来年度の教職採用試験に向けて ~教職体験を踏まえて~
教職キャリアセンター指導講師 町田 千恵美
「教育実習は教師としての資質を鍛える最大のチャンス」との決意で、緊張感と子供たちとの出会いへの期待をもって臨まれた教育実習、それぞれの経験が大きな学びとなったことと思います。
自分の経験を振り返っても、失敗ばかりで焦る私を忍耐強く支えてくださった指導担当の先生方と笑顔で応援してくれた子供たちには、今でも感謝しかありません。それでも実習期間を通して「今、自分にできることは何か」との問いとその具体的な実践課題が明らかになったことで、教員採用試験に向けた対策や自身の考えの根拠を確かなものとすることができました。
現在の教員採用試験でも、教育実習期間の経験や学びについて論文や面接、模擬授業で問われる場面が多くあります。まさに、それぞれが大切にしたい価値観や実践内容、そして自身の強みについて経験を通して伝えられる絶好の機会です。そのためには、「記憶」を「記録」としてしっかりと見える化し、相手に伝えられるよう準備をしておきましょう。
- 子どもたちとのかかわりを通して気づいたこと
- 教材研究や学習指導案作りで苦労したこと
- 授業で失敗したこと、その原因と改善策について
- 管理職や先輩教員の指導・実践事例から学んだこと
- チーム学校としての役割について気づいたこと
- 自分の良さや強みについて気づいたこと
- 自身の教職への思い、目指す教師像について変化したこと
今年度の採用試験に合格されたSさんは、とにかく誠実に学ばせていただくという姿勢で、指導教諭の児童への声のかけ方、動き、板書、指導方法など、すべてメモに取り、実践されたそうです。授業参観や講話でも最初と最後に必ずお礼をし、指導やお話は、全て盗もうとの姿勢で、一つ一つ挑戦を重ねてこられたその成果が、参観させていただいた実習校の研究授業からも伝わってきました。授業中、児童が発言するたびに「よく気が付きましたね。」「大丈夫ですよ。」「素晴らしい。」「いいですね。」と暖かな笑顔で励ましの言葉をかけ、学級全体が安心して学びあえる学習環境となっていたことに感心しました。
Sさんは、これらの実践を整理し、自分の言葉にして面接の場面で伝えることができるよう取り組まれ、「自分が納得する言葉や表現ができるように」と最後まで面接の準備をされていた姿が強く印象に残っています。もちろん、失敗した経験も貴重な学びです。通教生の皆さんの強みは、何といっても社会で培ってこられたレジリエンスです。困難な状況にもへこたれずに立ち直ることのできる強さ、周りとの協力関係を築ける力、多様な考え方や視点など、これまで培ってきた力は、今の教育現場で必要とされる力です。
教育実習が終わっても、ぜひ、実習校でお世話になった先生方との出会いやつながりを大切にして頂きたいと思います。今後も、教員採用試験に向けての相談など、力強い応援団になってくださる方々です。
また、家族をはじめ職場の友人・上司、通教の仲間、教職キャリアセンター講師など、たくさんの方と支え合いながら、目指すゴールに向かって挑戦していきましょう。
まちだ ちえみ Chiemi Machida
教職キャリアセンター指導講師
[ 職 歴 ] 小学校校長
[専門分野] 国語科、道徳科、特別支援教育
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