若手弁護士
座談会

若手弁護士座談会2011

温かな励ましと薫陶を胸に法曹界の第一線で挑戦

法曹の第一線で日々挑戦する一方、チューターとして学生を励まし続ける先輩弁護士。かけがえのないロースクール時代を送った3名に、学生当時の思いや、現在の仕事のやりがい、そして後輩へのメッセージなどを語ってもらいました。
やりがいをかみしめる日々
伊藤 本日は、若手弁護士の座談会ということで集まっていただき、大変にありがとうございます。自分も含めみなさんは2009年12月末で弁護士登録をされてちょうど1年になります。創価大学および創価大学法科大学院を卒業して、現在法曹として仕事をしているわけですが、本日は自身の受験時代を振り返ったり、後輩のみなさんへの思いなどを大いに語っていきましょう。まず、現在の業務内容、扱う事件などを簡単に紹介していただけますか。

薬丸 私は、債務整理、破産、民事再生、離婚、相続、損害賠償請求、会社法務、刑事事件、少年事件、そのほか何でもやります。

池本 私も一般民事中心ですが、交通事故、離婚、債務整理・破産、会社清算、労働事件、相続そのほか色々あります。

伊藤 私も、顧問先からの相談や契約書のチェック、M&Aなどの企業法務や、債務整理、破産、離婚、遺言相続、交通事故などの一般民事のほか、労働事件や刑事事件など、何でもやっていますね。本当に仕事が忙しい時は夜中までやったりしていますが…。

池本 私も仕事が忙しくて。ロースクール時代も課題に追われて睡眠時間を削っていましたが、それ以上に、今は仕事に追われていますね(笑)。大変ですが、やりがいがあります。

薬丸 そうですね。自分もいつも時間に追われていますが、やりがいという点では、この前担当した事件が印象的でした。それは、複数のヤミ金融からの借金をした方の依頼を受けて、一日中ヤミ金融に電話をかけまくって、その日のうちに全て解決できたことです。喜んで帰って行かれる依頼者の方の顔を見ると、それまでの苦労がふっとんでしまいますね。

池本 私は、実際に弁護士になってから、働き方が自分にあっていると感じるのでよかったなと思っているんです。具体的には、依頼者の利益のためというゴールが明確であること、共同作業があまりないこと、結果が目に見えること、新しい事件が次々入って来るので色々経験できること、などです。大きな事務所だと、また違った働き方になると思いますが。

伊藤 自分も月並みですが、依頼者の方に感謝されたときは、弁護士になって本当によかったなと思います。みなさん忙しいと思いますが、日常的に心身の健康を保つために何か工夫していますか?

薬丸 ええ、積極的に体を動かしたりしてますよ。やはり健康管理は大事ですよ。池本さんは?

池本 私は寝ること。それから仲の良い友人とおいしいものを食べることです。それはそうとして、みなさん同じように大変な状況を乗り越えながら仕事をしているのですね。
人間性を鍛えたロースクール時代
伊藤 次に、現在法曹を仕事をしていく上で、創価大学法科大学院を卒業して良かったと思うことはありますか?

薬丸 伊藤滋夫先生に教わり、自分で考えるということを叩き込まれたので、法曹として仕事を行う上で、事件の展開や妥当な結論は何かを自分でしっかりと考えられるようになったことが良かったと思います。

伊藤 私も伊藤先生をはじめ、ロースクールの先生方にはお世話になりました。歴戦の先生方に論争を挑んだりして、今考えると冷や汗ものですが、真剣に議論の相手をしてくださった先生方にはいくら感謝しても足りません。そのほかは、科目全般が少人数ゼミ形式で議論できたこと、暇さえあれば友人と議論できたことが自分の実力につながったと思います。また、友人や先生方、実務家の先輩方と接する中で、人生観や人間性が鍛えられたことも大きいと思います。依頼者に対する接し方や弁護士としての仕事の仕方、考え方の方針を定める際に、大学時代やロースクール時代に得たものが今でも拠り所になっています。

池本 私も、あの先生がいなければ試験に受かってないなと思う先生が、何人もいます。改めて、すごいことだなと思って、感謝しています。また、同じ弁護士でも本当に色々な価値観の人がいるなと感じるのですが、何を大切に生きていったらいいのか、何のために仕事をするのかということを明確に持てていること、目先のことにとらわれないで本当に力のある人間になりたい、人の役に立ちたいと思えたことは、創立者のもとで学んだおかげだと思います。ちなみにロースクールでの思い出は、手形法の演習問題がわからなさ過ぎて、リアルに涙を流しながら起案したことですかね(笑)。演習授業はきつかったですが、毎回すごく知的刺激が得られて、本当に楽しい時間でもありました。二度と戻りたくないですが(笑)。
チューターとして自分にできること
伊藤 我々はみなチューターとして、現在の後輩のみなさんの勉強などのお手伝いをしているのですが、後輩のみなさんに接する際に、心がけていることなどあったら教えてください。

薬丸 新司法試験は決して受からない試験ではなく、試験で何を要求され、自分には何が足りないのかを分析して勉強すれば、必ず合格できるということをしっかり伝えるようにしています。

池本 私の在学中、先生方は、毎週毎週、睡眠時間を削って答案が真赤になるまで添削してくれたり、食事の心配までしてくれたり、ここまで私のことをわかってくださるのか、と思うような深い深い激励・アドバイスをくださいました。「あれだけのことをしてくれた先生方がいたじゃないか、それが今の自分にできているか」、と常に問いかけながら、後輩のみなさんと関わらせていただいています。

伊藤 自分が心がけているのは、常に夢を与える存在であろうと思うのと同時に、現実の厳しさもしっかり教えることですかね。弁護士という職業は、とてもやりがいのある素晴らしい職業だと思いますが、それと同時に責任も非常に重い。時には投げ出したくなるくらいつらいこと、大変なこともあります。それに、今後弁護士になる方は就職が非常に厳しい状況にある。そういった現実の厳しさを知った上で、それでも弁護士になりたいという熱い情熱を持ってもらえればと思っています。また弁護士だからと言って、絶対に偉ぶらず、謙虚な姿勢を忘れないことを心がけています。自分が学生時代に教授や先輩から受けた恩を返すとの気持ちで、後輩に接しています。
自分に足りないものを分析する
伊藤 最後にこれから創価大学法科大学院に入学し、法曹をめざすみなさんへメッセージをお願いします。

薬丸 ロースクールにおける生活や新司法試験合格への道のりは、決して楽なものではありませんが、試験において何が要求されているのか、自分に足りないものは何かを自分なりに分析し、合格を勝ち取ってください。

池本 本当に面倒見の良い大学であることは間違いないですが、たとえ法科大学院が何をしてくれなくとも自分は自分の努力で合格するという強い気持ちでないと、不安でつぶれてしまうというのもまた現実だと思います。体の健康、心の健康に気をつけてがんばってください。

伊藤 法曹への道のりは、年々険しくなっていますが、創価大学法科大学院には学ぶための環境が整っているので、諦めず真剣に、そして積極的に学べば必ず合格できると思います。その際、重要なのは受け身ではなく、どうすれば合格できるかを自ら真剣に考え、行動することだと思います。また、大事なのは何故法曹になりたいのかという点と、法曹になって何をしたいかという点だと思います。難しいですが、いつか必ず悩む問題なので、一度真剣に悩んでおくと自分の方向性が定まって良いと思います。一足先に法曹界で待っていますので、がんばってください!
伊藤博昭の顔写真
伊藤博昭

創価大学29期
創価大学法科大学院1期既修
司法修習新61期
ゆうき総合法律事務所勤務
弁護士(東京弁護士会所属)
創価大学法科大学院チューター
薬丸潔の顔写真
薬丸潔

創価大学27期
創価大学法科大学院1期既修
司法修習新61期
弁護士法人佐々木法律事務所勤務
弁護士(群馬弁護士会所属)
創価大学法科大学院チューター
池本優子の顔写真
池本優子

創価大学30期
創価大学法科大学院1期未修
司法修習新61期
東京センチュリー法律事務所勤務
弁護士(東京弁護士会所属)
創価大学法科大学院チューター