リカレント教育と通信教育
副学長・教務部長 西浦 昭雄
夏期スクーリングでの担当授業が終わり、少しほっとした状態でこの原稿を執筆しています。対面授業ができなかったことは残念ではありましたが、オンライン画面越しにも通教生の学びへの意欲の強さが伝わってくるスクーリングでした。オフィスアワーでは、1年間の歩みを報告される方や、大学卒業後に社会人を経験した後に資格取得のために通教で学び直されている方もいました。
さて、高等教育界において「リカレント教育」が注目をあびてきています。リカレントとは「繰り返す」「循環する」という意味で、社会にでた後も再び教育を受け、仕事と教育を繰り返すことをリカレント教育と呼んでいます。例えば、2018年には首相が議長を務め、関係閣僚と有識者で構成される「人生100年時代構想会議」が「人づくり革命 基本構想」を発表しました。その8つの柱のうちの1つとしてリカレント教育を挙げ、「より長いスパンで個々人の人生の再設計が可能となる社会を実現するため、何歳になっても学び直し、職場復帰、転職が可能となるリカレント教育を抜本的に拡充する」としていました。
さらに同年、中央教育審議会による答申「2040年に向けた高等教育のグランドデザイン」が出されました。同答申では「人生100年時代を見据え、様々な年齢や経験を持つ学生が相互に刺激を与えながら切磋琢磨するキャンパスを実現するためには、高等教育機関には多様な年齢層の多様なニーズを持った学生に教育できる体制が必要となり、リカレント教育の重要性が増していくことになる」と述べています。リカレント教育の重要性について共感する一方で、現状では「生産性革命」という言葉に象徴されるように、スキル獲得偏重のきらいがあると感じています。
私が創価大学の教員となり、通信教育部で教え始めてから25年が経ちました。スクーリングにおいて、まさに様々な年齢や経験をもった通教生が学び、時には教えあっている姿に何度も感銘を受けました。これまで創大通教は生涯学習のモデルであると考えてきましたが、最近ではリカレント教育の先駆的な役割も担っているのではないかと思うようになりました。データを活用した社会課題の解決や、SDGsといった社会貢献と結びつくような科目の充実を図っていく必要があります。個人的には、通学部と通信教育部の科目の互換性向上や学生間の交流が次の目標になってくると考えています。国際交流も活発化してきたものの、大部分の日本の大学にとって長年の課題であった「多様な年齢層が学ぶキャンパス」という壁を乗り越える可能性を秘めていると思うからです。
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