中村勝利さん

<いま、どんなお仕事をされていますか?>
 

埼玉県で公立中学校の教諭をしています。創価大学卒業後は臨時的任用教員の経験を経て、埼玉県で採用されて7年目です。現在は地元に近い中学校に赴任して3年目になります。 今年は4クラスある3年生の国語科の授業を担当しています。今は一人一台のICT端末を持っているので、電子黒板や端末の活用にも力をいれた授業を行っています。また、この学校に赴任してからは教務主任という役割を任されています。学校全体の授業時数の割り振りや行事計画、関係各所との調整、教育委員会への報告等の対応、学校行事の司会や運営などをしています。他にも、コンピュータ部の顧問や図書主任(司書教諭)、ホームページ担当など様々な校務分掌も担っています。


<現在の仕事のやりがいを教えて下さい>
 

教師としてのやりがいは、何と言っても生徒たちと関わっている一瞬一瞬です。今の勤務校の生徒たちはとても元気がよく、人なつっこい子ばかりです。授業で「できた」という実感に溢れた表情を見る時、授業で予想もしない発言や反応があった時、休み時間や放課後に他愛もないことで笑い合っている時、準備に時間をかけた行事で生徒たちが活躍している姿を見る時など、教師ならではのやりがいは尽きません。さらに、生徒たちの成長を感じるときも大きなやりがいを感じます。「先生のおかげで国語が好きになった」という声、授業で教えた表現を使って放送や行事での発表をしている姿、卒業生が母校に元気な顔を見せに来て近況を伝えてくれる時など、嬉しい場面を挙げだすときりがありません。なかなか忙しいことも多いですが、なるべく生徒とともに時間を過ごし、笑い合っている教師でありたいと、常に思っています。

 

<現在の仕事を目指したきっかけはありますか?>
 

今の私を築き上げたものの一つは、小学校時代の図書館通いです。週末になると毎週母親が公立図書館に私を連れて行ってくれました。ゲームやマンガを読むのではなく本を読め、と…。当時は周りの子はポケモンをやっている子ばかりだったので、不服に思うときもありましたが(笑)。でも、読書メモをつける習慣のおかげで感想を書く力がつきましたし、小学校6年間で1,3000冊の本を読んだということは私にとっての大きな自信になっています。このことを活かして仕事にできないかと考え、「国語の先生」に行き着きました。また、小学校、中学校、高校といい先生方に恵まれたことも教師を目指したきっかけとなっています。特に高校時代の学年主任をされていた恩師の影響が大きいです。その方は古今東西のことについて博識であり、一聞けば十返してくださるようなお方でした。常に笑顔で明るく、それでいて一人ひとりのよさを認めてくださる、そんな姿は今でも私の理想の教師像となっています。その先生にも背中を押されて教師への道を決意し、創価高校から創価大学文学部へ進学し、日本語日本文学専修(当時)を選択しました。



<学生時代、文学部での授業やゼミで印象深い思い出はありますか?>
 

一つ一つの授業が新鮮で、それまで考えてもいなかった新たな視点を与えてくれました。例えば、日本語音声学では「ん」の発音が四種類あるということ、習ってきた文法は確定的なものではなく様々な学説があること、泉鏡花や村上春樹などを作家作品論の立場から読むという新鮮な読み方、外国の方への日本語教育の方法など、刺激が多い授業ばかりでした。3年次からは大塚ゼミに所属し、大塚望先生が温かく見守ってくださったことが今でも思い出されます。ゼミでは3年次に社会言語学の立場から創価大学内だけで通じる独特の言葉を集めた「キャンパスことば辞典」を、仲間と協力して作り上げたことは今でも大切な宝物となっています。

<大学時代の学びが生きていると感じることはありますか?>
 

教職課程の授業は当然ながらすべてが日々の教育活動に結びついています。大学3年で行った教職インターンシップ、4年の教育実習はもちろんのこと、一緒に国語科指導法の講義を受けていたメンバーと切磋琢磨したことが特に良い学びだったと思います。また、写真部での経験も大きく生きています。部員たちと良い写真について価値観をぶつけ合ったり、副部長として同期たちと部の運営について夜まで語り合ったりしたことは、答えがないものを考えることの大切さを実感しました。また、創大祭の時期に開催される創価芸術展では看板部門のキャップを任され、部の垣根を超えて力を合わせて大きなものを創り上げる楽しさ、事前の関係各所との調整・準備の大切さを体験しました。色々な人と関わってきた経験は、教師として、様々な背景をもった生徒と接することにすべて生きていると感じています。

<創価大学文学部の魅力はなんだと思いますか?>
 

まずは幅広く学ぶことができることだと思います。自分の「好き」を究めていくことができることが、文学部ならではの魅力だと思います。また、「人間教育の最高学府たれ」との建学の精神にあるように、人の温かさに触れられることも魅力だと思います。全国各地から、創立者の思いに共鳴して集まった仲間たち。お互いに智慧を出し合うことで学びが深まっていく機会が多くありました。また、それを見守ってくださる教授の先生方、職員の皆様も温かい方ばかりです。「人間教育」とは何なのか、今も学校現場でその答えを求め続けていますが、その原点は創大にあります。



<これからの目標を教えてください!>
 

未来において教え子たちが活躍してくれること、これに尽きます。「人格の形成」を担う教育において、中学時代の影響は大きいものだと思います。そんなときに関われるからこそ、将来に少しでも良い影響を与える存在でありたい、そしてこれからの活躍をずっとずっと応援していきたいと思っています。 「人間教育の最高学府」で学ばせていただいたからこそ、縁あって出会った目の前の子どもたちが、未来を生きていくために私がしてあげられることは何なのか、「新しき大文化建設」「人類の平和を守る」ために、私ができることは何なのか、常に心に留めています。
 


<文学部生へ一言>
 

何でも興味があるものひたすらチャレンジしていってほしいと思います。学校現場の生徒たち一人ひとりは、まさに十人十色です。一人ひとりの目標や悩みがあります。その背景には一つひとつの家庭があります。地域があります。そこに寄り添うことができる教師になるためには、大学時代に幅広い見聞を広げることが大事だと思います。「教員の常識は世間の非常識」などと揶揄されることもあります。バイトやボランティア等で学校の外や社会の一端を知ることは、大学時代だからこそ体験しやすいことだと思います。もちろん、一つひとつの講義を大切にしたり、図書館の本に触れたりして、教員として必要な教養を深めることや、教職インターンシップなどで学校現場を知ることは大切です。教職以外の経験も大切にして、大学4年間で積み重ねてほしいと思っています。 一般の進路を目指す皆さんも、無駄な経験など一つもありません。「すべての道はローマに通ず」です。チャレンジにチャレンジを重ねていってください。


<未来の文学部生(受験生)へ一言>

教職を目指すには文学部がいいのか、教育学部がいいのか迷っている方もいるかもしれません。取得したい免許状の教科にもよりますが、文学部ではまずはその教科の専門家としての知識を深めることができます。教職については教職キャリアセンターの皆さんも親身になってサポートしてくれますので、安心してまずは文学部に入ってください!一方で、教職ではない道に進んだ仲間も多くいます。ある意味、無限に進路が広がっているのが文学部の良さとも言えるかもしれません。ともかく、「好き」を究めていくには文学部はぴったりだと思います。楽しいキャンパスライフを送ることができるよう、眼の前の一つひとつの物事に向かって、負けじ魂を燃やしてがんばってください!
 

  • キャンパスガイド2023文学部
  • 英語DD
  • 中国語DD
  • 【留学日記】イギリス・バッキンガム大学 夏期語学研修
  • 【留学日記】インド・セントスティーブンカレッジ 春季語学研修