創造的人生こそ健康人生
看護学部長・教授 佐々木 諭
内閣府が毎年実施している「国民生活の世論調査」には、「あなたは、今後の生活において、特にどのような側面に力を入れたいと思いますか?」との質問があります。この問いには約7割の人が健康と答え、人生100年時代を迎え、多くの国民が健康を重視して生活していることが示されています。
それでは、健康とは何を指しているのでしょうか? 1946年に制定された世界保健機関憲章では、健康を「病気ではないとか、弱っていないということではなく、肉体的にも、精神的にも、そして社会的にも、すべてが満たされた状態(ウェルビーイング)」と定義しています。健康は、病気のない心身ともに良好な状態にとどまらず、より広い概念として、家族や友人、職場の同僚との人間関係など社会的にも満たされた良好(ウェル)な状態(ビーイング)であるとしています。
近年の健康意識の高まりとともに、ウェルビーイングの概念も注目されるようになり、「ポジティブ心理学」を提唱したマーティン・セリグマン博士は、ウェルビーイングを高め、健康で幸福を実感するための次の5つの要素を示しています。それらは、第一に、嬉しい、楽しい、感動するなどといった前向きな感情であること、第二に、何かに夢中になり没頭、時間や悩みを忘れて打ち込んでいること、第三に、周りの人と仲良く協力し、心が満たされていること、第四に、社会貢献や他利的な行動を通して人生の意義を感じられていること、そして最後に、目標を達成したり、成果をあげることで満足感を得られていることであるとしています。
本学の創立者池田先生は、『健康の智慧』の中で、「『病気がない』だけが『健康』なのではない。一生涯、何かに挑戦する。何かを創造する。前へ前へと自分の世界を広げていく―この“創造的人生”こそ、真の“健康人生”ではないだろうか。その推進力となるのが、不屈の精神力です」と語られています。
通信教育部で生涯学びに挑戦されている通教生の皆さんは、勉学をとおして創造的人生の日々を過ごされており、その生き方のなかにウェルビーイングの健康人生の基盤があることでしょう。これからの皆さんの不屈の挑戦を応援しています。
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