今年度の教員採用試験について
教職キャリアセンター指導講師 杉本 信代
教員採用試験が、行政により試験日程や試験内容に大きく変化がみられます。一部試験の前倒し・早期化や、試験内容の見直しがなされているのです。自分が受験する自治体の教育委員会ホームページを丁寧に読んで、しっかりと対策を行いましょう。
皆さんは、教員採用試験合格に向けて、自分が決めた計画はうまく進んでいますか?
教育学者の齋藤孝さんは、『10歳のミッション』の中で「この世の中で生き抜くために、一番大事な力は、優先順位をつける力だと思います。」と語り、優先順位1位に向かって、集中して実行することが大切だと書いています。分かっていてもいろいろな刺激を受けながら生きている私達は、常に優先順位1番を実践していくことが難しいこともありますが、今、自分が一番やるべきことは何かと常に自らに問いながら進んで参りましょう。
では、多くの教採で実施されている試験内容の面接・小論文の書き方の対策について、具体的なアドバイスを以下に書きましたので参考にしてください。
● まず、自分の良いところをしっかり捉えましょう。
⇒ 自信をもつと、落ち着いた雰囲気になります。
● 必ず、聞かれたことに応えましょう。
⇒ 質問に正対してください。どんなに深い考えでも、聞かれていないことを話すと質問に対する理解力がないと思われます。
● 論理的に結論を始めに述べましょう。
⇒ その後に、その根拠になる体験や理由を語ってください。
● 志望動機・教育実習の感想・成果を上げた取り組み等は、必ず聞かれます。
⇒ 自分で面接ノートを作り、項目ごとに話す内容をまとめておきましょう。
● 基本的な様式や、文章構成(序論・本論・結論)の書き方を身に付けましょう。
1つの論作文を仕上げるには、2~3週間はかかります。
創価大学で行っている対策講座を活用して、粘り強くチャレンジしましょう。
● 本番は、鉛筆を使って自分の字で書きます。
原稿用紙に、直接書く練習もしてください。
とにかく、字は丁寧に・上手に、時間内に書くトレーニングをしましょう。
● 最後は、決められた時間制限を設けて書いてみることが大事です。
書き方が身に付くと、自信が湧いてきます。
◎ 日頃から、「思考力・判断力・表現力」を身に付けるため、文章を書く習慣を付けましょう。
◎ 見出し力を付けましょう。
書いた文章にはタイトルを付けてみてください。
◎ 推敲力を高めましょう。
自分が書いた文章は、何度も読み直すこと。
・主語と述語が捻じれていないか? (1文が長いと危険‼)
・~たり、~たり・・・の表現には気を付けましょう。
「たり」は1回使うと、続けて一文の中で、もう一回使わなければなりません。
・同じ言葉を繰り返していないか?
・表現は最適か?
・人権的な配慮はしているか?
◎ 書いた文は、時間をおいて、読み返すことが大事です。
気になった部分は書き直しましょう。
参考に、昨年の東京都の論作文の課題に対する例文を本人の了解のもと、紹介します。
各学校では、児童・生徒一人一人のよい点や可能性を引き出し伸ばす教育が求められています。
このことについて、あなたの考えを述べた上で、その考えに立ち、教師としてどのように取り組んでいくか、志望する校種と教科等に即して、26行(960字)を超え、30行(1050字)以内で述べなさい。
現在、私たちの過ごす社会は情報化の進展やグローバル化の発展等により、予測不可能な時代となった。このような時代を生きる私たちは、お互いを認め合い、人と人が手を取り合って協力していく力が何よりも必要であると考える。私は、児童一人一人のよい点や可能性を引き出し伸ばしていくために、お互いの持つよさや頑張っていることを認め合える学級経営に取り組んでいく。
学習指導では、児童が互いに教え合い学び合う学習活動を行う。これは、各教科の授業の中で演習問題を解く際に、グループ学習を取り入れるようにする。グループ内で、解き方を話し合い、答えまで導き出すやり方である。この経験は、児童がより主体的な学びを獲得できるようになると考える。
生活指導では、互いのよいところ、頑張っていたことを紹介しあう「今週のキラリ賞」の活動を行う。これは、週に1回の学級活動の中で、クラスのために頑張っていた人や良いことをしていた人を紹介する活動である。この活動を通して、紹介してもらえた児童は、自分がクラスや友達のために役に立つことをし、認めてもらえた喜びを実感して、自己肯定感を上げることができる。その際は、どの児童も認めてもらえるような機会が平等にあるような配慮を工夫していく。そして、どの児童にとっても、クラスや友達のためになることは大切なことであるという価値に気が付くように取り組んでいきたい。それには、まずは教師自身が、日頃の学校生活の中での児童一人一人のよさや頑張りをほめる姿を通して、「自分や友達のよさを見つけることは素晴らしいこと」だということを伝えていく。
児童一人一人のよい点や可能性を引き出し伸ばしていくために、まずは教師である私自身が、児童一人一人と積極的に関わり、児童の様子や頑張りを感じ、認めていく。その中で、児童同士もお互いの良さを認め合い、仲良く楽しいという喜びの声が響き合うクラスにしていく決意である。
日常生活の中で、働きながら学ぶことは大変なことだと思いますが、苦労こそが自分の精神を鍛え、人格を磨く宝となります。創立者より頂いた創価大学の指針の一つである「労苦と使命の中にのみ 人生の価値(たから)は生まれる」の言葉は、通教生の皆さんの生き方そのものであると感じています。私達指導講師も、教採対策講座等を通して皆さんを応援していますので、どうぞ大いに活用してください。
最後に、創立者池田大作先生の言葉を紹介します。
人生というのは“絶対にこうしよう”“こうなっていこう”と心を定め、真剣に頑張り抜いていけば、必ず、自分が納得できる結果が得られるものです。大切なのは、毎日毎日の精進です。どんなに辛く苦しくとも、負けないで、懸命に努力を重ねることです。それが人生の根っこをつくることになる。(新・人間革命 大河の章 より)
すぎもと のぶよ SUGIMOTO Nobuyo
教職キャリアセンター指導講師
[ 職 歴 ] 東京都小学校校長
[専門分野] 国語科、特別支援教育
[担当科目] 教職概論、教職実践演習
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