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  • 法学部「人間の安全保障ワークショップ」の授業で国連事務総長特別顧問・NPO法人「人間の安全保障」フォーラム理事長の高須幸雄氏(元国連大使、元国連事務次長)が講演されました。

2023年10月23日 09時00分

法学部「人間の安全保障ワークショップ」の授業で国連事務総長特別顧問・NPO法人「人間の安全保障」フォーラム理事長の高須幸雄氏(元国連大使、元国連事務次長)が講演されました。

アントニオ・グテーレス国連事務総長の「人間の安全保障担当特別顧問」である高須幸雄氏が10月4日、法学部の「人間の安全保障ワークショップ」の授業において「SDGsがめざす世界 持続可能な社会と人間の安全保障-誰も取り残されない日本を作ろう!」とのテーマで講演をされました。

 

高須氏は最初に、SDGsはひとりの人間の視点から社会、地球/環境を包括的に見るものであり、SDGsの17目標・247指標の達成の重要性を確認されました。その上で、最も大切なことはその目標達成を通じて何を実現するかであるとして、2015年に国連で採択された持続可能な開発のための2030アジェンダに示されている“Leave No One Behind”(誰も取り残されない)社会の実現こそが目的であり、すべての人の生命、生活、尊厳が守られる社会の実現がゴールであるとの考えを強調されました。この考え方は1994年にUNDPの報告書で登場した「人間の安全保障」とも通じており、SDGsの理念に大きな影響を与えたことを指摘されました。

 

特に、日本のような先進国は、単にSDGsの各指標の実施状況をモニターするだけでは不十分で、「誰がどこで取り残されているか」を可視化して、取り残されている人にとっての優先課題の解決に行政だけではなくすべての関係者がともに取り組む必要があると指摘されました。そこで、客観的な統計データに加えて、自己充足度、社会的な連携といった主観的な評価を取り入れた「人間の安全保障指標」の試みを示されました。自治体や地域ごとに優先課題が明確化され、より綿密な取り組みを可能にする「人間の安全保障指標」を調査し、日本国内を対象に『全国データ SDGsと日本-誰も取り残されないための人間の安全保障指標』(明石書店)をまとめられたことが紹介されました。そこで明らかなったことは、日本においても、ひとり親家庭の子どもや単身家庭の貧困、所得差・男女格差、孤立、障害者や外国人、LGBTQなどへの差別によって取り残されている人々が多くいる点でした。そこで、さらに詳細に優先課題を明らかにするため、津波により大きな被害を受けた宮城県をモデルに市町村別に人間の安全保障指標を示した『SDGsと地域社会−あなたのまちで人間の安全保障指標をつくろう!』を出版されたことにも触れられました。高須氏ご自身も宮城県の小中学校に幾度も足を運び、子どもの人権教育に力を入れていることが紹介されました。

さらに、学生から事前に出されたウクライナ情勢や国連安保理改革に関する質問についても、一つひとつ丁寧に答えてくださいました。

 

講演を聞いた学生からは、「SDGsは最終的なゴールではなく、SDGsに対する取り組みを通して、誰も取り残されない社会の形成に向けた一歩を進むことが本来のSDGsの目標であり、意義であるのだと学びました。」といった声や「日本の問題について、私自身地方出身であることから、特に危機感を感じ、地元に貢献しなければならない、そして地元に何ができるのかなど、自分の役割について考えるきっかけにもなりました。」などの感想がありました。

ページ公開日:2023年10月23日 09時00分
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