チアリーディングの世界大会で金メダルを獲得 さらなる高みを目指す二人を繋ぐ信頼と尊敬
柴田 丈 文学部人間学科3年
クロアチアで8月に行われた「2024 FISU(国際大学スポーツ連盟)世界大学チアリーディング選手権大会」に日本代表として出場し、ダブルス・ヒップホップ部門で見事ワールドチャンピオンに輝いた本学の丹羽義彦さんと柴田丈さん。二人で臨んだ世界大会で、華麗なアクロバット技や息の合ったコンビネーションを披露して観客を魅了しました。お互いへの信頼と尊敬を力に、自分たちのパフォーマンスを追求して世界と戦ったお二人に、競技の魅力、世界の舞台で戦って抱いた思いなどについて話を聞きました。
世界大会での金メダル、おめでとうございます! 今回お二人が出場したFISU世界大学チアリーディング選手権大会はどのような大会ですか? また、ダブルス・ヒップホップ部門はどのような競技なのでしょうか?
丹羽さん:FISU世界大学チアリーディング選手権大会は、世界14カ国・地域の大学から代表選手が出場して技を競う国際大会です。「チアリーディング」や「パフォーマンスチア」などのジャンルがあり、僕たちが出場したダブルス・ヒップホップ部門はパフォーマンスチアの一部門です。ダブルス・ヒップホップは、みなさんがイメージする“チアリーディング”とは雰囲気が異なり、ストリートスタイルのリズムや動きを取り入れたダンスが特徴です。通常のヒップホップダンスにチアらしいアクロバット技などを融合させているので、魅せる要素がより強いところに魅力を感じています。
柴田さん:パフォーマンスチアは表現の幅が広く、アクロバット、二人のコンビネーション、柔軟性も重視されます。ダブルス・ヒップホップはストリートスタイルではありますが、見ている人への励ましや楽しさを表現する“チア”の要素もあり、僕たちは表情もパフォーマンスの一部として意識しています。
お二人はどんなきっかけでコンビを組むことになったのですか?
柴田さん:丹羽とは高校のダンス部で出会い、二人とも高3の部活引退後から現在まで「WORLD WINGS 2WDC」というダンスチームに所属しています。ダブルスを組んだのは、そのチームのコーチの方々からお話をいただいたのがきっかけです。高校、大学の先輩でもある松尾正樹さん(2019年度 文学部卒)と尾本幸一さん(2019年度 教育学部卒)からバトンを受け継ぐかたちとなりました。
丹羽さん:松尾さんと尾本さんはダブルス・ヒップホップ部門で何度も世界一になった憧れの大先輩です。お話をいただく前から、僕も柴田もお二人を目指すべき存在として意識していたので、ダブルスを組むならずっと一緒にやってきた柴田しかいないと思いました。
二人でダンスすることの面白さや難しさはどんなところにありますか?
柴田さん:二人の動きがきれいにシンクロした時は、自分たちでも「おおっ!」と思うくらい見栄えがして、面白いです。僕たちはアクロバットのシンクロ率の高さが強みなので、そこを魅せることにこだわっています。
丹羽さん:ダブルスは、二人で真剣に意見を交わして、自分たちがやりたいダンスを追求できるのが面白いなと思いますね。
柴田さん:難しいのは、舞台に二人しかいないので、ミスするとすぐに分かること。見られている緊張感がずっとありますね(笑)。
丹羽さん:たしかに(笑)。チームの競技なら緊張感が分散されるんですけど、ダブルスでは隣に柴田しかいない。お互いしかいないからこそ、柴田にはダンサーとしての敬意を忘れずに接するよう心掛けています。
柴田さん:僕たちは、明るい性格という点は共通しているんですけど、違うところも多いんです。でも、踊り方のニュアンスや、やりたいダンスの方向性が一致していて、しっかり話し合うことができる。丹羽のことは心の底から信じていますし、だからこそ、息の合ったパフォーマンスができると思っています。
お二人は4月に米フロリダ州で行われた2024 ICU(国際チア連合)世界チアリーディング選手権大会に出場し、初の世界大会で銀メダルを獲得されました。
丹羽さん:ずっと世界一を目標に戦ってきたので、2位と発表された時は本っ当に悔しかったです。世界一になるのは簡単ではないことを身をもって感じました。でも、悔しかったのはほんの一瞬。すぐに「この場所で踊れることってすごいねんな」という感動と、世界の舞台で柴田と踊れたことへの感謝がこみ上げてきました。相方の柴田はもちろん、監督、コーチ、会場で応援してくれた日本代表の仲間、日本で応援してくれていたみなさんに感謝したいという気持ちでした。
柴田さん:僕は、真っ先に「うれしい」と思いました。目指してきた世界の舞台に丹羽と一緒に立てたことが本当にうれしかったし、応援してくださったみなさんに、結果を通して感謝の気持ちと自分たちの頑張りを報告できたのもうれしかった。ただ、松尾さんと尾本さんの背中を追いかけて世界一を目指してきたので、やっぱり銀メダルを見ると悔しさを感じます。今回の大会で、僕たちはジャッジ(審判)に自分たちのパフォーマンスをしっかり届けることを意識していました。その目標はクリアできたと思うのですが、優勝したタイのチームは、ジャッジへのアピールに加えて、会場の観客も巻き込むような動きや曲の使い方をしていたんです。世界で勝つには、ジャッジへのアピールは大前提として、会場との一体感も重要なポイントになると学びました。
丹羽さん:自分たちがやりたいスタイルのダンスを見せることはもちろん大事だし、それがダンスをするモチベーションでもあるのですが、世界一になるにはそれだけでは難しい。その点は、世界選手権に出たからこそ得られた気付きでした。
柴田さん:丹羽とは、「優勝できなかったのは、もっと上を目指すためのチャンスをもらったということ。次の世界大会こそメダルの色を金に変えよう」と話していました。銀メダルは、新しい目標を掲げて挑戦する良い出発点になったんじゃないかと思います。
【動画】2024 ICU世界チアリーディング選手権大会でのパフォーマンス
そして、 FISU世界大学チアリーディング選手権大会で念願のワールドチャンピオンに輝きました。いまの心境を教えてください。
丹羽さん:大会期間中、最後の最後まで周囲の皆さんから熱い応援をお送りいただき、世界一を勝ち取ることができました。応援していただいた全ての皆様には感謝してもしきれません。私自身、選手としてまだまだ未熟者なので、今後も新たな目標を掲げ、さらに前進していけるようこれからも更に努力を積み重ねていきたいです。
柴田さん:多くの方々から応援していただき、最後まで楽しく踊りきることができました。現地では、他国の選手との交流の機会も多くありました。ダンスを通して世界中に仲間をつくることができて本当に嬉しいです。4月の世界大会から振り付け・曲・衣装全てが異なる中、挑み続けた3ヶ月間、大変なことや辛いこともたくさんありました。しかし、多くの方々からいただいた応援の力が僕たちの背中を強く押してくれました。創価大学の学生として、世界一を勝ち取れたことを光栄に思います。
普段はどのように練習されていますか?
柴田さん:二人のスケジュールに合わせて、基本的には週に3日ほど大学で練習しています。所属チームが大阪を拠点にしているので、月2回は週末に夜行バスで大阪へ行ってチームの合同練習にも参加します。
学業と練習を両立するのは大変だったのではないですか?
柴田さん:合同練習で大阪に行く時はPCを持って行き、練習後の夜中に大学の課題に取り組んでいました。月曜の朝、夜行バスで大阪から東京に戻って、そのまま1限の授業を受けていたこともありますね。
丹羽さん:1年生の頃は、授業や課題、サークル、ダンスの練習を詰め込みすぎて、正直うまくいかないこともありました。今はスケジュール調整がうまくできるようになり、安定して両立できていると思います。僕は大学に来ることで元気が出る人間なので、両立を頑張れているのは、大学の友だちの支えがあるからこそです。
柴田さん:僕も、大学の友だちが「お前すごいな!」「応援してる!」と言ってくれるから、しんどい時でも授業にしっかり出ようと思えますし、ダンスも頑張れます。周りの友だちや家族に支えられて今があると実感しています。
丹羽さん:みんな心の底から「お前はすごいよ」って言ってくれるんですよね。大会前も「柴田と丹羽が進む道はすべて正解になるよ。だから自分に自信を持って。とにかく楽しんで!」と毎日のように友だちに励まされて、それがものすごく力になりました。
最後に、創大を目指す後輩たちにメッセージをお願いします
丹羽さん:創大は学生が自由に過ごせる大学です。僕たちも友人たちも、勉強、部活やサークル、課外活動など、好きなことにのびのびチャレンジしています。留学生をはじめ、バックグラウンドが異なるさまざまな人がキャンパスに集まっているので、ぜひ入学して自分が持っていないものを持っている、たくさんの仲間と出会ってほしいですね。
柴田さん:大きな目標や夢を持って学生が学び、その目標や夢を本気で応援してくれる仲間、先輩、後輩がたくさんいるのが創大の魅力です。そして、一人ひとりが友だちや親、環境に感謝しながら、さまざまなことに挑戦しています。創価大学は、どこまでも“人”を大切にする最高の学び舎です!
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