助教

柳田 侑樹

ヤナギダ ユウキ

Profile

専門分野

生物物理学
構造生物化学

研究テーマ

1)      タンパク質の二次構造 (αヘリックス)折り畳みメカニズムの解明
2)      球殻状タンパク質フェリチンを用いたドラッグデリバリーシステムの開発​​​​​​

研究内容
  1.  タンパク質とは、20種類のアミノ酸が様々な順序や長さで直鎖状に連結したポリペプチド鎖が折りたたまれることで、固有の機能と立体構造 (三次構造)を持っています。タンパク質の二次構造とは、三次構造の中に見られる局所的に安定化した構造であり、代表的なものの1つにαヘリックスと呼ばれるらせん型の構造があります。αヘリックスは非常に安定した構造ですが、その形成メカニズムは完全には解明されておらず、タンパク質のアミノ酸配列からαヘリックスの存在を物理化学的に予測するのはいまだ困難です。この研究では、あるモデルペプチドとその変異体それぞれの構造をNMRやCDで調べ、比較することで新たなヘリックス安定化因子の発見、既存の理論の組み込み・発展を目指しています。
  2. 近年、必要量の薬剤を必要な場所にのみ送り届けるドラッグデリバリーシステム (DDS)という技術が注目されています。なかでも、ナノ粒子をDDSに応用するという研究は盛んに行われています。フェリチンというタンパク質は、ほぼ全ての生物種が持っている鉄貯蔵タンパク質です。フェリチンは24個のタンパク質が集まることで、24量体の球状構造を持っており、鉄を貯めこむために内部は空洞となっています。大腸菌などのフェリチンは、酸性環境下では2量体に解離し、中性に戻すと再び24量体に再集合します。この特性を応用すれば、フェリチン内部に薬剤を搭載が可能です。また、フェリチンはトランスフェリンレセプター1 (TfR1)と特異的に結合し細胞内に取り込まれることが明らかとなっており、TfR1はがん細胞に過剰に発現することも知られています。したがって、フェリチンはがん細胞に対するターゲット効果が期待できます。しかし、ヒトのフェリチンは酸性条件下で解離後に構造が壊れてしまい、中性に戻しても24量体に再集合しないという問題を抱えています。そこで、ヒトのフェリチンの安定性を高めるために、様々な変異体を作製し検証を行っています。
担当科目

化学実験

主な経歴・職歴・学歴

2020年 創価大学 理工学部 共生創造理工学科 卒業
2022年 創価大学 理工学研究科 生命理学専攻 博士前期課程 修了
2025年 創価大学 理工学研究科 生命理学専攻 博士後期課程 修了(理学博士)
2025年 創価大学 理工学部 助教

所属学会・団体

日本蛋白質科学会
日本生物物理学会
日本核磁気共鳴学会
日本生化学会

主な論文・著書

Yuuki Yanagida, Kiyomi Yoshida, Mio Ohtomo, Kazuo Fujiwara and Masamichi Ikeguchi.
Mechanisms of helix induction by the closed loop.
Protein science. Vol.34, Issue 6, e70171, 2025.