研究科について

研究科長からのメッセージ

学部あるいは博士前期課程で学業を終えて進学した皆さんは、これからさらに深い学問の森に入っていくことになります。皆さんの大学院に進学した動機は様々でしょう。ただ、動機に違いがあっても、この2年間ないし3年間で学問とは何かについて学ぶことには変わりはありません。

具体的に、博士前期課程では2年時に修士論文あるいはリサーチペーパーを、博士後期課程では3年時に博士論文(これらを以下、論文と呼びます)を提出することになります。このまとまった研究成果の執筆作業が博士前・後期課程での最重要事項になります。いかに良い論文を書きあげるかが求められます。大学院では論文を書くことが最も重要な作業であるといっても過言ではないほど、論文執筆の取り組みには重要な意味があります。

この論文作成の過程、具体的には、テーマ設定、資料収集、執筆というステップ踏む過程で、それぞれに必要な力が養成されてきます。論文作成から得たそれらの能力は、皆さんが社会で活躍する際に存分に発揮されることでしょう。

法学研究科長 飯田 順三

皆さんはまた、論文の作成と平行して必要科目の履修もします。学部での講義科目と異なり、数人の学生と担当教員とのゼミ形式で進められる少人数授業は、皆さんにとって知的な刺激となるでしょう。各教員は、その学問分野おいて長年研究してきたスペシャリストです。皆さんは教員から適切な学問的指導を受けることができます。皆さんの学ぶ姿に接して教員は情熱をもって指導してくださるでしょう。

博士前期課程では税理士試験科目免除制度に対応する税理士有資格の教員を配置しています。 現在まで、すべの論文が国税審議会で認定されているという実績があります。本年度から、社会人学生にとっても学習しやすいように、オンライン対応の授業を設定しました。これからもこの制度を利用した学生が増えることを期待しています。

この現実の人間社会には、様々な不合理、不条理、不公平が存在します。私は、学問はこれらを解決するためにあると考えます。創価大学は、現実の人間からどう不幸を取り払い幸せにするか、現実の人間社会の不正義をただし、どのように価値ある社会にしていくかを常に模索しながら難問・難題に挑戦する学びの場です。

どうか、この創価大学法学研究科で、学問的生活を満喫し、社会に価値を創造する皆さんにさらに成長していってください。我々教職員スタッフは、そのための労力は惜しみません。
大学院への進学を心より歓迎いたします。

2024年4月1日
法学研究科長 飯田順三

A Message from the Dean of Graduate School of Law
After completing your undergraduate or master’s course studies, you are now entering a deeper forest of study. Naturally, your motives for entering graduate school may vary. However, even if your reasons are different, the fact remains that you will learn more about what academia is during the next two or three years.

Specifically, in the postgraduate program, a thesis or research paper will be submitted at the end of the second year. A doctoral dissertation will be presented at the end of the third year of the doctoral program. The most crucial task in the postgraduate program is to produce a coherent research result. The essential job in the program is how to make a high-quality product. In a sense, it would not be an exaggeration to say that the purpose of graduate school is to write a thesis, so this effort is significant.

The necessary skills will be cultivated in writing this treatise, explicitly setting the theme, collecting materials, and writing. In addition, those abilities gained from writing a treatise will be fully demonstrated when you play an active role in society.

You will also take the required courses in parallel with your thesis writing. Unlike undergraduate lecture courses, small-group classes with a few students and a faculty member will be intellectually stimulating. Each faculty member is a specialist with many years of research experience in their field of study. You will receive appropriate academic guidance from them. In addition, you will be guided by faculty members who are passionate about what they see you learning.

In the Master's Program, a qualified tax accountant faculty member is available to students who wish to prepare a thesis based on the Tax accountant examination. The National Tax Council has approved all master theses that our students submitted. Starting this year, we have set up online classes to make learning easier for working students. We hope that more students will take advantage of this system.

This whole human society has various irrationalities, absurdities, and injustices. The purpose of learning is to solve these complex problems. The study of Soka University is a place of learning that challenges these problems, always seeking how to remove unhappiness from real people and make them happy, correct injustice in real human society, and make it a valuable world.

I hope you enjoy your academic life here at the Graduate School of Law and that you will further develop into someone who creates value for society. We, the faculty and staff, will spare no effort in providing you with the necessary guidance and assistance.
I sincerely welcome you all to the Graduate School of Law.

April 1, 2024
Professor Junzo IIDA
Dean of Graduate School of Law

理念と目標

研究方針、教育目標について

理念・目的

法学研究科は、激動する人間社会にあって、「人間のため」「民衆のため」「正義のため」という信念を持ち、優れたリーガル・マインドと、グローバル・センスを備えた人材・研究者や、建学の精神にある人間主義に基づいた法学・政治学の学問研究と法律実務に精通した人材・研究者を養成することを目的としています。

教育目標

法学研究科は、以下の3つの教育目標を掲げています。

  1. コースワークを活かした体系的な法学教育を通して、現代社会に生起する諸問題や諸課題を探求し、問題発見能力・解決能力と論理的思考力・創造的能力を備えた人材・研究者を輩出する。
  2. 柔軟性と多様性を受容し、グローバル社会において必要なコミュニケーション能力を備えた人材・研究者を輩出する。
  3. 人間のための法学、民衆のための法学、正義のための法学を志向し、世界の平和と人類の福祉の実現に貢献できる人間力を兼ね備えた人材・研究者を輩出する。
Close

紀要

法学研究科法律学専攻における学報

2023年度

該当する紀要はありません。

2022年度

掲載者
紀要 課程 筆者
アメリカ連邦制定法の射程判断における「領域性概念」の変容
―地理的適用範囲の法的領域化について―
前期課程 李 健俊 ベンジャミン
掲載論文

https://soka.repo.nii.ac.jp/search?page=1&size=20&sort=custom_sort&search_type=2&q=7948

2021年度

掲載者
紀要 課程 筆者
留保金課税制度に関する一考察 前期課程 四元 秀伸
同族会社における借地権課税の一考察
―法人税法施行令137条と相当地代通達の取扱いを中心にして―
前期課程 冨澤 英治
過大役員給与課税に関する一考察 前期課程 金森 高志
掲載論文

https://soka.repo.nii.ac.jp/search?page=1&size=20&sort=custom_sort&search_type=2&q=7926

2020年度

掲載者
紀要 課程 筆者
大杉栄のアナーキズム思想と革命実践の構想
―「本能」と「征服の事実」の観点から―
後期課程 孟 芮竹
分掌変更に伴う役員退職給与に関する一考察 前期課程 田中 佑希
掲載論文

https://soka.repo.nii.ac.jp/search?page=1&size=20&sort=custom_sort&search_type=2&q=7884

2019年度

掲載者
紀要 課程 筆者
トマス・ペインの政治思想
―革命の時代に生きたトマス・ペインの思想と行動の軌跡―
前期課程 菊地 勝治
グループ法人税制に関する一考察 前期課程 横山 光一
掲載論文

https://soka.repo.nii.ac.jp/search?page=1&size=20&sort=custom_sort&search_type=2&q=7854

2018年度

掲載者
紀要 課程 筆者
資本的支出と修繕費の区分に関する一考察 事実認定に係る問題を中心に 前期課程 西山 博明
掲載論文

https://soka.repo.nii.ac.jp/search?page=1&size=20&sort=custom_sort&search_type=2&q=7828

2017年度

該当する紀要はありません。

2016年度

該当する紀要はありません。

2015年度

2014年度

2013年度

2012年度

紀要 課程 筆者
アメリカ憲法学におけるプライバシー権の展開 後期課程 上田 宏和

2011年度

2010年度

2009年度

2008年度

2007年度

2006年度

紀要 課程 筆者
社会法における生存権理論の変容 後期課程 谷口 陽一
「憲法第9条改正問題」 前期課程 星野 光一

2005年度

2004年度

2003年度

Close

学位論文

学位取得の紹介

課程博士

学位取得者:佐瀬 恵子 指導教員:川崎 一夫 授与年月日:2009年3月21日
論文題目
違法論における「被害者の承諾」と自己決定権 ~ 自己決定権の刑法学への導入の是非 ~
内容の要旨および審査結果の要旨
学位取得者:豊島 名穂子 指導教員:高村 忠成 授与年月日:2012年3月21日
論文題目
「人間の安全保障」と今日における主権概念-言説分析からみた国際社会における「人間」重視の思潮-
内容の要旨および審査結果の要旨
学位取得者:恩田 祐将 指導教員:川崎 一夫 授与年月日:2012年3月21日
論文題目
刑法における危険引受け論
内容の要旨および審査結果の要旨

論文博士

学位取得者:尹 龍澤 授与年月日:2003年3月19日
論文題目
東アジア行政不服審査制度の比較研究
内容の要旨および審査結果の要旨
学位取得者:加賀 譲治 授与年月日:2003年3月19日
論文題目
証券相場操縦規制論
内容の要旨および審査結果の要旨
学位取得者:黒木 松男 授与年月日:2004年3月19日
論文題目
地震保険の法理と課題
内容の要旨および審査結果の要旨
学位取得者:宮﨑 淳 授与年月日:2012年3月21日
論文題目
水資源の保全と利用の法理-水法の基礎理論
内容の要旨および審査結果の要旨
Close

学位論文審査基準

修士論文、リサーチ・ペーパー、博士論文における審査基準について

修士論文ないしリサーチ・ペーパーの審査基準

1.評価

修士論文ないしリサーチ・ペーパーの審査では、論文審査および最終試験(口頭試問)を経て最終点数がつけられ、70点以上が合格となります。博士後期課程へ進学を希望する場合は、80点以上が必要です。

2.論文審査基準

提出された修士論文ないしリサーチ・ペーパーの論文審査は、次の10項目に沿っておこなわれます。自分の作成している論文ないしリサーチ・ペーパーを各項目の達成度に照らしあわせながら執筆を進めましょう。

(1)論文タイトルの適切性

論文内容に相応しい論文タイトルあるいは副タイトルがつけられているか。

達成度 評価内容
5 問題提起を的確に表現しており、すぐれた論文題目である。
4 問題提起に相応しい論文題目が明示されている。
3 問題提起に相応しい論文題目であるが、副題にやや問題がある。
2 問題提起に相応しい論文題目となっていない。副題が不適切である。
1 問題提起に相応しい論文題目および副題になっていない。
(2)論文構成の妥当性

目次構成と目次タイトルが妥当であるか。

達成度 評価内容
5 目次の構成が極めて妥当であり、各目次タイトルも適切である。
4 目次の構成が適切であり、各目次タイトルも概ね適切である。
3 目次の構成に適切性に欠ける部分があるが、目次タイトルは概ね適切である。
2 目次の構成に適切性が欠ける部分があり、目次タイトルに不適切な箇所がある。
1 目次の構成が不適切であり、目次タイトルにも不適切な箇所が多くある。
(3)論文目的の妥当性

研究目的が明瞭であり各章と関連性があるか。

達成度 評価内容
5 研究目的が明確かつ簡潔に書かれ、その目的は各章に細分されて詳述されており、各章で意図されたことが明確に研究目的と関連している。
4 研究目的は明示されており、その目的は各章に細分されて記述されている。各章で意図されたことが、おおよそ研究目的と関連している。
3 研究目的は書かれているが、研究目的と各章の関連に不明瞭な箇所がある。
2 研究目的が不明瞭であり、各章への細分化は十分ではなく、それらの一部のみが研究目的に関連している。
1 研究目的が妥当性を欠くか不明確である。
(4)問題提起およびそれに対する結論の妥当性

当該テーマに関する一般的知識を偏向なく得た上で、本論で論じようとする問題点が明瞭に指摘されており、それらに対する応答が結論部で十分なされているか。

達成度 評価内容
5 問題提起の質が高く、かつ明確に述べられ、これに対する答えが明瞭・妥当である。
4 問題提起が明確に述べられ、それに対して概ね答えられている。
3 問題提起は明確に述べられているが、それに対する問いのすべてに答えられていない。
2 問題提起は明確であるが、それに対する答えに不備がある。
1 問題提起が明確になっておらず、答えも不明確である。
(5)先行文献研究の充実度と研究の意義

論文テーマに関する先行文献の研究がどの程度おこなわれているか。当該テーマ関する一般的知識が網羅的に把握された上で、当該研究の意義が明確にされているか。

達成度 評価内容
5 充分な先行文献研究がなされ、明確に既存の研究の問題点を指摘できており、研究の意義が明瞭になっている。
4 一定程度の先行文献研究がなされ、既存の研究の問題点を指摘できているが、研究の意義が十分説明しきれていない。
3 一定程度の先行文献研究が参照されているが、既存の研究の問題点の指摘が不十分であり、研究の意義が不鮮明である。
2 先行文献を集めてはいるが、その分析は機械的・列挙的であり、既存の研究の問題点の指摘が不完全かつ不明瞭である。
1 先行文献研究が非常に少なく、当該領域の理解度が低い。既存の研究の問題点も指摘されておらず、研究の意義も述べられていない。
(6)論述内容の不偏性・客観性

論述内容が一方的な視点で書かれていないか。偏ったものになっていないか。

達成度 評価内容
5 一貫して論述内容に偏りがなく、極めて学術的に書かれている。
4 論述内容のごく一部に偏りが認められるが、全体的に学術性は保たれている。
3 論述内容の一部に偏りがあり、学術的にやや問題がある。
2 論述内容に偏りが散見され、学術的に低い。
1 論述内容が一方的な視点で書かれており、学術性が極めて低い。
(7)論述内容の論理性と客観性

議論が整理され、各章各節のつながりが論理的になっているか。

達成度 評価内容
5 章立てを含めた論述の流れが極めて論理的で考察が緻密かつ明瞭である。
4 章立てを含めた論述の流れに適切性が保たれており、考察が論理的である。
3 論述の流れに一部不明瞭な個所があり、部分的に考察の論理性にも不明瞭な個所がある。
2 論述の流れに不明瞭な個所が多くあり、考察の論理性が不明瞭な箇所が多く見られる。
1 論述の流れが不明瞭であり、考察の論理性が極めて不明瞭である。
(8)記述方法の適切性

文章の綴り方、段落わけ、文法、文の構造などが適切か。

達成度 評価内容
5 適切な段落に分けられており、文章の綴り方、文法において間違いがなく、洗練された文章になっている。
4 文章の記述において重要な間違いが存在せず、研究論文として適切な文章になっている。
3 文章の記述においていくつかの間違いがある。研究論文として部分的に不適切な表現がある。
2 文章の記述において重要ないくつかの間違いがある。研究論文として不適切な箇所が散見される。
1 文章記述に関する間違いが重大で多くある。研究論文として不適切な箇所が多くある。
(9)註付けの適切性

打つべき箇所に註が適切に打たれているか。

達成度 評価内容
5 一貫した書式になっており、極めて適切に註が打たれている。
4 書式は概ね適切であるが、一部に不適切な個所がある。
3 書式に適切ではない箇所が散見される。
2 書式に適切でない箇所が目立つ。
1 書式が不統一であり不適切な箇所が極めて多い。
(10)参考文献およびその記載方法の適切性

適切でかつ十分な数の参考文献が参照されているか。使用した参考文献の中に学術性の低いものはないか。参考文献一覧は付いているか。註で挙げた文献が参考文献一覧に網羅され、かつその記載方法が適切か。

達成度 評価内容
5 参考・引用文献の質は高く、量的にも十分な文献数である。参考文献一覧に本文の註で挙げた参考文献がすべて網羅されており、かつ執筆要領にしたがって正確に記載されている。
4 参考・引用文献の質は高いが、文献の数が不十分である。本文の註で挙げた参考文献の一部が、参考文献一覧に記されていない。書式に不備はない。
3 参考・引用文献は参照されているが、いくつかの文献の質が低い。量的にも不十分である。参考文献一覧に本文の註で挙げた参考文献が網羅されておらず、一部書式に不備が見られる。
2 参考・引用文献は参照されているが、全体的に質が低い。本文の註で挙げた参考文献と異なる文献が、一覧に記されている。書式に不備が多い。
1 参考・引用文献の記載はあるが、質が低く量的にも不充分である。参考文献一覧がない、あるいはその記載方法に極めて不備が多い。
3.最終試験(口頭試問)審査基準

最終試験(口頭試問)は、主査委員1名および2名の担当委員の合計3名の教員で審査されます。試問後ただちに3名の審査委員は採点作業に移り、その場で修士論文ないしリサーチ・ペーパーの最終点数が決定し、かつ合格か不合格の判断がなされます。合否が決定されて以降、最終点数と合否判断が変更されることはありません。

(1)試問内容

まず主査から以下の内容について問われます。その後、各副査から質問があります。学生はそれらに明瞭かつ的確に回答しなければなりません。

研究動機 本研究テーマを選んだ理由な何か。
研究目的 本研究の目的は何か。
研究の意義 本研究は学術的にどのような意味をもつのか。
研究機関 本研究はどのようなスケジュールで進められたか。
研究方法 本研究では主にどのような研究方法が採用されているか(一次文献、二次文献、日本語文献、外国語文献、実態調査、インタビューその他)。
研究内容 本研究の本論の内容はどのようなものか。
今後の課題 本研究の射程と残された研究課題は何か。
(2)口頭試問の採点基準

口頭試問の結果は次の5項目に沿って審査・採点され、試問結果は、合格か不合格のいずれかになります。

研究動機の明瞭性 本テーマを選んだ理由について明瞭な回答がなされているか。
研究目的と意義 本研究の目的と研究意義を明確に説明できているか。
回答の明瞭性 審査委員からの質問に論理的かつ明瞭に回答できているか。
研究方法の妥当性 適切な期間と段階を経て作成されたものであるか。外国文献がどの程度使われているか。
今後の課題の明瞭性 本研究の残された研究課題を明確にしているか。

博士論文の審査基準

1.評価

博士論文の審査では、論文審査および最終試験(口頭試問)を経て合否が決定されます。

2 論文審査基準

提出された博士論文の論文審査は、次の10項目に沿っておこなわれます。自分の作成している論文を各項目の達成度に照らし合わせながら執筆を進めましょう。

(1) 論文タイトルの適切性

論文内容に相応しい論文タイトルあるいは副タイトルが付けられているか。

達成度 評価内容
5 問題提起を的確に表現しており、すぐれた論文題目である。
4 問題提起に相応しい論文題目が明示されている。
3 問題提起に相応しい論文題目であるが、副題にやや問題がある。
2 問題提起に相応しい論文題目となっていない。副題が不適切である。
1 問題提起に相応しい論文題目および副題になっていない。
(2) 論文構成の妥当性

目次構成と目次タイトルが妥当であるか。

達成度 評価内容
5 目次の構成が極めて妥当であり、各目次タイトルも適切である。
4 目次の構成が適切であり、各目次タイトルも概ね適切である。
3 目次の構成に適切性に欠ける部分があるが、目次タイトルは概ね適切である。
2 目次の構成に適切性が欠ける部分があり、目次タイトルに不適切な箇所がある。
1 目次の構成が不適切であり、目次タイトルにも不適切な箇所が多くある。
(3) 論文目的の妥当性

研究目的が明瞭であり各章と関連性があるか。

達成度 評価内容
5 研究目的が明確かつ簡潔に書かれ、その目的は各章に細分されて詳述されており、各章で意図されたことが明確に研究目的と関連している。
4 研究目的は明示されており、その目的は各章に細分されて記述されている。各章で意図されたことが、おおよそ研究目的と関連している。
3 研究目的は書かれているが、研究目的と各章の関連に不明瞭な箇所がある。
2 研究目的が不明瞭であり、各章への細分化は十分ではなく、それらの一部のみが研究目的に関連している。
1 研究目的が妥当性を欠くか不明確である。
(4) 問題提起およびそれに対する結論の妥当性

当該テーマに関する一般的知識を偏向なく得た上で、本論で論じようとする問題点が明瞭に指摘されており、それらに対する応答が結論部で十分なされているか。

達成度 評価内容
5 問題提起の質が高く、かつ明確に述べられ、これに対する答えが明瞭・妥当である。
4 問題提起が明確に述べられ、それに対して概ね答えられている。
3 問題提起は明確に述べられているが、それに対する問いのすべてに答えられていない。
2 問題提起は明確であるが、それに対する答えに不備がある。
1 問題提起が明確になっておらず、答えも不明確である。
(5) 先行文献研究の充実度と研究の意義および独創性

論文テーマに関する先行文献の研究がどの程度おこなわれているか。当該テーマ関する一般的知識が網羅的に把握された上で、当該研究の意義が明確にされ独創的な研究になっているか。

達成度 評価内容
5 充分な先行文献研究がなされ、明確に既存の研究の問題点を指摘できており、研究の意義が明瞭になっている。
4 一定程度の先行文献研究がなされ、既存の研究の問題点を指摘できているが、研究の意義が十分説明しきれていない。
3 一定程度の先行文献研究が参照されているが、既存の研究の問題点の指摘が不十分であり、研究の意義が不鮮明である。
2 先行文献を集めてはいるが、その分析は機械的・列挙的であり、既存の研究の問題点の指摘が不完全かつ不明瞭である。
1 先行文献研究が非常に少なく、当該領域の理解度が低い。既存の研究の問題点も指摘されておらず、研究の意義も述べられていない。
(6)論述内容の不偏性・客観性

論述内容が一方的な視点で書かれていないか。偏ったものになっていないか。

達成度 評価内容
5 一貫して論述内容に偏りがなく、極めて学術的に書かれている。
4 論述内容のごく一部に偏りが認められるが、全体的に学術性は保たれている。
3 論述内容の一部に偏りがあり、学術的にやや問題がある。
2 論述内容に偏りが散見され、学術的に低い。
1 論述内容が一方的な視点で書かれており、学術性が極めて低い。
(7) 論述内容の論理性と客観性

議論が整理され、各章各節のつながりが論理的になっているか。

達成度 評価内容
5 章立てを含めた論述の流れが極めて論理的で考察が緻密かつ明瞭である。
4 章立てを含めた論述の流れに適切性が保たれており、考察が論理的である。
3 論述の流れに一部不明瞭な個所があり、部分的に考察の論理性にも不明瞭な個所がある。
2 論述の流れに不明瞭な個所が多くあり、考察の論理性が不明瞭な箇所が多く見られる。
1 論述の流れが不明瞭であり、考察の論理性が極めて不明瞭である。
(8) 記述方法の適切性

文章の綴り方、段落分け、文法、文の構造などが適切か。

達成度 評価内容
5 適切な段落に分けられており、文章の綴り方、文法において間違いがなく、洗練された文章になっている。
4 文章の記述において重要な間違いが存在せず、研究論文として適切な文章になっている。
3 文章の記述においていくつかの間違いがある。研究論文として部分的に不適切な表現がある。
2 文章の記述において重要ないくつかの間違いがある。研究論文として不適切な箇所が散見される。
1 文章記述に関する間違いが重大で多くある。研究論文として不適切な箇所が多くある。
(9) 註付けの適切性

打つべき箇所に註が適切に打たれているか。

達成度 評価内容
5 一貫した書式になっており、極めて適切に註が打たれている。
4 書式は概ね適切であるが、一部に不適切な個所がある。
3 書式に適切ではない箇所が散見される。
2 書式に適切でない箇所が目立つ。
1 書式が不統一であり不適切な箇所が極めて多い。
(10) 参考文献およびその記載方法の適切性

適切でかつ十分な数の参考文献が参照されているか。使用した参考文献の中に学術性の低いものはないか。参考文献一覧は付いているか。註で挙げた文献が参考文献一覧に網羅され、かつその記載方法が適切か。英語以外の外国語文献が使われているか。

達成度 評価内容
5 参考・引用文献の質は高く、量的にも十分な文献数である。参考文献一覧に本文の註で挙げた参考文献がすべて網羅されており、かつ執筆要領にしたがって正確に記載されている。
4 参考・引用文献の質は高いが、文献の数が不十分である。本文の註で挙げた参考文献の一部が、参考文献一覧に記されていない。書式に不備はない。
3 参考・引用文献は参照されているが、いくつかの文献の質が低い。量的にも不十分である。参考文献一覧に本文の註で挙げた参考文献が網羅されておらず、一部書式に不備が見られる。
2 参考・引用文献は参照されているが、全体的に質が低い。本文の註で挙げた参考文献と異なる文献が、一覧に記されている。書式に不備が多い。
1 参考・引用文献の記載はあるが、質が低く量的にも不充分である。参考文献一覧がない、あるいはその記載方法に極めて不備が多い。
3 最終試験(口頭試問)審査基準

最終試験(口頭試問)は、主査委員1名および2名の担当委員の合計3名の教員で審査されます。試問後ただちに3名の審査委員は採点作業に移り、その場で博士論文の合否の判断がなされます。

(1) 試問内容

まず主査から以下の内容について問われます。その後、英語以外の外国語の知識も含め、執筆した論文の内容について各委員から質問があり、これに対して学生は明瞭かつ的確に回答しなければなりません。

研究動機 本研究テーマを選んだ理由な何か。
研究目的 本研究の目的は何か。
研究の意義 本研究は学術的にどのような意味をもつのか。
研究機関 本研究はどのようなスケジュールで進められたか。
研究方法 本研究では主にどのような研究方法が採用されているか(一次文献、二次文献、日本語文献、外国語文献、実態調査、インタビューその他)。
研究内容 本研究の本論の内容はどのようなものか。
今後の課題 本研究の射程と残された研究課題は何か。
(2) 口頭試問の採点基準

口頭試問の結果は次の5項目に沿って審査・採点され、試問結果は、合格か不合格のいずれかになります。

研究動機の明瞭性 本テーマを選んだ理由について明瞭な回答がなされているか。
研究目的と意義 本研究の目的と研究意義を明確に説明できているか。
回答の明瞭性 審査委員からの質問に論理的かつ明瞭に回答できているか。
研究方法の妥当性 適切な期間と段階を経て作成されたものであるか。外国文献がどの程度使われているか。
今後の課題の明瞭性 本研究の残された研究課題を明確にしているか。
Close