カリキュラムの特長

特色

国際平和学研究科は、従来の国際関係論研究と平和学研究が対象としてきた国家・非国家主体間の様々な形態の紛争・社会的葛藤についての研究と教育を行います。英語を教育言語として使用し、学生個々人のレベルにおける政策構想力と提言力の涵養を重視して、少人数教育を実践します。その教育課程を通じて国際平和学研究科は、多様な価値観に対する寛容の態度と同時に自らの価値観の確立を両立させるGlobal Citizenshipの視座を涵養します。

領域/研究・教育の内容

必修科目として「International Relations Theory(国際関係論)」(4単位)と「Peace and Global Citizenship(平和・世界市民論)」(4単位)を設置し、社会に必要かつ健全な価値を提供すると言う視座から、急速なグローバル化が進展する今日の国際社会の問題を社会科学的に分析するスキルを持った人材を養成します。必修科目「International Relations Theory」では、グローバル社会を構成する基礎的な単位としての国家に着目し、国家間の紛争の原因と利害調整のメカニズムを主要な研究対象として、国際関係論の諸理論を学びます。一方、「Peace and Global Citizenship」科目では、非国家主体まで含めた社会の葛藤・対立・紛争を分析対象とする平和学の諸理論を学びます。紛争の主体が国家であるか非国家主体であるかに関わらず、各種の紛争の解決が目指す平和と言う状態は多義的な概念であり、その定義自体が異なる文化や価値観の間に葛藤をもたらしてきた歴史と現実があります。その一方で、高度に専門化・細分化された技術のグローバル化が社会にもたらす正負のインパクトを制御するには、社会的・組織的に何らかの共通の視座の設定も不可欠です。「Peace and Global Citizenship」科目は、このようなジレンマの多い課題解決へ向けた共通の視座をGlobal Citizenship(世界市民)という概念に求め、他者との開かれたコミュニケーションを通じて、共通の価値基盤を導き出していける人材を、平和学の諸理論の学修を通じて養成します。
選択必修科目には、「国際関係論」と「平和学」の両研究分野で設置されてきた主要な科目を開設し、学生は両分野の選択科目の履修を通じて、グローバル化に伴い生じている様々なアクター間の対立・紛争の原因と、その解決への視座と具体的方法に関する高度な学識を修得します。「国際関係論」分野の選択科目には、外交関係・グローバルガバナンス・国際政治経済体制・途上国開発の観点から国家間紛争を分析する科目群を配置します。これらの科目を履修した学生は、国家間紛争の原因と解決に関わる歴史・制度・技術についての学識を得て、国際機関や行政機関、または非政府組織において、広く紛争の解決や紛争後の復興に関連する高度の専門的職業に従事できるスキルを養成します。「平和学」分野の選択科目には、非国家主体間の多様な社会的葛藤・対立に注目する観点から紛争解決学・人間の安全保障・人権とジェンダー等を主題とする科目を配置します。これらの科目を通じて学生は、広く社会的紛争の解決に関わる思想と制度の展開についての学識を得て、国内外の企業・行政機関・非政府組織等において、多様な利害の対立から生じる社会の諸問題に対し、実現可能な具体的政策や施策を構想するスキルを養成します。

教育方法/指導カリキュラムの特色

国際平和学研究科が組織として研究対象とする学問分野は、国際関係論と平和学がそれぞれ研究対象としてきた社会的課題を広く含みますが、それらの諸課題の分析のレベルを国家間関係と非国家主体間の課題に分ける従来の手法に留まらず、グローバル社会に生じる社会的葛藤や対立の原因と解決方法を、国家主体と非国家主体双方の視点から捉え直し、それらの諸課題解決への総合的・創造的な視座=Global Citizenshipを持つ人材の養成を目指すところに特徴があります。したがって、必修科目群・選択必修科目群の履修を通じて、国際関係論と平和学の基盤的かつ体系的な理論の学修に加えて、本研究科の課程の修了には、「Seminar I(Research Design))」(1年後期)、「Seminar II(Research Conduct)」(2年前期)、「Seminar III (Master’s Thesis)」(2年後期)の必修科目群(各2単位)履修を通じて作成した学術論文を発表し、グローバル社会が直面する具体的な社会問題についてGlobal Citizenshipの観点から創造的な政策・施策を提示して、研究科の定める基準と手続きによる審査に合格することが求められます。この論文作成過程を通じて、各分野のより高度な理論研究に関心を得て、研究者養成の進路を希望するに至った学生は、本学に設置する他の文系大学院の博士後期課程や、国内外の他大学の同様の課程への進学が奨励されます。