貢献と共に学びを構築するユニークな教育方法を実践

(広報誌「SUN」2015年4月号:「学問探訪」に掲載記事より)
高校生のアイデアが社会を変える!? 20数カ国が参加する若者育成プログラム

貧困と教育、被災地支援、 動物愛護、ゴミ問題などの社会的課題をいかに解決して いくか。高校生たちが考えたアイデアを発表して競い合う「SAGE JAPAN CUP」という大会があります。これを一から立ち上げて運営しているのが宮崎猛教授です。
「 SAGE(セ ー ジ )とは Students for the Advancement of Global Entrepreneurshipの略で、問題解決能力やチャレンジ精神などを持つ若者を育成するプログラム。2002 年にアメリカで生まれ、現在、20数カ国の高校生が国際大会に参加しています。これに日本の高校生も参加できるようにとSAGE JAPANを設立し、第1回SAGE JAPAN CUPを昨年開催しました」
大学生が高校生をサポート 社会貢献しながら学んだことは身につく
SAGEの活動は、教育学部宮崎ゼミの学生たちが大きな役割を担っています。そこには「学びとは何か」「身に付くとはどのようなことか」を追求してきた宮崎教授の思いがあります。
「SAGEの特色は高校生だけでなく、大学生が参加することにあります。高校生が主体的にテーマを選んで議論し解決方法を考案できるように、大学生がサポートします。そのためにはテーマについて調べたり、プレゼンテーションの方法を勉強したりと大学生自身が学ぶ必要があります。つまり、社会貢献をしながら学ぶ。このような教育方法をサービスラーニングと呼びますが、机上の勉強だけでは得られない本物の力を身に付けることができます」

教職大学院での研究にも力を注ぎ、 国際学会で栄えある賞を受賞
宮崎教授のもうひとつの活動の場が教職大学院。院生の指導や研究を行っていますが、昨年は「領土問題を自国の立場とグローバルな立場からどのように取り上げるか」をテーマにした研究発表がNCSS(アメリカの社会科教育に関する学会)のグラント・アワードを受賞しました。
「領土問題という非常にセンシティブな問題をどのように教えるか、院生や教職に就いている卒業生、そしてアメリカの研究者と共同研究をして発表しました」
50本もの発表の中から2本が選ばれるという狭き門を通過した栄えある受賞でした。
宮崎教授は、「創価大学が目指す平和創造の道を教育の立場から追求しています。今後も学生と共に建学の精神を具現化する取り組みを進めていきます」と語りました。
自主的に論文にまとめることも研究の一環
高校生の募集やサポーターの大学生の募集・研修なども、ゼミ生が担っています。
「100校以上の高校に電話しましたが、まだ認知度が低いので説明に苦労しました」(ゼミ生のときから関わっている教職大学院2年橋川誠さん・写真右)。「最初はとま どっていた高校生たちがミーティングを重ねるうちにしっかり発言するようになり、嬉しかったです」(教育学部教育学科2015年3月卒業宮林里江さん・写真左)。
れらの経験は論文にまとめられます。単位外の作業ですが、自主ゼミを何度も開いて執筆するそうです。

創価大学法学部卒業、早稲田大学博士課程単位取得退学、教育学修士、国際政治学修士、高校教員(公民科「政治・経済」担当)、早稲田大学非常勤講師、創価大学教育学部准教授、インディアナ大学客員研究員等を経て現職。