2021年07月09日 09時08分

紀要「プランクトン工学研究」第一号が発刊

    プランクトン工学研究所が発行する紀要「プランクトン工学研究」の第1号が2021年6月28日に発刊されました。上記の本学ウェブサイトから無料で閲覧できます。

    プランクトン工学研究 第1号 目次                                      

    巻頭言
    「プランクトン工学研究」発刊にあたり
    古谷研

    総説
    光合成能を有するプランクトンを利用した次世代省エネルギー型廃水処理技術の研究動向
    秋月真一・ヘルマン クエバス-ロドリーゲス

    原著論文
    Preparation and characterization of poly(vinyl alcohol)/sodium alginate/TEMPO-oxidized cellulose nanofiber hydrogel for dye removal
    Wing Shan Chan, Yuichi Shibata, Kento Nishi, Tatsushi Matsuyama, Junichi Ida

    抱卵型カイアシ類Oithona oculataのバイオリアクターを用いた試験的培養
    高山佳樹・山本翼・戸田龍樹

    Magnesium-modified biochars for nitrate adsorption and removal in continuous flow system
    Yun Qi Joo, Shinjiro Sato

    間欠的な曝気撹拌が海産珪藻Chaetoceros gracilisの生産性に与える影響
    大竹正弘・家後幸一・平原南萌・ファティマ ユソフ・戸田龍樹

    メタン発酵消化液を用いた微細藻類培養とバイオガス精製同時プロセス
    岸正敏・尾内秀美・田中健児・吉田あかり・戸田龍樹


    「プランクトン工学研究」発刊にあたり                                    

    限られた資源を効率よく使い、循環的な利用を図ることは持続可能な社会をつくるための第一歩です。自然界では様々な物質が多様な生物の間を循環して安定な生態系が形作られており、絶えず物質は循環してそこには廃棄物はありません。一方、人間社会では不要物は経済的価値が無いものとして廃棄され、自然の浄化作用に委ねるがままにされてきました。このため、人間活動が巨大化して自然の浄化力が追いつかなくなり環境を大きく圧迫する今日では、自然が浄化できない人工物の問題も重なり、循環技術の開発が様々な分野で急務となっています。
    プランクトン工学はプランクトンがもつ様々な機能を適切に組み合わせて廃棄物から有価物を生産したり環境問題を解決するための技術開発とそれに関連した基礎研究を行う新しい学問分野です。創価大学では、プランクトン工学を推進するために学内共同利用施設としてプランクトン工学研究開発センターを2018年5月に立ち上げました。その後、センターの機能をさらに充実させるためにセンターを発展的に改組して、2020年9月にプランクトン工学研究所を設立しました。研究所の発足に伴い、その成果を公表する場として紀要「プランクトン工学研究」を刊行することになりました。当研究所の成果を原著論文、短報あるいは総説として刊行いたします。一般学術誌での公表、図書の刊行とともに本研究所の活動の成果をご覧いただければ幸いです。プランクトン工学は多くの要素技術が関連しますので、直接プランクトンを扱わない論文も掲載の対象になります。また、プランクトン工学に含まれるのは生物系、理工系分野だけではありません。生物の機能を社会実装に結びつけるためには、社会のニーズを把握し、生産システムを社会制度に適合させることが不可欠であり、また、経済的合理性がなければ持続性は担保されません。このため、人文・社会科学分野も掲載対象となります。
    こうした多様な分野がプランクトンという生物群をキーにして循環型社会の構築に向けて協働いたします。これからの社会のあり方に関わるビジョンの形成に本誌が貢献することを願っています。皆様のご理解とご支援をお願いする次第です。

    「プランクトン工学研究」編集委員長 古谷 研
    ページ公開日:2021年07月09日 09時08分