2022年度「自立学習入門講座60~65」の概要
通信教育部 教授 有里 典三
学習支援推進室では、2013年4月から自主講座として「レポート作成講義」をスタートしました。同時に、自主講座のための副教材を充実させるために、2015年4月から『学光』誌上で「自立学習入門講座」の連載も開始しました。早いもので2022年3月の時点で連載開始から7年が経過しました。「継続は力なり」との諺にもある通り、この間に60本近い力作が蓄積され本学通信教育部の宝といっても過言ではない見事なラインナップが出そろいました。
過去の連載内容については、「学光ポータル」の中に副教材として『自立学習入門講座』が準備されています。統一テーマは「レポート学習のためのアカデミック・スキル」ですが、個々の内容は①読書論、②文章論、③情報検索法、④情報整理術、⑤論理構成法、⑥パラグラフ論、⑦要約論、⑧推敲術、⑨原稿作法、⑩直接引用・間接引用のスキル、学問分野別に見た学習ポイントとレポート作成上の留意点、など多岐にわたっています。特筆すべき点としては、通教生の皆さんからのご要望にこたえて「具体例をできるだけ盛り込んだこと」と、「自学自習のための演習問題と解答・解説を執筆する際の条件にしたこと」で、比較的分かりやすい連載内容になっているのではないかと自負しています。
さて、これまでは掲載順に講座の内容を掲載していましたが、2021年度の最終号までに60本近くの連載記事が集まりましたので、2022年4月からは利用者の学習の便宜を考慮して内容別に整理して発信することにしました。具体的には、序章 「レポートとは何か、レポート学習の進め方について」(計3本)、第1章「レポート課題をいかに把握するか」(計3本)、第2章「テキストをいかに読むか、情報をいかに整理するか」(計8本)、第3章「レポートをいかに書くか」(計21本)、第4章「推敲をいかに行うか」(計11本)、第5章「学問分野ごとの学び方、レポート作成の留意点」(経済学3本・法律学4本・教育学2本・共通科目5本の計14本)の6つのカテゴリーに区分して、関連する内容をレポート学習の進捗状況に沿って参照できるようにしました。内容別にファイルされた解説文をレポート学習の中で適宜参照することによって、「論理的なレポートを作成するための読み方・書き方についてのアカデミック・スキル」を着実に習得していってください。
2022年度は、年間6回にわたって、以下に示すようなアカデミック・スキルを重点的に解説します。ここでは、新年度のスタートに当たり、「自立学習入門講座60~65」でとり上げるコンテンツの概要を紹介します。皆さんのレポート学習の追い風になるように活用していただければ幸いです。
6月号「自立学習入門講座60」…【チェックシートの作成と効果的な活用術】
レポートの評価項目の第1は「課題把握」です。本号では、この課題把握についてのアカデミック・スキルを学習します。レポート課題の意味をいかに把握するか。そのための①『レポート課題解説』の活用法、②「チェックシート」の作成ポイントやゴールを予測するための効果的な活用法(何を明らかにすればよいか、考察の条件は何か、考察の種類・タイプは何かなど)、③「問い」をもってテキストを読み、重要な情報を探り当てるスキルなど、について具体例をあげながら解説します。演習問題と解答・解説付きで記述しますので、レポート課題のゴールを的確に把握するためのアカデミック・スキルの学習に役立ててください。
7月号「自立学習入門講座61」…【報告型と論証型のレポートの作成術】
前号と同様に「課題把握の方法」をとり上げます。本号では、この課題把握のポイントの一つである考察の種類・タイプの判別方法について学習します。レポート課題文を熟読した後で最初にしなければならないことは、どのような考察が必要なのか見通しを付けることです。すなわち、このレポート課題が「報告型」か「論証型」かどちらのタイプの学習レポートを要求しているのか判別しなければなりません。考察の種類・タイプの判別が正確にできれば、どのようにレポートをまとめればよいのかというゴールの予測を立てることができます。両者の特徴は何か。両者の考察上の違いはどこか。まとめ方のコツは何か。具体的に「述べよ」「説明せよ」「論ぜよ」という言明はどちらの学習レポートを要求しているのか。こうした点についての正確な知識が習得できているかどうかが問われます。演習問題と解答・解説付きで具体的に記述しますので、レポート課題のゴールを的確に把握するためのスキルの学習に利用してください。
9月号「自立学習入門講座62」…【精読と批判的読書のためのスキル】
レポートの評価項目の第2は「教材理解」についてです。本号では、この教材理解についてのアカデミック・スキルを学習します。テキストをいかに読むのか。論理の幹を読みとるためにはどのような点に留意すればよいのか。どのような「問い」をもって読めば効率的な精読ができるのか。また、テキストのより深い理解を目指すためにはどのような読み方があるのか。著者の考えをただ鵜呑みにするのではなく批判的に読むためのコツは何か。以上のような専門書の読み方について、演習問題と解答・解説付きで分かりやすく記述します。テキストを正しく理解するためのアカデミック・スキルを実践的に学び取ってください。
11月号「自立学習入門講座63」…【パラグラフから節にいたる要約の技法】
前号と同じく「教材理解の方法」をとり上げます。本号では、この教材理解を進める中で必要不可欠となる著者の主張・結論を要約するアカデミック・スキルについて学習します。最初の要約はパラグラフ単位で必要になります。この段階ではパラグラフの叙述パターンの要件を理解していることが必要です。ここを起点として、著者の論理の幹を節単位や章単位まで広げて要約するアカデミック・スキルを具体例を示しながら説明します。演習問題と解答・解説付きで記述しますので、著者の論理の流れを正確に理解する要約のスキルを実践的に学び取ってください。
1月号「自立学習入門講座64」…【レポート全体のアウトラインの作成方法】
レポートの評価項目の第3は「論理構成」です。本号では、この論理構成についてのアカデミック・スキルを学習します。レポートをいかに書くか。論旨が首尾一貫した分かりやすいレポートを作成するためには、事前に思考の見取り図ともいうべき「構造的アウトライン」を作成しなければなりません。この暫定的な「構造的アウトライン」は、理解が深まり情報が集まってきた段階で、必然的に発展していきます。どのような点に留意してアウトラインを発展させればよいでしょうか。具体例を挙げながら実践的に説明します。演習問題と解答・解説付きで記述しますので、論理的なレポートを書くための第一歩となる「構造的アウトライン」を作成するスキルの学習に役立ててください。
3月号「自立学習入門講座65」…【説得力を高めるための議論の組み立て方】
前号と同じく「論理構成の方法」を取り上げます。本号では、この課題把握の中でも根幹ともいうべき議論の組み立て方のアカデミック・スキルを学習します。論理的なレポートを作成するためには、「主張」と「論拠」と「データ」の関係が明確になっていることが必要です。いわゆる「三角ロジック」についての正確な理解です。また、レポート内容の説得力を高めるためには、①「3WHAT / 3W1Hへの着眼」と「要約メモの活用法」がポイントになります。こうしたアカデミック・スキルが身についているかどうかで、レポートの論理構成面に大きな違いが出てきます。演習問題と解答・解説付きで具体的に説明しますので、代表的な論理展開のスキルや内容面の説得力を高めるスキルなど、書くために必要なアカデミック・スキルの学習に積極的に活用してください。
以 上
+.――゜+.――゜+.――゜
新しく学光ポータル「学修支援だより」が
開設されました!
皆様の感想をお寄せください。
Email:tk-gakkou@soka.ac.jp
+.――゜+.――゜+.――゜
Search-internal-code:faculty-profiles-2017-