私たちは、「フィリピンの国民保健（フィルヘルス）未加入者の多くは、農村部にいる」という仮説を立て、リサーチを始めました。フィルヘルスによって貧困と認定された人は、中央政府と地方政府から保険料がかわりに支払われます。よって、一見保険加入が難しい貧困層の人は保険に加入できることになっています。しかし、国民全員がフィルヘルスに加入していないのです。
現地調査でまず向かったのは、フィルヘルス。フィルヘルスへのインタビューで、私たちの立てた仮説がひっくり返りました。フィルヘルスと国が持っている統計が一致していないため、保健未加入者が多くいるように見えるけれど、実際に未加入者はごく一部に限られているうえに、フィルヘルスはソーシャルワーカーと協同し、未登録者を把握している、と言われました。しかし、フィルヘルスに隣接するある集落で現地調査を行うと、なんとアンケートに回答したうちの30％以上が保険未加入者であり、その理由が貧困であるため、保険料の支払いができないというものでした。また、なかにはフィルヘルスのことをよく知らないという答えもありました。フィルヘルスの答えと現地調査の結果は大きく違うものでした。
今回のリサーチで実感したことは、実際に現場に行って調査しなければわからないことがたくさんあるということです。リサーチの途中で何度も結果がひっくり返ることがあっても、自分たちが一番知りたいことは何かという軸を持ち続けることができたからこそ、最高の発表をすることができたのだと思います。
リサーチのサポートをつきっきりでしてくださったメンターの先生とSAさんは、私たちの気持ちをすべてわかってくれていました。どこまでも見守り、尽くしてくれました。そして、私たちに深い示唆を与えてくれました。保険医療という面から見たら苦しんでいる人は多くいるかもしれないけれど、しかし、それだけではすべての問題も、すべての人の日常も心も理解できないということを改めて気づかせてくれました。
多くの人のサポート、協力があって私たちの学びがありました。グローバルナースになって、すべての人に恩を返せるように、今回の研修リサーチを学びの根本として日々努力していきます！