藤本 和子 先生

現代英語の言葉遣いのおもしろさを知る

現代英語の言葉遣いや日本人英語学習者の英語使用を研究

研究内容の基本情報を教えてください。
専門分野は英語学です。英語学の分野では、大まかに言うと、英語はどのような言語かということを研究します。私の主な研究は、英語のデータベースを利用して、次のようなことを行っています。
(1)現代英語における言葉遣いの変化とその背景にある社会的な要因、場面や状況による英語表現の使い分けについての分析。
(2)日本人英語学習者の英語の使用の特徴とその要因を分析。
(3)上記の(1)と(2)をベースとして、英語の指導内容、辞書や英語教材の改善点を提案。

アメリカ人の友だちとの文通で異文化交流の楽しさを体験

中学、高校ではどのような学校生活を過ごされましたか。
中学から大学まで、恩師に恵まれ、英語が大好きになりました。中学で英語を学び始め、日本語とは違う独特のリズムをもつ発音がおもしろいと感じました。中学の先生の勧めでアメリカのペンパルと文通を始め、同年代のアメリカ人の友だちができて、今でいう異文化交流をしていました。お互いにさまざまなことを書いて、自分が知らないことを学んだり、日本の文化を伝えたり、とにかく楽しかったです。

恩師から教わった学ぶことの楽しさを私も伝えたい

教員の道へ進まれたきっかけは、何でしたか。
留学先のイギリスにて
留学先のイギリスにて
子どもの頃は身体が弱く入院もしており、勉強が遅れがちで、その上、運動もできませんでした。転機は、小学校5~6年生のときでした。担任の先生が、勉強がわかったときの楽しさや跳び箱が跳べたときの嬉しさなど、多くのことを教えてくださったことから、私も勉強の楽しさや、何かができるようになったときの喜びを伝えられる教師になりたいと思うようになりました。

さらに高校生のとき、創価大学の創立者である池田大作先生と初めてお会いして、「これからの時代は国際社会だから、一か国語でもよいので外国語をマスターしてください」との激励に、英語の道に進むことを決心しました!

創価大学は世界各国に交流校があり、国際交流できることに魅力を感じ、思う存分英語を学ぶことができる創価大学へ進学することに決めました。

英語表現のおもしろさを知った留学での経験が大きな財産に

大学や大学院ではどのようなことを学ばれましたか。
学部時代にライティングの授業で英語表現に大きな関心を持ちはじめました。伝えたいことを表現するのに、その表現形式は一つではありません。効果的な表現を探していくことのおもしろさ、そのことが、ゼミで英語学の分野を選択するきっかけとなったと思います。

大学院での研究分野は、現代英語の語法・文法でした。文献にあたり、調査、用例分析を行い、言語事実を見ていきます。辞書や参考書に書かれていることと言語事実が異なる場合もあり、研究の意義を感じました。同時に、言語事実を反映した辞書や教材の必要性を学びました。

学部と大学院時代、教員になってからもアメリカとイギリスへ留学。現在の研究分野に出会うことができたのは、世界的に著名な言語学者ジェフリー・リーチ先生のおかげでした。リーチ先生からコーパス言語学と文法研究の魅力を教えていただきました。リーチ先生の「現代英語の変化を意識しなければならないよ。そうでなければ、教員は古い英語を学生に教えてしまうからね」という言葉は、研究者、そして教員としての私の大切な指針になっています。

留学中に目のあたりにする実際の英語。シチュエーションによって使われる表現が異なったり、話し手の出身地やバックグラウンドによって使われる英語が異なります。あらゆるところに研究の材料が散らばっていて、学んだことや経験したことすべてが大きな財産になっています。

言語と社会や文化を結びつけ、グループワークで研究発表

ゼミの内容について教えてください。
私のゼミでは、英語の話し言葉と書き言葉の違い、英語の使用場面や状況による英語表現の違いや傾向を学びます。言葉は絶えず変化していますので、現代英語の言葉遣いの変化とその背景にある要因も考えます。これらのことは、学生が将来、多様な職種で活躍するときに役立つと信じています。

ゼミの授業はプレゼンテーションが中心です。グループ研究では、各グループでテーマを決め、文献収集や調査をして、成果を発表します。テーマは、英語自体についてのものや、言語と社会を結びつけたものなど様々です。例えば、後者のものですと、インターネット上でもどんどん新しい言葉遣いが生まれる時代ですので、その背景には、どのような言語理論や出来事、文化的背景があるかなど、言語現象と社会や文化について、アンケート調査なども行ってまとめています。ディスカッションをしながら、学生が互いに刺激を受け合い、和気あいあいと学ぶ姿を見て、私も嬉しくなります!

留学をするゼミ生も多いです。アメリカ、イギリス、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド、フィリピン、シンガポールなど、さまざまな国で、英語はもちろん、多様な文化、歴史、人間模様など、留学で吸収できるものは無限です。学生が留学先で見つけた興味深い英語表現について、お土産話をしてくれるのも楽しいものです。

文学部 人間学科で言葉と社会と文化をじっくり学ぶ

文学部での学びは、どのようなところがおもしろいと思われますか。
言葉と人間社会は密接につながっています。言葉の変化や言葉の使用には、人間の生活や文化、習慣、ものの考え方などが如実に反映されます。

文学部は、言葉と社会と文化をじっくり勉強できる学部であることが魅力だと思います。つまり、英語学、そして英語学と他の学問分野を関連づけて学ぶことができる学部です。文学部での学びは、将来のキャリアにおいても、学生のみなさんが、多様な分野で活躍することを可能にしてくれることでしょう!

良い本、良い友だち、良い先生とたくさん出会ってください

最後に、読者へのメッセージをお願いします。
みなさんには無限の可能性があります。チャレンジ精神で主体性をもって思いきり学び、可能性の扉を大きく開けてください。私は良い先生方に出会ったからこそ、今の自分があると思います。良い本、良い友だち、良い先生との出会いをたくさんしてください。私自身も、学生に良い影響を与えられるような存在でありたいと願っています。
<経歴>
1992年 創価大学 文学部 英文学科卒業
2004年 創価大学大学院 文学研究科 英文学専攻 博士後期課程修了 博士(英文学)取得
2011~2020年、2023年~ 英国ランカスター大学 客員研究員
  • キャンパスガイド2023文学部
  • 英語DD
  • 中国語DD
  • 【留学日記】イギリス・バッキンガム大学 夏期語学研修
  • 【留学日記】インド・セントスティーブンカレッジ 春季語学研修