佐久間貴之 准教授

大学で研究していること

 ニューヨークの大学院を卒業してから銀行で働いていました。仕事はリスク管理です。簡単にいえば、銀行のお金を管理するような仕事です。数学や統計学を使って金融に関する分析をする人をクオンツと呼ぶのですが、私もクオンツとして金融商品の価格の計算などをしていました。

 複雑な金融用商品の価格計算にはとても時間がかかる一方、刻一刻と変化する経済状況に応じて価格も素早く計算できなくてはいけません。ですので、高速かつ正確に計算できる方法を日々探求しています。最近は、金融業界で量子コンピュータが注目されているので、量子力学などを勉強しながら、量子コンピュータを活用した手法もいろいろと試している最中です。

 また、授業は主に統計学やファイナンスを担当しています。

高校、大学、大学院での興味

 高校生のときには NASA に興味があったので、将来は宇宙を探求する研究者になりたいと思っていました。ただ、論文を読むためには苦手な英語を勉強しなくてはいけないと分かっていたので、だったら英語と宇宙を同時に学ぼうという安易な発想で、渡米してミネソタ大学に入学しました。

 しかし在学中は生物の神秘に魅了され、生理学、分子生物学、免疫学など様々な生物に関する授業を聴講していました。そして数学を使って生物学を研究している先生の授業に参加したことがきっかけで、ニューヨーク大学の大学院に進学しました。  
 
 しかし進学後は、Wall 街で働いている方が教える金融工学の授業を受講したことがきっかけで、金融工学の方に興味がうつりました。そして更に、金融工学が実際の仕事でどのように使われているか知りたくなり、帰国して銀行に就職したのです。その時から、ずっと先ほど述べたような研究をしています。

 今振り返れば、新しいもの好きというか興味がコロコロ変わっていました。その一方で、将来何をしたいのか明確に決められず、当時はいろいろと悩んでいました。選択肢が多すぎて、なかなか一つを選べなかったのだと思います。

研究への姿勢

 大学院に在学中、金融工学に関して大変興味深い研究をしている先生の授業を受けたことがありました。クオンツの業界では知らない人はいないというくらい著名な方でしたが、ぜひ話を伺いたいと思いメールを送ってみたところ、大変忙しいにも関わらず「ランチをしながら話をしよう。」との返信をすぐにくれました。そしてランチトークでは、進路のことなど親身になって相談にのってくれました。
 

 その先生に、一つ聞きたいことがありました。難解な数学を駆使した研究をされていたのですが、その先生にはそのような数学を学んだ経歴がなかったのです。「どうやって難解な数学をマスターしたのですか?」と聞いたところ、「金融工学の研究が面白そうだったから、自分で勉強したんだ」と気さくに答えてくれました。
 

 「興味があることはどんどんトライした方がいい。必要な知識などはこれから吸収していけばいいんだ。まずはやってみることが大事。」という、その先生の研究に対する姿勢を教わったような気がします。
 

 研究に限らず何か行動に移すとき、様々な言い訳が頭に浮かんでなかなか次の一歩が踏み出せない時があります。残念ながらこの先生はすでに亡くなられましたが、そんな時はこの先生の顔を思い浮かべて、「とりあえず、小さい一歩でもいいから踏み出してみよう」と自分に言い聞かせています。

学生に学んでほしいこと

 大学生活は長いようで短いですから、あまり悩んでいる時間はありません。しかし私も先ほど伝えた通り、学生の時は将来の進路に悩んでいました。だから、悩んでいてなかなか次の一歩が踏み出せない学生の心情も分かります。それでも私のゼミ生には、「考えすぎるよりも、まずは行動にうつしてみたら?」とアドバイスしています。そうすれば、必ず何かしら得るものがあり、自然と次に踏み出すべき一歩も見えてくると思います。

 

 私のゼミではファイナンスを教えていますが、もちろん金融業界以外の進路を選ぶゼミ生も少なくありません。そして学生は、社会に出てからも新しいことを学び続けなくていけません。なのでゼミの授業では、単に知識を受け身で学ぶのではなく、なぜこれを学ばなくてはいけないのか?どのような課題を解決する場合にこれは活用できるのか、これが使えない状況はどのような時か?など、様々な視点から考えるようゼミ生に伝えています。

 また、就職すれば様々なバックグランドを持つ人たちと協力して仕事をすることになります。なので、いろいろな学生が集まるゼミ活動を通して、協力して何かを達成する経験をぜひ積んでもらいたいと思います。

 




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