学び続けることの意義について
通信教育部副部長 望月 雅光
ここ数年来、AI(人工知能)の技術革新により、社会に大きな変化が訪れる可能性が示唆されています。特に最近話題になっている生成系AI(ChatGPTなど)の大きな成果が示されてから、いろいろな議論が巻き起こっています。また、AIに仕事が奪われる可能性も指摘されています。歴史を振り返ると、技術革新やそれに伴う社会制度の変化により、無くなった職業も数多く存在します。そのかわりに、技術革新により新しく生まれた職業も数多くあります。
AIの進展により、無くなる職業の特徴を端的に言えば、単純な繰り返し作業を伴う職業、ルールが明確に決まっている、あるいはマニュアル化されている職業です。その一方で、AIが苦手とする創造性や人間力を活かす仕事は今後も必要とされてきます。AIを活用することを前提とした新しい職業もでてくるでしょう。10年以上も前の2011年8月に、キャシー・デビッドソン氏(米デューク大学)が、ニューヨークタイムズ紙において「アメリカの小学校に入学した子どもたちの65%は、大学卒業時に今は存在していない職業に就くだろう」と予測されていたことを思い出します。
このような社会の変化に備えて、リスキリングなど、学び直すことの重要性が言われるようになってきています。しかしながら、実際に学び直そうとすると、かなりの困難が伴います。年齢とともに思考の柔軟さが失われる場合もあります。それ以上に本質的な原因として考えられるのが、学修習慣が身についていないこと、あるいは、学び方を知らないことです。通信教育部で熱心に学び続けていれば、学修習慣や学び方が自然と身についていきますので、心配しなくて大丈夫です。矢野(2009)《※注1》は、学修習慣の大切さを「教育に熱心に取り組む経験と継続の蓄積が、現在の所得を左右する。 変化の激しい時代に生きるサラリーマンは、毎日が勉強だ。 そうしなければ、生き残れない時代に生きている。 日々の学修を支えているのは、 長い間の学修の成果である」と述べています。学びを継続しないとマイナスに作用するとも言及されています。人生100年時代とも言われています。生涯にわたり学び続けることが大切であり、それができていれば、学修習慣や学び方が失われることはありません。
さて、夏期スクーリングも終わり、後半の学修が始まりました。後半の学修では、オンデマンド科目など、オンラインで学ぶ機会が増えます。そこで、オンラインで学ぶ際に大切なことをお伝えしておきます。
それは、計画性を持って学ぶこと、学ぶ意欲を維持することの2点です。特に、オンデマンド型の授業の場合、自分のペースで自由に学ぶことができますが、一歩間違えると忙しさを理由にして、先送りにしがちです。計画通りに学修が進んでいることを、定期的に確認することが大切です。また、学修の遅れを感じた時点で、遅れを取り戻す努力をしてください。働きながら学ぶことは大変です。大変さから、学ぶ意欲が衰えることもあるかもしれません。その時は、創立者が創大生に贈った指針「英知を磨くは何のため 君よ それを忘るるな」「労苦と使命の中にのみ 人生の価値(たから)は生まれる」を思い出し、自分の状況に当てはめてみてください。
この他、オンライン授業で学ぶ際には、ちょっとしたITスキルが必要になります。苦手意識を持つと、どうしても混乱しがちです。さらに、オンライン授業には、学生が困っていることに気がつきにくいという特徴があります。わからないことがあれば、通信教育部事務室や授業担当者に問い合わせるなど、そのままにしないことも大切です。
皆さんの今年度の後半の学修が充実したものになるように、少しでも参考になれば幸いです。
注1 矢野眞和. (2009). 教育と労働と社会. 日本労働研究雑誌, 588, 5-15.
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