教授

西田 哲史

ニシダ サトシ

Profile

専門分野

ドイツ社会・経済史

研究テーマ

第2次世界大戦後のドイツ社会・経済の復興・再建

担当科目

西洋経済史、現代経済史

専門分野

ヨーロッパ社会・経済史

研究テーマ
  1. 第2次世界大戦後のドイツの経済再建
  2. 第2次世界大戦後における難民・被追放民のドイツへの受容と社会・経済統合
研究内容

これまで日本との比較の視点から、ドイツ連邦共和国(西ドイツ)の第2次世界大戦後、とりわけ占領期の時代を中心とした社会・経済の再建・復興プロセスの研究を行ってきました。その研究成果の一部を2007年に出版しました(Satoshi Nishida, Der Wiederaufbau der japanischen Wirtschaft nach dem Zweiten Weltkrieg. Die amerikanische Japanpolitik und die ökonomischen Nachkriegsreformen in Japan 1942-1952, Stuttgart 2007.)。またドイツの「生産システム」との比較の視点から、1992年のバブルの崩壊以降、「失われた20年」といわれる日本経済の、特に日本型経済システムの有効性についての研究なども行ってきました(Das japanische Produktionsregime – schon anachronistisch? Überlegungen zum Wirtschaftssystem japanischen Typs am Beispiel des Toyota-Produktionssystems, in: D. Gilgen, C. Kopper, A. Leutzsch (Hg.), Deutschland als Modell? Rheinischer Kapitalismus und Globalisierung seit dem 19. Jahrhundert, Bonn 2010, S. 255-283.)。
現在は、第2次世界大戦後に旧ドイツ帝国の東部地域から難民・被追放民として西部・中部ドイツに流入してきたドイツ人の占領期/ドイツ連邦共和国初期(1945–1955)における社会・経済的な統合過程を、未公刊資料に基づき実証的に跡付けることを目的とした研究に従事しています。

研究・教育方針

今後は、現在の研究の継続と、さらにその延長として、難民・被追放民が戦後初期のドイツの社会・経済に与えた影響ならびにその意義の再考を試みたいと考えています。
歴史研究は、たとえば、文書館に堆く積まれた - それこそ眠っている - 史資料と対話する作業を通じて過去を(再)構成・(再)解釈していく学問ですが、実はそこから現在の問題、ひいては将来をどう考えていくかという未来を志向した学問でもあるといえます。まさにここに歴史研究の醍醐味があるわけですが、歴史を見る眼だけでなく、現在の世界が抱える問題についても語れる力を涵養していきたいと思っています。

メッセージ・ひとこと

Wenn das Interesse schwindet, schwindet auch die Erinnerung./興味の無くなるところ、記憶もまた無くなる。
(ゲーテ『格言と反省』)大学院は学習ではなく研究するところです。常に興味・探究心を持ちながら、学問研究に勤しんでください。

Interview

自己紹介をお願いします。

中学生の時に初めて聴いたドイツのクラフトワーク(テクノミュージックのパイオニアといわれるバンド)の音楽に衝撃を受けて以来、ドイツやドイツ人に興味を持ち続け、現在に至ってます。とにかく洋楽好きで、今でも時間が取れればコンサートに足を運んでいます!

研究について教えてください。

私の専門はドイツ社会・経済史ですが、現在は、第2次世界大戦後にかつてのドイツ帝国領だった東部ヨーロッパ地域から避難民・被追放民として、大量にドイツに流入してきた人たちがいかにドイツの社会や経済に取り込まれていったのかという統合プロセスの研究をしています。

その研究が進むと、どのような社会貢献が期待されますか。

現在でも世界各地には多くの紛争地域があり、多くの難民が存在しています。国連にも難民高等弁務官事務所が設置されているように、(避)難民の問題というのは地球規模で解決していかなければいけない喫緊の 課題です。ドイツが経験した過去の事例から、こうした問題解決の糸口を探るヒントが得られるのではと期待しています。

ゼミではどんなことが学べますか。

私のゼミでは、ヨーロッパ経済史、とりわけ工業化の歴史を中心に学びます。これは広い歴史的視野のなか問題をとらえることの重要性を学ぶ作業でもあります。そこからさらに、「豊かな国」と「貧しい国」があるのはなぜなのか、といった問題を皆で考えていきます。

学生の皆さんに一言お願いします。

自身の能力や可能性を無限大に広げていけるのが、この創価大学です。そのためにも、常に旺盛なる知的好奇心を持ち続けながら、学問また日々の課題に全力で取り組んで欲しいと思います。