川崎 高志 先生

東アジアの国際関係をテーマにリアルタイムなできごとを自分なりに考察していく

中国語の文献を読み解いたり語学力を磨いていく

研究内容の基本情報を教えてください。
私の専門分野は「社会学」ですが、特に「中国の貧困問題」や「日中関係」を研究テーマにしています。授業では「中国語講読」や「通訳演習」など、中国語の語学の科目も担当。中国語の文献だけでなく、雑誌やガイドブックなどもテキストに用いて、中国語を講読し、読み解いていきます。

古典文学や歴史小説が好き中国を身近に感じていた

中学、高校ではどのような学生生活を過ごされましたか。
私は長崎県出身で、公立の中学、高校に通っていました。高校の3年間は、部活動のバスケットボール部に夢中でした。その一方で、子どもの頃から本を読むのが好きで、学校の授業でも文系科目が得意。親や姉が貸本屋で借りてきた本やマンガを読ませてもらったり、学校では図書係をやっていたこともあり、図書室で関心のある本は片っ端から読んだりしていました。『シートン動物記』や『ドリトル先生シリーズ』から始まり、『古事記』や『源氏物語』などの古典文学、『竜馬がゆく』が流行っていた時代では司馬遼太郎などの歴史小説も好きでした。

親が第二次世界大戦中に旧満州国にいて、その話を子どものときから聞いていましたし、長崎では中国は隣人という感じの身近な国だったこともあり、小学校の高学年の頃から中国に関心をもっていました。大学へ進学する際も、中国やアジアのことを勉強したくて、文学部を志望。創価大学は、当時としては珍しい中国の大学との交換留学制度があったので、ぜひとも中国へ留学したいと考えて入学しました。

大学で香港、大学院で中国に留学研究者の道へ進むきっかけに

大学や大学院ではどのようなことを学ばれましたか。
大学では中国語を選択し、エリア研究として中国・日中関係・アジアについて学びました。もともと歴史が好きだったので、古代、中世、近世、いずれもスケールが大きく、さまざまな民族が入り乱れる中国の歴史は興味深く、さらに民族や文化なども歴史を通じて知ることができるのがとてもおもしろかったです。

2年次からは国際関係コースを専攻。4年次に香港の中文大学へ1年間、念願の留学を果たしました。当時の香港はイギリスの植民地で、中国とイギリスをミックスした不思議なところでした。長崎から近いイメージがありましたが、文化などは全然違っていて、現地の方はもちろん、香港に来ている欧米人とも中国語で交流するのが特殊な感じで、とてもいい経験ができました。

大学院では、中国の武漢大学にも1年間留学。中国の国際関係史を学び、研究者の道へ進みたいと考えるきっかけになったのです。

東アジアで起こっている問題を多方面からアプローチして研究する

ゼミの内容について教えてください。
私のゼミでは「東アジアの国際関係」を研究テーマにしています。その中でも、日中関係の比較文化か、言語学に特化するか、大きく分けて2パターンありますが、「東アジアの国際関係」というテーマに収まれば何でもいいので、学生たちは自分が一番関心のあるテーマを選んでいますね。

中国だけでなく、韓国などからの留学生もいるので、生の声を聞くこともできます。今、東アジアでは何が起こっているのか、原因は何か、自分は何ができるのか、リアルタイムな問題を取り上げて、ニュースやできごとに対してディスカッションします。大学のゼミというアカデミックな場で、いろいろなところからアプローチをして、意見交換して、スキルアップできるのが魅力だと思います。

しっかり中国語を勉強したいという人には、上級レベルの中国語の講読テキストを使って、中国の歴史や文化を勉強することができます。
創価大学では、北京をはじめ、中国各地に20校くらいの交流校があるため、中国に留学する学生も多いです。

自分が最も関心あることを幅広い選択肢から考えていく

文学部での学びは、どのようなところがおもしろいと思われますか。 読者へのメッセージをお願いします。
文学部は科目の選択肢が多いので、入学したときに迷う人もいるでしょう。自分が何を勉強したくて、何にアプローチしたいか、自分で自分の専門分野や学ぶ目的を決めていかなければなりません。もちろん、自己責任、自己管理が求められますが、入学時に「あなたはこれ」と決められるのではなくて、自分が関心のあることや将来も考えながら、一つひとつの授業をプランニングしていくことができるのが文学部です。幅広い選択肢の中から、クロスオーバー的なアプローチもできるため、私のゼミ生でも中国語だけでなく、英語など2カ国語、3カ国語を学んだり、資格取得も目指したり、様々なことにチャレンジできるのが、文学部の魅力だと思います。

好奇心をもって、いろいろなことにアンテナを伸ばしてください。そのアンテナに対して、情報交換したり、知識のキャッチボールをしたりしながら、キャリアアップしてほしいと思っています。スマートフォンで検索するだけの勉強ではなく、オープンなチャットのように、学生同士でディスカッションして、学びを深めていってください。
<経歴>
1986年 創価大学 文学部 社会学科卒業
1992年 創価大学大学院 文学研究科 社会学専攻博士課程満期退学
1992年 創価大学アジア研究所勤務
  • キャンパスガイド2023文学部
  • 英語DD
  • 中国語DD
  • 【留学日記】イギリス・バッキンガム大学 夏期語学研修
  • 【留学日記】インド・セントスティーブンカレッジ 春季語学研修