジネスと社会貢献を両立する。人事の視点から生まれた新たな目標

帰国後、留学で感じた想いを実現するため、生活に不可欠なモノづくりを手掛けるメーカーを中心に就職活動を行い、第一志望だった花王に入社しました。花王の新卒採用は選考過程で各々の適性が判断されて配属先が決まり、入社後はスペシャリストとしてキャリアを伸ばしていきます。私は人事部の適性があると判断されましたが、それは創価大学で3年間の寮生活を送り、他者と自分の可能性を本気で信じられるようになったことが大きいのではないかと考えています。
 

いまは社員の能力・キャリア開発を目的とした研修や教育プログラムの企画・運営業務を任されており、最近では社員が自分のスキルを活かしてNPO法人などで課題解決に挑む「プロボノ」を企画しています。会社という枠組みを超え、社員が自分の力で社会課題の解決に取り組めば必ず成長につながります。その経験を会社に持ち帰れば、社内や自身の業務の改善に挑むかもしれませんし、「花王だからできる社会貢献」について考え、それが実際の事業に繋がるかもしれません。本業の中で、自分のビジネスと結びつけて社会貢献できるようになれば、これほど効果的なことはないと思います。もちろん、私も「何のために学ぶのか」と常に問い、自身の専門性を高め続け、社会に貢献していきたいです。

 


※大学案内『キャンパスガイド2024』より引用。所属部署・業務内容は取材時のもの。
ページ公開日:2023年06月30日 10時59分