創大1号の「公認会計士試験」合格者である前田教授が語る会計学の面白さ
(広報誌「SUN」2016年1月号:「学問探訪」に掲載記事より)
創大3年生で公認会計士試験に合格
公認会計士は、合格率10.3%(2015年)という超難関の国家資格。創大ではこれまでに219名の合格者を輩出してきましたが、その第1号が経営学部の前田清隆教授でした。
「1期生として入学した時に、たまたま公認会計士という職業があることを知り、計算が得意だったこともあり、よし、これを目指そう!と決めました。難関ではあっても、他大学では3年生で合格する人もいると聞き、ならば自分も3年生で合格するぞと。そういう気概を持ち、勉強、勉強の毎日を過ごし、簿記3級、2級、1級と目標をひとつずつクリアして3年生で予定どおり合格することができました。この年、創大では初の司法試験合格者も誕生。開学3年目のダブル合格に学内が大きくわいたことは言うまでもありません。創立者もたいへん喜ばれ、「2人の名前は創価大学の歴史に永遠に残る」と、その快挙を讃えてくださいました。
先輩が後輩を支える伝統は、前田教授が先駆者だった!
合格後の前田教授は、公認会計士を目指す同級生や後輩のために簿記や会計学を教えたり、合宿を敢行したりするなど、サポート役に徹したといいます。その結果、翌年に2名(4年生1名、3年生1名)が合格。国家試験合格を目指す学生を先輩が支えることは、いまや創大の伝統となっていますが、前田教授こそがその先駆者だったのです。
公認会計土として日米で活躍したのち、教員として創大へ戻ってからは、国家試験研究室の責任者として学生達を全面的にサポートしてきました。最近は税理士を目指す人のためのテーマゼミを担当するなど、資格取得を目指す学生にとって前田教授はなくてはならない存在です。
数字から実態を把握する。会計学は生きた学問
公認会計士試験では、会計学の知識が必要ですが、そもそも会計学とは、どういう学問なのでしょうか?
「企業や行政機関などがそれぞれ行っているお金の出し入れや流れを一定のルールに従って解明し、財産や債務、損益などを把握する学問です。数字以外のことは捨象し、数字の情報だけを追っていくことで実態がわかるのです。さらに言うと、世の中の動きや法改正に日々対応しなければならない学問です。例えば、会計ルールは国によって違いがありますが、経済のグローバル化が進んだ現在、それでは企業同士を比較する際などに支障が出ます。そこで、国同士でルールを近づけようというのが世界の大きな流れになっています。そうしたことにも対応が必要な学問なのです」
変化に対応するため、公認会計士も毎年、研修などを受けて規定の単位を取得することが義務づけられています。
「経営学部には、会計学のほかにも面白い科目がたくさんあります。経営哲学、リーダーシップ、マネジメント、マーケティングなど、社会に直結した生きた学問を学べる場であり、それが経営学部の魅力なのです」

1975年創価大学経済学部卒棠。外資系会計事務所に就職し、ロサンゼルス事務所赴任中に米国公認会計士資格取得。国内外で活躍した後、1985年創価女子短期大学経営科専任講師。1991年経営学部助教授、1998年同教授。専門は財務会計で、国際会計基準にも詳しい。
[著書]
「ビッグ・バン後の会計学」(創成社)
「新講 簿記原理」(創成社)