英語教育のプロフェッショナルを育成
リッチモンド・ストゥループ教授 国際言語教育・英語教育 (TESOL)専修
(広報誌「SUN」2014年10月号:「学問探訪」に掲載記事より)
“英語を教える先生を教えるプロフェッショナル”がいるのをこ存知ですか?TESOLとは英語を母国語としない人たち向けの英語教授法のこと。グローバル化により質の高い英語教師へのーズが高まっている昨今、注目されている学問の一つです。JALT(全国語学教育学会)では副会長、その他アジアの各種学会でも要職を担っているのは本学教員のリッチモンド.ストゥループ教授。本学大学院にてTESOLコーディネーターを務める同教授は、世界的に有名な英語教授法のスペシャリストです。教授の研究分野は多岐に渡りますが中でも批判的思考法(クリティカル・シンキング)・自律学習論(ラーナー・オートノミー)の研究に力を入れています。
批判的思考法(クリティカル・シンキング)とは
物事を理論的に判断し、どう行動するかを決めるために使われる思考プロセスを指します。この思考法を鍛えるには、授業の内容と言語レベルを適切に設定することが必要です。例えば、「好きな映画は何ですか?それはなぜですか?」という質問と、「需要と供給に基づいて、ガソリン代の変動を制限するために導入すべき最も効果的な政策は何ですか?それはなぜかを説明してください」という質問は、質問の質という点では似ていますが、大きな違いは、授業の複雑さと回答に必要な言語レベルです。学生の言語レベルに合わせて、授業内容を適切に設定すれば、全ての学生が批判的思考法を鍛えることができるのです。
自律学習論(ラーナー・オートノミー)とは
学習計画と目標の設定、学習の振り返り、そして計画の再設定という過程を通して、学生に自分にとっての最適な勉強法を考えさせること、これが自律学習論(ラーナー・オートノミー)です。そのためには、学生が学びを通して浮かんだ疑問を自ら解決できるようサポートすることが必要になります。私は、授業では学生に答えを教えることはほとんどありません。しかし、学生が自ら答えを導きだせるよう全力でサポートします。それが彼らの自律学習を鍛えることになると確信しています。
本学TESOL専修が輩出する人材
私たちにとって最も重要なことは、学生が知識・技術・経験を持つ有能な教育者となるために必要なツールを与えることです。その力は彼らが属することになる教育機関が望む目標にふさわしい教育法を提供するということだけでなく、彼らの生徒のニーズや目標にも応えられるものです。本学のTESOL専修は、全て英語で授業が行われており、教授陣は、全カで大学院生たちをサポートしています。実習も多く、理論と実践を兼ね備えたプログラムになっています。コーディネーターとしての私の喜びは、何と言っても学生たちが成長する姿であり、それぞれの進路でカを発揮してくれていることです。
ストゥループ教授に質問! 英語修得のコツは?
語学を学ぶ明確な目的を持つことが重要です。それは留学、海外旅行、外交官になるため、グローバルな企業への就職等、何でも構いません。その上で、中・短期的な目標を立てましょう。半年、1ヶ月、1週間、1時間ごとに落としこんで、行動する。この地道な努力の積重ねが英語修得の要です。

米ウェイクフォレスト大学にて心理学を専攻後、 1988年フロリダ州立大学で修士号を取得。日本での語学専門学校での教鞭を取った後、 1997年南カリフォルニア大学で国際比較教育学の博士号を取得。タイのアジア工科大学をはじめラオス、カンボジアを中心に言語教育トレーニングに携わり、2001年より本学へ赴任。