通信教育部では、刑法を学習する科目として「刑法総論」と「刑法各論」の2つの科目が設置されています。通信教育部において「刑法総論」の科目を履修する際には、スクーリングによる方法とオンデマンドによる方法に分かれますが、今回は、オンデマンドによる「刑法総論」の学習の仕方をお伝えしたいと思います。
「刑法」とは犯罪と刑罰を規定した法規の総称をいいます。「刑法総論」の科目では、「刑法の機能」をはじめ、近代刑法の大原則である「罪刑法定主義」や「責任主義」、構成要件該当性が問題となる「不作為犯」と「因果関係」、正当防衛や緊急避難をはじめとする「違法性阻却事由」、有責性の問題と関連する「錯誤論」、共犯の諸問題の1つである「共謀共同正犯」といった内容を取り上げつつ、刑法の一般的理論を学習していきます。
「刑法総論」のオンデマンド授業は全般を通して講義形式で進行してまいりますが、試聴している通教生の皆さんが講義内容を理解しやすいように、パワーポイント資料や教科書を用いて講義を進めております。本学通信教育部は、オンデマンド授業においても、スクーリング授業においても、授業時間は1コマ90分が目安となっていますが、オンデマンド授業はスクーリング授業のように1コマ90分間にわたり、ずっと解説講義が行われているものではありません。1コマで学習する内容が3つあるいは4つのコンテンツに分かれており、1つのコンテンツが約20分前後の講義内容でまとまっているために、コンテンツごとの短時間学習も可能となっています。オンデマンド授業では、各コンテンツの終了後、コンテンツ内で学習した内容を確認する小テストが実施され、それに全て正答することで次のコンテンツに移ることができる形式となっておりますが、「刑法総論」で出題している小テストは各5問程度であり、ほとんどが正誤問題になっています。それ故、たとえば、小テストの解答を間違えてしまったとしても、間違えた問題の正答や解説をすぐに確認することが可能であり、オンデマンド学習に行き詰まって学習を進められないとの心配はありません。
「刑法総論」の科目は、オンデマンド授業の内容もスクーリング授業の内容も同一の内容を講義しておりますので、両者の学習量やレベルには大きな違いがありません。また、学習を進めていく上で教員に質問をしたい場合は、通教ポータルサイトを通じて教員に質問を送ることも可能となっています。このため、通教生の皆さんの中で、もしも、20分から25分の空き時間にこまめに学習を進めたい、また、自宅やプライペートな空間で学習を進めたいという方、かつ、オンデマンド授業を履修する上でのデバイスやウェブ環境の用意ができるという方は、「オンデマンドスクーリングを受講する」という選択をおすすめします。
さて、ここからは、オンデマンドに限らず「刑法総論」を受講予定の通教生の皆様に向けて、「刑法総論」の学習に関するアドバイスをお伝えしたいと思います。
刑法をはじめとした法律学を学ぶ際に共通することかと思いますが、まず、専門的学習の第一歩として、「教科書を読む」ということが大切です。しかし、刑法をはじめとする法律学の教科書は難解な用語が用いられており、通読することも困難かと思います。読み始めることすら億劫になってしまうかもしれません。そのような場合は、教科書をはじめから全部読むということはせず、「今、学習しているコンテンツの範囲内だけでも読む」とか、「自分が知っている単語・用語が載っている箇所から読む」ようにしてください。部分的にでもいいので、「教科書を読む」ことには繰り返し挑戦していただきたいと思います。
次に、「刑法」という科目の特殊性から、「刑法」の学習に際しては、可能な限り「教科書以外の学者の見解に触れる」ことにも挑戦してください。刑法学の中では、いかに刑法を解釈すべきかを巡って争点が多数存在しており、争点ごとに刑法学者が様々な学説を主張しています。1冊の「刑法総論」の教科書を読むだけでは、各争点にどのような学説が存在し、どういった理由から主張されているのかを十分に理解することができません。このため、教科書以外の刑法学者の執筆した「刑法総論」の基本書を用意していただき、教科書と読み比べてみることをおすすめします。
ただし、教科書に加え、その他の「刑法総論」の参考書をいくつも読むのは骨が折れるし、学者の学説を理解するのが難しい・・・と感じられる方もいるかもしれません。そのような方は、当該争点が問題となった「判例」を学習することだけでも挑戦してみてください。実際の刑事事件を参照することによって、刑法を適用する上での問題点が明らかとなり、その問題点に対し、裁判所がいかに解釈を行って結論づけたかを学習することが可能となります。また、判例と学説との相違点が明らかとなり、教科書や参考書に書かれている学説を深く理解することも可能となります。
通教生の皆様は、それぞれが自学自修の時間を工面して学習に挑戦されているかと思いますが、この「刑法総論」のオンデマンドスクーリングが、受講生の皆様の「刑法総論」の理解の一助となれば幸いです。今後の通教生の皆様のご健闘を心よりお祈り申し上げます。
以上
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