尾崎 秀夫 先生

人間主義の英語教育を実践するための学習モデルを研究する

人間主義、人間教育をテーマに英語教育を研究して実践

研究内容の基本情報を教えてください。
私の専門分野は「外国語教育」で、英語を母語としない学習者に対する英語教育について研究しています。ゼミでは「ヒューマニスティックアプローチ」、日本語で言うと「人間主義」の英語教育を実践するための学習モデルの構築がテーマです。創価大学の建学の精神の一つである「人間教育」を英語教育においてどう展開するか、そこを追究していることに魅力を感じています。

地域で外国人と英語で会話をしてコミュニケーションの楽しさを実感

中学、高校ではどのような学校生活を過ごされましたか。
中学時代は野球部に所属。数学や理科が好きで、どちらかというと理系科目が得意でしたが、一番好きな科目は英語だったので、親に買ってもらったアメリカの子ども向け百科事典のような英語教材でよく勉強していましたね。田舎だったけれど、地域で外国人を見かけた時に英語を使う機会があり、習った英語で全然言葉の違う人たちと意思を通わせられることに楽しみを感じました。

高校は地方の進学校だったため、地元の国立大学に進学して公務員や学校の先生になるのが一般的な進路でした。自分は語学が好きだから英語の先生になるのか、と考えていたものの、地元の国立大学を出て、そのまま地元の先生になるという決まりきった道は自分にはどうしても合わないと感じていました。当時、地方の一高校生にとって、東京の私立大学へ進学するのはすごく決心のいることでしたが、創価大学であれば自分の気持ちに応えてくれると感じ、上京しました。

大学での先生との出会いが研究の道を志すきっかけに

大学や大学院ではどのようなことを学ばれましたか。
創価大学 文学部 英文学科に入学して、アメリカ文学の先生と出会えたことが本当によかったと思います。その先生に感化され、一生に関わるような影響を受けなければ、大学院へ進学して研究の道に進むことはなかったかもしれません。先生の言葉で強く印象に残っているのが「このひとすじの道」。何か一つのことに打ち込んでモノにしていく、そんな心がけや信念を教えていただきました。先生のご指導がなければ、あちこち彷徨ってしまっていたと思います。

大学院生のとき、交換留学でアメリカへ9カ月間、留学したことは大きな転機になりました。アメリカの大学では、外国人に対する英語教育が一分野として非常に発展していることを目の当たりにして、これを深めていくことがすごく大事になるんじゃないかと気づいたことで、その後の自分の方向性がある程度見えましたね。

ヒューマニスティックアプローチの基本的な理論と実践を学ぶ

ゼミの内容について教えてください。
本学は「人間教育」を標榜していますが、その人間教育は、ホリスティック教育やその周辺領域と重なる部分が多いと思っています。それらを基にしながら人間教育を英語教育でどう展開するかについて研究しています。これを「ヒューマニスティックアプローチ」と呼んでいますが、今後ますます教育界で必要とされる取り組みになるだろうと考えています。

ゼミの授業では、まず3年次にヒューマニスティックアプローチの基本的な理論を学びます。月1回程度、イギリスと日本をオンラインでつなぎ、ケンブリッジ大学出身の共同研究者であるロイ・レイトン氏とライブでディスカッション。学生にとっては、第一線の研究者から直接話を聞くことができる、とても貴重な体験です。4年次になると、ヒューマニスティックアプローチの学習モデルについて、現実の教室を想定して、どんな実践方法があるのか、考えていきます。
ゼミ活動の一環として、八王子市内の外国人と飲食店をつなぐSDGsプロジェクトに取り組みました。座学だけでなく、地域に出ていろいろな人との関わりを通して学びを深めることも大事にしています。今後は、海外の大学の学生と一緒にSDGsに貢献できるプロジェクトをやっていきたいですね。

今まで自分でも気づかなかった新しい可能性を発見してほしい

文学部での学びは、どのようなところがおもしろいと思われますか。 読者へのメッセージをお願いします。
今の世の中を観察して、何が求められていて、何が問題で、その解決策としてこういうことがあるのではないか、と考えてみる。何らかの提案やプランを、学生が相互に関わり合いながら、無から有を生みだしていく。なおかつ、その生みだしたものを実社会に適応させ、応用する。

文学部で、この一連のプロセスをたどってほしいですね。一人ひとりの持ち味をお互いに引き出し、弱みを補い合いながら、想いを共有するなかで、一種の知恵のようなものが生まれてくる。それを体感していくのが、文学部の学びです。このプロセスの中では、どうしても自分を変容させなくてはいけないこともあるでしょう。他人の意見を受け入れ、自分を変えていくことで、何が生まれてくるかを実感してほしいと思います。

文学部は、歴史や哲学について考えたり、文学などを鑑賞したりする機会も多く、さらに語学も学べます。今まで自分でも気づかなかったような新しい自分の可能性を発見できると思うので、そういうことに興味がある人にきてほしいですね。そして、人間主義・英語教育について一緒に考えましょう。
<経歴>
1986年 創価大学 文学部 英文学科卒業
1993年 創価大学大学院 文学研究科 英文学専攻博士後期課程単位取得退学
2000年 オハイオ州立大学外国語教育専攻博士課程修了
  • キャンパスガイド2023文学部
  • 英語DD
  • 中国語DD
  • 【留学日記】イギリス・バッキンガム大学 夏期語学研修
  • 【留学日記】インド・セントスティーブンカレッジ 春季語学研修