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2023年02月09日

法学部の前田幸男教授の査読付き論文が年報『国際政治』(第208号)に掲載されました

法学部の前田幸男教授の査読付き論文「ノン・ヒューマンの政治理論からの「持続可能な開発目標」の再構成――いのちの循環を自覚できる主体の立ち上げのために」が、日本国際政治学会の季刊誌『国際政治』(第208号)の「SDGsとグローバル・ガバナンス」特集号に掲載されました。

論文では、2015年から始まったSDGsもちょうど折り返し地点を迎える中で、内在的課題についてのより踏み込んだ問題提起を行った。まずSDGs推進側も、批判側も、「自然環境」は経済発展によって破壊される受動的存在としてブラックボックスに入れ、ノン・ヒューマンの主体性を認めない、そうした態度の問題を指摘した。次に、このいわゆる人間至上主義/社会中心主義の問題が、現行のSDGsには自然や地球の活動に感動したり畏敬の念を抱く力である「センス・オブ・ワンダー」を培うための目標・ターゲットが存在しないという問題に繋がることを確認した。この状況打破の糸口として、一人ひとりが地球の自己調整システムを理解したり、「いのちは流れの中にある」という意識を涵養できるようなポストSDGsへのアップデートの必要性を論じた。

前田教授は、「いまやSDGsを達成すれば問題は解決するという姿勢そのものに、クリティカル・シンキングを行おうとする学生が何人も現れており、そのことについて授業やゼミの中で対話する機会が増えました。その対話をきっかけに深く考察した成果が本論文です。学生の皆さんに感謝したいと思います。また、査読者の指摘から気づくことも多く、大変有意義な機会も頂けました。もはやSDGsの定型文を学校の教科書のように右から左へと受け売りする段階は終わり、SDGs/ポストSDGsについて自分の言葉で語り、自分の足で動いていくべき新たな段階に入ったのではないでしょうか」と語りました。

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ページ公開日:2023年02月09日