2018年06月08日

あなたらしく大学生活を送るための方法、「セクシュアル・コンセント」を知っていますか?

誰もがキャンパス内で性暴力の被害者にも加害者にもなることなく、自分らしく大学生活を送るために――。

そんなキャンパス作りを目指して、「セクシャル・コンセント」の考え方の普及活動をおこなっているのは、創価大学国際教養学部・4年の淵上貴史さんだ。昨年、交換留学からの帰国後、「ビリーブキャンペーン@創価大学」というグループを立ち上げ、キャンパス内におけるセクシュアル・コンセント(性的同意)の大切さを訴えてきた。本年4月には、新入生向けのハンドブックを発行。全国の大学で積極的に配布しており、多くの新聞社から取材を受けている。大学生活で豊かな人間関係を築くヒントになると共に、海外留学においても、セクシュアル・コンセントは、危機管理意識向上に欠かせない考え方とも言える。今回は、淵上さんと、同活動に参加している今村さくらさん(国際教養学部・4年)にインタビューを行った。
●現在の主な活動内容についてお話ください。
「ビリーブキャンペーン@創価大学」の淵上貴史さん(左)と今村さくらさん(右)

>淵上
ビリーブキャンペーン@創価大学では、ジェンダーの課題に向き合い、創価大学生一人一人が自分らしくあれるよう、セクシュアル・コンセントの認知度向上を通じて、学生の意識改革を促す活動に取り組んでいます。そもそもセクシュアル・コンセントとは、全ての性的な行為において確認されるべき同意のことをいいます。

>今村
今まで、セクシュアル・コンセントを知る重要性を伝える同意ワークショップを創価大学で6回、学生寮(男子寮、女子寮)でそれぞれ1回ずつ、計8回開催してきました。ワークショップではロールプレイや少人数でのディスカッションを通してセクシュアル・コンセントについて考えていけるような内容になっています。また2週間に1回、ジェンダー勉強会も開催しており、話題のジェンダー問題から男女の役割まで幅広く意見交換をしています。そして、ビリーブキャンペーン@創価大学が今年6月にサークルとして認定されました。今後も引き続き同意ワークショップや勉強会の開催、そして性暴力に関する映画上映会などを予定しており、これからますます活動の幅を広げていきたいと思います。
また、昨年10月の大学祭では、110人の方に同意に関するアンケートを実施しました。

●どのようなアンケート結果だったのでしょうか?

>今村
セクシュアル・コンセントがあるとみなされても仕方がないと思う行動について、アンケート調査を実施したところ、70%の人が二人きりの状態で相手の家に行くまたは、相手が来るということは同意があると捉えられても仕方がないと答えています。また約24%もの人が、泥酔している場合は同意があると捉えられても仕方がないと答えています。これらの行動・状態を安易にセクシュアル・コンセントと見なすことは非常に危険なことであり、このままでは知らず知らずのうちに性暴力が起こってしまう危険性があります。

また、本年4月に性に関する意識調査のアンケートを行い、約430人の方に答えていただきました。
「セクシャル・ハラスメントは自分にとって大きな問題だ」という設問に対し、「強くそう思う・そう思う」と答えた人は、約半分程度という結果に。一般に性暴力の7割が知り合いから受けると言われている中で、多くの人はこうした問題が自分の身近で起こっているという認識が薄いということが分かりました。性暴力は決して他人事ではないということを伝え、正しいセクシュアル・コンセントの考え方を広める必要性を強く感じました。
●お二人がこのような活動を始めたきっかけは?

>淵上
国際教養学部の授業で、ジェンダー観・フェミニズムの重要性を知り、それらに貢献できる活動がしたいと思ったのがきっかけです。特に、国際教養学部・山田竜作教授の政治哲学の授業に大きく感化されました。本授業では、市民社会が発展している現代においては、従来の男性社会に象徴されるような競争性よりも、女性が持つ対話への積極性や寛容性が重要になることを知りました。フェミニズム運動によって、女性だけではなく、男性にとっても、必要以上の社会的プレッシャーがかからない社会へ転換が可能になることを学びました。こうした経験から、ジェンダーの枠に囚われず、個人を尊重していきたいと思い始めました。

自分の小学校時代を思い返すと、男女分け隔てなく話したがる一方で、それをからかう空気感に悩んでいたことを思い出します。また「男は泣くな、強くあれ」というような、ある種の固定的な「男らしさ」を期待する風潮に、違和感を覚えていたからこそ、ジェンダー観・フェミニズムの重要性に強く賛同しています。

大学3年生の時、日本で起こる性暴力の現状を知り、身近に性暴力があることに心を痛めました。話を聞くと被害者になりやすい女性が、日頃抱く被害への恐怖心は想像以上だと知りました。にも関わらず日本では当事者をサポートする側(特に男性側)からジェンダー平等・性暴力に関して発言、耳を傾ける人はまだまだ多くありません。そこで関心を持った身としてパイプ役となり、性に悩まず、安心して暮らせる環境づくりに貢献したいと思いました。そのため、セクシュアル・コンセントの概念をより多くの方に認知していただく活動を始めました。

>今村
私が同活動に参加したきっかけは、昨年4月に行われた同意ワークショップに参加したことです。このワークショップではじめて、性暴力の定義やセクシュアル・コンセントの大切さを知り、自分とは無関係ではないことに気付きました。普段の生活を送る中で、セクハラや痴漢に対して「それくらいみんな経験あるよ」と何回も言われてきたことで、性暴力は自分とは無縁なものと考えていたのかもしれません。
セクシュアル・コンセントの大切さについて知ることで、被害を未然に防ぎ、早い段階で性暴力に気付くことが、性暴力の減少につながるのだと実感しました。だからこそ、このセクシュアル・コンセントの普及のために活動し始めました。

●所属しているNPO法人とも連携しながら、活動を進めていると伺いました。
この4月に発行された「セクシュアル・コンセント・ハンドブック」

>淵上
この度、所属しているNPO法人にて、日本の大学への新入生を対象にセクシャル・コンセントについて簡潔にまとめたハンドブックを作成しました。「あなたらしく大学生活を送るための方法」と題し、東京の他大学の学生とも連携しながら、学生の視点から大学生活を豊かにしてくれるセクシュアル・コンセントの大切さを伝える内容となっています。今資金調達のため、インターネットを通じたクラウドファンディングで活動資金を募ったところ、目標の150万円を大きく超える支援金をいただくことができました。ご協力いただいた方には心より感謝申し上げます。
早速、創価大学内のクラブ団体や国際教養学部の1年生など計200名に配布したところ、「早いうちに、この考え方を知れて良かった」との声があり、活動が報われたと感じました。今後は関心がある人だけではなく、多くの人にもセクシュアル・コンセントについて知ってもらう機会をより増やしていきたいです。そして、このハンドブックの配布のみならず、賛同してくれた方々と繋がり、仲間の輪を広げていければと思っています。これからの社会を担う若者が集う大学で、誰も性暴力の被害者にも加害者にもならないようにしたいですね。

>今村
性暴力はクローズドな空間で起きてしまうことがほとんどです。そのため、自分が当事者でなくとも、周りにいる人が気付き、助けてあげることも大切です。実際に、自分の友人や家族が被害にあった場合の対処法なども載せています。
これまで、性暴力は「いかに被害に遭わないか」との視点が多く語られてきました。しかし、このハンドブックを通じて、「いかに加害をしないか」との視点を多くの方に持っていただき、性暴力防止への一助となれれば幸いです。

●国際教養学部での留学経験や学問が、今の活動に結びついた点はありますか?

>淵上
大いにあります。一番大きなきっかけは先述の山田教授の授業でフェミニズム論について学んだことですが、やはり留学経験にも非常に大きな影響を受けました。日本と比べて性に関してオープンに話す文化のある西洋諸国への留学経験(イギリス・ロンドン大学ゴールドスミス)は、日本でタブー視される性のトピックに違和感を抱くきっかけになったと感じております。語学向上のみならず、異文化理解の価値観が固まる前に触れられることが、早期留学の醍醐味ですね。

>今村
私も、イギリス留学中にジェンダーステレオタイプに囚われず、自分らしく生きる沢山の友人ができました。そんな中、イギリスの大学内に”Gender Neutral WC”というトイレを見つけて、ジェンダーの問題に関して興味を持ち始めたのです。
さらに、この興味を加速させたのが留学中に受けた社会科学の授業です。この授業では、実際にロンドン市内を歩きながら社会問題を五感で感じ、感じたことをクラスメイトと共有したり、理論と結びつけて議論して勉強しました。この授業を履修したことにより、ゼミは社会学を専攻し、現在ジェンダーについて勉強しています。男女に関わる様々な理論、固定概念、フェミニズムについて学ぶうちに、性暴力とはジェンダーステレオタイプが大きく関わっていることを知りました。大学での学びと現在の活動が相関し、とても役に立っています。

●今後の活動の目標、またご自身の進路の目標を教えてください。

>淵上
セクシュアル・コンセントについて、創大生全員が理解を深めていける機会を提供していきたいと考えています。また、個人の進路としては、不動産業界に進み、ハード面からエコフェミニストを体現していきたいと考えています。環境問題とジェンダー不平等の社会構図に関連を持たせて解決を目指す人達のことで、自分の関わる業界の中で男女平等社会の実現の一助になりたいと考えています。

>今村
私は6月現在、タイでの留学生活を送っており、SNS更新や電話ミーティングを通して、本活動を行っています。少しでも多くの人にセクシュアル・コンセントについて知ってもらい、大学でそして社会での性暴力の根絶に努めていきたいです。将来的には、人間関係構築における性教育の重要性を感じており、大学院でジェンダーについて研究し、学んだことを社会に還元できるよう教育関係の仕事につきたいと考えています。

ページ公開日:2018年06月08日