国際教養学部杉本一郎教授の研究が国際的な学術誌(共著)とマレーシア国民大学出版の学術書に掲載されました
チョイ・キンミン博士と杉本一郎教授の共著論文「Opium consumption and living standards in Singapore, 1900 to 1939」が『Journal of Southeast Asian Studies』(注1)に掲載されました。
東南アジアにおける阿片研究は、生活水準との関連から捉えた研究が不足しており、本論文では、英国植民地時代の資料からデータを収集し、1900-1939の英領期シンガポールにおける阿片消費量の推定値を導き出すことで、中毒性の高い阿片を必要消費物品に含めた場合、阿片に依存していた非熟練労働者は、恒常的に絶対的貧困の生活水準にあったことを実証的に示しました。杉本教授は「本研究が東南アジア地域の社会経済史研究・植民地経済史に新たな視角を提供できればと願っています。」と語りました。
(注1)『Journal of Southeast Asian Studies』は、東南アジア地域に関する学術論文の主要な発信源のひとつで、人文・社会科学の幅広い学問分野を網羅した査読付き学術誌です。19 60年にJournal of Southeast Asian Historyとして創刊され、1970年に現在の名称に変更。Cambridge University Pressから出版されています。
またナスルディン准教授、モハマッド・イクバル博士、アスマディ・ハサン博士(編)の『Evolution and Multidimensional Reflections of Malaysia’s Look East Policy』がマレーシア国民大学出版社(注2)から出版され、杉本教授は「Enhancement of the Study Abroad Program from Japan to Malaysia: A Case Study」と題する章を担当し、マレーシアが教育拠点として多くの優位性を有し実際にどのような教育プログラムが運用可能であるかを国際教養学部の短期研修の事例を用いて論じました。本書は2022年施行40周年を迎えた東方政策(ルックイーストポリシー)を多角的な視点から論じた学術書になります。
杉本教授は「マレーシア研究拠点が創価大学重点研究拠点として認定された本年、拠点研究員のナスルディン准教授、モハマッド・イクバル主任講師とともに、アウトプットが出せた事に感謝しています。今後も引き続きマレーシア研究拠点を一つのプラットフォームとして多くの共同研究を着実に推進していきたいと思います。」と語りました。
(注2)マレーシア国民大学出版(Penerbit Universiti Kebangsaan Malaysia)は1970年に設立され、学術書の出版、ジャーナルの出版を行なっています。
教員情報
教授
杉本 一郎
スギモト イチロウ
- 専門分野
数量経済史(歴史経済統計推計と実証分析)、東南アジア経済史(英領期 シンガポール、マラヤ、ビルマ)
- 研究テーマ
東南アジア諸国における長期歴史経済統計推計と実証分析