玉井 秀樹 先生

実現したい平和とは?SDGsにも通じる平和について話し合おう

平和を実現するには何が必要か?自分が求めている平和を考える

研究内容の基本情報を教えてください。
私の専門分野は平和学と国際関係論ですが、研究室では「平和とは何か?」「平和を実現するためには何が必要なのか?」をテーマにしています。平和学は、数学のように一つの答えが明確にあるわけではないし、みんなが求めている平和は一種類ではないので、実は未解決問題の厄介な学問なんです(笑)。

そこで私の授業やゼミでは、「みなさんが実現したい平和とはどういうものか考えてみよう」を一貫したテーマに、文献や研究論文などを読み解いてディスカッションをしています。

大学の国際関係論の授業で学びたいことが見つかった

大学はどのような道に進まれましたか。また、それはなぜですか。
中学生の頃から社会科が好きでしたが、高校の日本史の先生が非常におもしろく、勉強すればするほど興味が広がっていきました。将来は国際情勢関係で活躍できる人になりたい、世界で仕事をしたいと考えるようになり、そのために大学で国際社会を学ぼうと決心。創価大学の大学祭で、国際経済や国際社会についての研究発表の展示を見て、自分も勉強したいと考え、創価大学 文学部 社会学科に入学しました。

大学1年次の「国際関係論」の授業で、国際社会がどう変わってきたのか、その歴史をひもときながら、大学で国際社会を学ぶ意味、身につけた知識をどうやって世界の平和に結びつけていくか、という講義に感化されたのがきっかけで、国際関係論のゼミを受講。「この先生のゼミで学びたい」と思える授業に出会えたのはラッキーだったと思います。

平和学とはどういう学問なのか、卒業論文が研究のきっかけに

研究の道に進まれたきっかけは、何でしたか。
当時は、米ソ対立の緊張感が高まり、国際社会情勢としては厳しい時代。予習をせずにゼミの授業に臨むと、自分の知識が足りない、もっと勉強しておけばよかった、と反省させられる日々。今思うと、かなり鍛えられたし、一生懸命に勉強をしていましたね。

卒業論文のテーマを決めるのに難航し途方に暮れているときに、「平和学」という学問が新しく立ち上がっているのを知りました。まだ大学に「平和学」という科目がなかったので、平和研究がどういうふうに成り立っているのか、「平和学」とはどういう学問なのか、卒業論文で書こうと決めたことが、今の私の専門分野につながったのです。

指導教授からは、大学で研究を続けるとともに教員になるというのはどういうことなのかを学びました。自分は大学で様々なことを学んだので、その恩返しのつもりで、学んでいく楽しさ、素晴らしさを伝える教員にならなくてはと思いました。

「喫茶 平和」がテーマのゼミで、前向きに平和について話し合う

現在の研究内容について教えてください。
私が勉強してきて行き着いた平和とは「人間の安全保障」です。現在高校の授業で、持続可能な開発目標(SDGs)について勉強しているでしょう。このSDGsで目指している社会と、私が考える平和学の目的である平和は、ほぼ同じだと考えています。例えばSDGsでは「すべての人間が尊厳と平等の下に、そして健康な環境の下に、その持てる潜在能力を発揮することができることを確保する」とありますが、平和学が目指している平和も、こういうことだと思います。「すべての人が大切にされるような社会になるためにはどうしたらいいのだろうか」ということを考えるのが私たちの学問です。

私のゼミでは「楽しくなければ平和ではない」をキャッチフレーズに、お菓子をつまみながら気軽に意見を言い合える「喫茶 平和」という店にいる雰囲気の授業を行っています。世の中には平和を実現するためにどのような障害があるのか、重くなりがちなテーマなので、お茶やお菓子を楽しみながら、やわらかい頭で考えてほしいのです。もちろん、海外では戦争が勃発していて深刻な状況なのは紛れもない事実ですが、それを嘆いていても仕方ないので、どうすれば前向きになれるのか、自分たちが平和のために何ができるのかを考えていきます。将来、国際社会に貢献できるかもしれないという大きなやりがいがあり、ゼミでは活発な意見が飛び交っています。毎年、夏休みには沖縄で4泊5日の研究合宿を行い、戦争と平和について考えています。

SDGsに興味がある学生はぜひ一緒に勉強しましょう!

どのような学生に進学してほしいですか。読者へのメッセージをお願いします。
文学部は、いろいろな学びができます。文章を読み解く力、絵を見てその絵に示された意味を読み取る鑑賞力、マンガ、アニメ、映画、演劇など、人間が表現する様々なものに対して、その意味に関心がもてる人は、文学部で「読み解く力」を身につけてください。どうすれば自分らしく、世のため、人のために役に立つ、欠かせない人間になれるかどうか、そういうことを考えている人こそ、創価大学の文学部が向いていると思います。

私のゼミでは、知りたい、学びたい、という意欲がある学生は大歓迎。いったいなぜだろう、と考えることが苦にならない人は、平和学が向いていると思います。ゼミの教材でSDGsについての文献を扱っていますので、SDGsってどうやって実現するんだろう、SDGsに興味がある、という人は、ぜひ我がゼミで一緒に勉強しましょう。
<経歴>
1985年 創価大学 文学部 社会学科卒業
1989年 創価大学大学院 文学研究科 社会学専攻(国際社会論)修了
1986~1987年 スウェーデン国立ルンド大学大学院 派遣留学生
1989年 創価大学大学院 博士前期課程修了(文学修士)
1990年 創価大学平和問題研究所・助手
1998年 同・助教授
2002~2003年 米国・アメリカン大学 客員研究員
2008年 創価大学 文学部 准教授、創価大学平和問題研究所・所長
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