近貞美津子 准教授

「ミクロ経済学」?

 私が大学で担当している授業は、主に「ミクロ経済学」と、「農業経済論」という2つです。
 「ミクロ経済学」とか「マクロ経済学」という名前を聞いたことがある方は多くいらっしゃるかと思います。ほとんどの大学の経済学部の学生さんたちは、この「ミクロ」と「マクロ」の両方の経済学を必修科目として勉強します。

 「ミクロ」は微視的という意味で、一人一人の「消費者」や「生産者」の動きに注目します。一方で、「マクロ経済学」の「マクロ」は、巨視的という意味で、一国の経済の動きを見ていきます。
 「ミクロ経済学」の話に戻りますが、一人一人の消費者や生産者に着目するといっても、もちろん、冷蔵庫のように、家族単位で消費する財もありますので、家族(「家計」と呼びます)を単位として消費の動きを見ることも多いです。また、「生産者」も会社単位で見ることも多くあります。

 例えば「消費者」の動きに注目する章を勉強すると、身の回りの物の値段が上がったり下がったりしたときに、「その原因は何かな?」とか、「値段がこれだけ上がると、消費量はどう変化するかな?」といったことに考えを巡らすことができます。

 経済学部の先輩たちに、「経済を勉強してよかったと思う時はいつ?」ときいたことがあるのですが、「普通に買い物をしているときに、価格の動きに敏感になって、その原因を考えている自分がいることに気付いた時」と話してくれたことがあります。そんな身の回りのことに関わる勉強を、1年生の皆さんと一緒に勉強しております。

農業の経済って何?

 もう一つの担当科目が「農業経済論」です。専門は何?と言われると、私の場合は「農業経済です」ということになります。そんな「農業経済論」ですが、経済学部生の皆さんからも、「何を勉強するの?」とよく訊かれます。「農業をするの?」とか「将来は農業に進む人のための経済学なの?」といった質問もいただきます。

 ゼミでも農業経済を学んでいるのですが、確かに、ゼミ旅行で農業体験をすることもありますし、ゼミの卒業生の中には農業の分野に進んだ先輩もいらっしゃいます。ただ、農業経済論自体は、農業や食料に関わる事柄について、経済学を使って分析するものです。身近な食料品の価格の変動、農業貿易の仕組み、世界の食料問題、食品ロス、食の安全性、農業と環境の問題等々、先進国から途上国に渡るまで、農業や食料に関わるトピックは沢山あります。

 例えば世界の食料問題ですが、そのきっかけが、世界のある場所の干ばつといった局地的な自然災害であったとしても、その後世界的規模で様々な需要面供給面の要因が影響して、大きな食料危機に発展することもあります。グローバル経済が発展している今、1つの問題を見る時に、経済学を使って要因を整理する意味も大きくなってきていると思います。

 農業や食料はローカルであり、かつグローバルでもありますので、農業経済論という分野を一緒に勉強しながら、経済学をベースに分析する力をブラッシュアップしていければ幸いです。

進路で悩んだ高校時代

 高校時代は、「自分は将来何をしていきたいのか」と悩む日々でした。悶々と悩む中、ふと考えたことがあります。実は、私は変わった人間で、人が幸せそうに沢山食べている場面を目の当たりにすると、涙が勝手に流れてきてしまいます。

 それは感動が込み上げてきてしまうが故の涙なのですが、その時は逆を考えまして、こんな自分は、食べたいのに食べることができない方々が世界にいらっしゃる事実が本当に嫌なのだなと思ったわけです。それから、食料問題に興味を持ち、高校の先生に相談したところ、「だったら経済学が良いと思う」とのアドバイスをいただきまして、今に至ります。

 高校時代の私には、経済学といえば拝金主義の学問という印象しかなく、はじめは悩みました。しかし、様々な文献を読む中で、お金の流れ、財やサービスの流れ、そして人の流れという、社会の、また世界の基本時なシステムを学ぶことができる経済学は、世の中の様々な問題への具体的な対策を打ち出すのに最適な学問ではないかと思うようになりまして、進路を経済学部志望に確定した次第です。

ゼミでの学び

 農業経済を学ぶゼミを開講しております。食べるのが大好きだからゼミを選んでくれた先輩、地域復興に興味があるので農業の経済を学びたいという先輩、バイト先の食料廃棄から食品ロスのことに興味をもったという先輩、将来本気で農業に就こうと努力している先輩、様々な理由でゼミに集ってくれています。

 また、これは創価大学全体の伝統でありますが、先輩が後輩のために道を拓こうと様々挑戦し、努力しています。そんなゼミに対しての思いは、すべての先生と同様です。皆で切磋琢磨する場であり、また我が家のような場になるよう、皆で築いていきたいと思っております。



  • キャンパスガイド2023経済学部
  • 経済学部公式Facebook
  • WEBカメラ
  • IPカリフォルニア・グローバル研修
  • IPシンガポール・グローバル研修
  • クアラルンプール・インターンシップ・プログラム
  • 香港インターンシップ・プログラム
  • 東北復興インターンシップ・プログラム
  • 東北復興スタディーツアー
  • 就業力「強化」書
  • カリキュラム・チェックリスト
  • 経済学部教育ラウンジ(FEEL)